FabCafe Global(東京、飛騨、京都、台北、バルセロナ、バンコク、トゥールーズ、シンガポール、ストラスブール、モンテレイ)が主催するデジタルファブリケーション領域のグローバルクリエイティブアワード「YouFab Global Creative Awards 2018」(以下、YouFab) の受賞作品を発表しました。

2018年8月1日から10月31日までの応募期間中に、32カ国から応募のあった合計158作品から、審査を経てグランプリ1点、準グランプリ1点、ライオン賞1点、一般部門賞1点、学生部門賞1点、ファイナリスト11点が選出されました。

グランプリは、金魚とテクノロジーを使い、現代の生態系に問題提起する作品

グランプリは、アメリカ在住のイギリス人メディアアーティストであるニール・メンドーサ (Neil Mendoza)の「Fish Hammer」が受賞しました。金魚が水槽の中を動き回り、その金魚の動きに合わせ、ハンマーがミニチュア家具に振り降ろされます。人間の生活が生態系に与える影響を、問題提起した作品です。

審査員 Gerfried Stocker氏のコメント

「Fish Hammer」は、観る者を微笑ませてくれると同時に、熟考させてもくれる作品です。(中略)舞台効果を考え巧みに書かれた脚本を持つ、思慮深い芸術作品であり、人新世(アントロポセン)における主要課題や、人類が自然にもたらす影響のなかで持続可能かつ責任あるバランスを見つける、という今日の我々の取り組みを効果的な方法で扱っています。 観ている私たちは人間がハンマーを制御している魚だと思うかもしれませんが、生態系の相互関係がそれほど単純ではないことがすぐに分かってきます(後略) 。

 

準グランプリは、工場労働者の脳波を反映させたニット作品

準グランプリは、アメリカのアニ・リウ(Ani Liu)によるプロジェクト「Mind in the Machine」です。工場で働く労働者の脳波を計測し、彼らの知覚・認知状態を反映したニットを編んだ作品です。機械製造が主流である現代における「人間の手作業」を象徴すると同時に、自動化に支えられた経済への、無名の人々の貢献を反映しています。

審査員 林千晶のコメント

機械と人の関係が、様々な場で問われている。機械は人をサポートしてくれるはずだった。ところが、気づけば人が機械の支配下にある。中国のニット工場でそんな場面に直面し、労働者と出来上がったニットの関係をつなぎ直そうとする発想がユニークだ。働く人がリラックスしているときは緩く穏やかに、ストレスを感じているとき網目が細かく突っ張って編み込まれるプログラム。そうして仕上がったニットは、普段表に出ることのない大量生産を支えている名もなき人たちの声を拾っているようだ。

仕事と暮らしが溶け合う未来をテーマにしたライオン賞は、自然をハックした作品

YouFab2018では、ライオン株式会社による「特別賞」が設置されました。特別賞では「MERGE- 仕事と暮らしが溶けあう未来」をテーマに、プロダクトやサービス、アート、プロジェクトなどを募集。審査を経て、日本のクリエイターユニット、ガダラ(GADARA)によるプロジェクト「Hack the Natural Objects.」が選ばれました