LW:お二人が出演されているNHKのラジオ番組『夜はぷちぷちケータイ短歌』の番組のサイトを見て驚いたのですが、投稿するリスナーの多くが10~30代前半の若い層の人たちなんですね。
加藤:NHK第1放送のリスナーは、主に50代以上の中高年の方が多いんですよ。その中で、これだけ若い層のリスナーを持つ番組は異質な存在のようです。
天野:短歌の投稿数は、毎月6,000通くらいあります。NHKのラジオ番組で、こんなにたくさんの投稿があるものも珍しいそうです。前にNHKスペシャルで特集されたこともありますが、テレビの効果があると投稿数がさらに増えます。毎回目を通すのも、大変な作業ですよ(笑)。
LW:すごいですね! その中で選ばれた数首というのは、相当レベルが高いのではないでしょうか。
天野:そうですね。実は、ラジオの投稿短歌の場合、選考のポイントがあるんです。
「夜はぷちぷちケータイ短歌」では毎回決まったテーマで作品を募集しています。ただ、ひとつの言葉から連想することは重なってしまうことが多いので、同案多数になりがちです。たとえば、今は「時」をテーマに募集をしているのですが、「あの時にもどりたい」という作品が多いです。
その中で選ばれる作品というのは、やはり独自の視点が際立っているもの。この間の投稿作品の中には、「5歳ときにもどりたい、おばあちゃんと水撒きをした」という内容の作品がありました。「おばあちゃんと水撒きをした」という視点が独特で、目を引きますよね。
加藤:上手な歌は、物事を切り取る視線が独特でありながら、聞く人に共感を呼びます。また、比喩が絶妙なものや、「いかにも字数あわせ」ではなく自然な表現ができているものがいいですね。

天野 慶さん。2児の母とは思えないほど、はつらつとして元気いっぱいでした。 写真左が新刊、『ウタノタネ』(2008年、ポプラ社)、右が『短歌のキブン』(2003年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)