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イベント/コラボ 2008/07/30

短歌のたのしさ新発見! 短歌喫茶うたたね@loftwork Ground

うださん×天野さんの短歌イラスト(photho:kei)
うださん×天野さんの短歌イラスト(photho:kei)

去る、2007年7月5日と6日の2日間。loftwork Ground では、2回目となるクリエイターイベントが開催されました。今回のテーマは「短歌」。少しとっつきにくそうですが、実際に読んでみると、言葉の使い方の絶妙さや、「このキモチ、わかる!」などなど、31文字で表現される世界の奥深さにはまり込んでしまいます。

今回、短歌のイベントを開催したのは、ラジオや雑誌で活躍中の女流歌人で、ロフトワーク登録クリエイターの天野慶さん。イラストレーターの梅四うだひろえさんや、人気歌人の加藤千恵さんをゲストに迎え、ワークショップやトークセッションなど、盛りだくさんのプログラムを企画しました。

「短歌は、いろいろな楽しみ方があるはず!」と、さまざまなアイデアを繰り出す天野さんに、「短歌ってこんな楽しみ方もできるのか」と、発見の連続。本特集では、「短歌喫茶うたたね」2日目の模様をレポートします。

「短歌喫茶うたたね」について詳細≫

*写真提供:kei

期間限定の短歌図書館が、Groundにオープン

うたのたねを蒔くプロジェクト「短歌喫茶うたたね」では、期間限定の短歌図書館が登場します。なかなかお目にかかれないような貴重な古典歌集から、現代歌集、短歌をテーマにした青年漫画などなど…蔵書は過去から現在まで短歌の魅力を余すところなく網羅しています。来場者は、これらを楽しみながら、ゆっくりお茶をすることができます。
Groundの室内にずらりと並ぶ歌集の列は、短歌ファンはもとより、高校以来、短歌にふれたことがなかったロフトワークスタッフも、思わず手にとって読みふけってしまいます。

イラストと短歌の化学反応? 「短歌×イラスト ライブライティング」

ライブで短歌を書く、天野さん。お題のイラストを見つめる、真剣な眼差し。
ライブで短歌を書く、天野さん。お題のイラストを見つめる、真剣な眼差し。

今回、天野さんと、イラストレーターの梅四うだひろえさんが挑戦したのは、「短歌×イラスト ライブライティング」。天野さんは短歌1首、うださんはイラスト作品1点を、それぞれ持ち寄ります。作品を交換し、お互いの作品から受けたインスピレーションで、天野さんは短歌を、うださんはイラストをライブで創作するというパフォーマンスです。ライブで短歌とイラストがコラボする、という新しい試みに、会場の人たちも興味津々です。

スタートとともに、大きな白い模造紙にどんどん言葉を書き込んでいく、天野さん。一方、ひたすらペンを走らせるうださんも、集中している様子。そんな2人のライブライティング&ドローイングを、うださんの旦那さまのバンドLooZerが、ギターの生演奏と心地よい歌声で盛り上げます。

じつは、その楽曲も歌詞に「短歌」の作品を使っているとのこと。ライブの曲まで短歌尽くしです。

天野さんの短歌のお題となった、うださんのイラスト。(photo:kei)
天野さんの短歌のお題となった、うださんのイラスト。(photo:kei)

およそ1時間ほどで、できあがった短歌とイラストをそれぞれお披露目します。天野さんの作った短歌は、

あたたかな 陽を浴び 甘い果実へと 充ちてわたしは 旅をはじめる
<天野 慶>

「歌を考えているときの頭の中を、そのまま紙の上に書きました。」と、天野さん。うださんは、天野さんの好きな色でもある「青い色を大切に描きました」とコメントしました。また、「普段はPCを使って絵を描いているので、リアルでしかも人に見られながら書くのは、緊張感がありますね」と、演技が終わった後で、ちょっと安心した表情で語ってくれました。
できあがった作品は、公私共に付き合いが長い2人ならではのシンクロ率の高さが伺える、素敵な作品でした。

たくさんの人に見つめられ、緊張の中イラストを描くうださん(左)。できあがったイラスト(中央)。ライブライティングを終えた2人(右)。(photo:kei)
たくさんの人に見つめられ、緊張の中イラストを描くうださん(左)。できあがったイラスト(中央)。ライブライティングを終えた2人(右)。(photo:kei)

名刺代わりに、短歌を交換? 短歌トレーディングカード

たくさんの人たちが参加した、短歌ワークショップ。
たくさんの人たちが参加した、短歌ワークショップ。

短歌を作るワークショップでは、短歌を作ってコミュニケーションする「短歌トレーディングカード」を開催。これは、自分の作った短歌をカードに書き、その場にいる人たちと交換するというもの。相手の歌を見て、気に入ったものを交換します。

実際、短歌は散文詩とは違って「5・7・5・7・7」のリズムで考えなければならないため、ちょっと頭を使わなければなりません。しかし、その「ほどよく頭を使う」感じが、言葉のパズルのようでもあり、なかなか楽しいのです。中には「短歌を作るのは初めて」という参加者の人もいましたが、書き始めるとどんどんはまっている様子。少し照れつつ、できあがった短歌カードを交換していました。

天野さんと、人気歌人の加藤千恵さんも、自ら直筆のカードを参加者のみなさんと交換し、会場内は和やかな雰囲気に包まれました。

「短歌がメジャーになる、10の法則」天野慶 × 加藤千恵 トークセッション

天野さんと加藤さん、2人とも短歌の話はつきません。
天野さんと加藤さん、2人とも短歌の話はつきません。

イベントの最後は、天野さんと加藤千恵さん、2人の人気女流歌人によるトークセッション。「どうやったら、短歌がブームになるか」をテーマに、天野さんが考えた「短歌が流行る法則」について、ユーモアを交えつつ、熱く語りました。

「アイドルが短歌を始める」「テレビドラマ化する」など、突拍子もないアイデアをハイテンションで語る天野さんに対し、冷静に突っ込みを入れる加藤さん。「ボケと突っ込み」のような2人のトーク、息はぴったりです。
「一時のブームではなく、徐々に短歌を知らない人たちの間に浸透していくのがいいのじゃないでしょうか」と、加藤さん。天野さんは、「短歌と小説」「短歌と漫画」といった例を引き合いに出し、「他分野とどんどんコラボレーションすることで、短歌を知らない人たちが短歌に触れる機会が増えればいいと思う」と語りました。

また、セッションの後半はイベントのために事前に募集していた「スクール短歌」(「学校」をテーマにした短歌)の優秀作品を発表。それぞれが気に入った作品にコメントを出し合いました。
作品のいいところを挙げつつ、ときどきはさむプロの視点の講評は、さすがに的確です。「『ぜんぶ』や『全て』という言葉は安易に使わないほうがいいですね。具体的な言葉を入れたほうが、逆にイメージが伝わりますね」とか、「いかにも『短歌』というような、5・7・5・7・7で区切った歌よりも、自然に流れるような感じのほうがいい」など。普段から数多くの投稿短歌に目を通している立場から、作品へのアドバイスをしました。


◆天野さん・加藤さんが選んだ、ベスト・スクール短歌
天野慶さん選出作品
過去形で 話すことなど 昨日見た テレビドラマの 結末ぐらい 
  <laym(れいむ) さん>

加藤千恵さん選出作品
ウエディング ドレスよりもっと 幸福な セーラー服で 逃げる放課後
  <ゆず さん>

参加者との距離の近さを感じさせる、あたたかいイベント

今回のイベントで驚いたのは、天野さん、加藤さんと参加者の皆さんとの距離感の近さ。2人ともNHKラジオや雑誌などで活躍する、今をときめく女流歌人ですが、とても気さくで優しい方々です。ワークショップのときも、率先してカードを交換したり、ファンの人たちとたくさん話をしたりなど、終始イベントの参加者と密なコミュニケーションをとっている様子が、とても印象的でした。
普段から、ラジオや携帯の短歌投稿を通じてコミュニケーションをしているからでしょうか、好きな歌人が自分の作品に「応えてくれる」というのも、短歌の魅力の1つなのかもしれません。ファンと歌人との垣根のないあたたかい関係に、心から癒された1日でした。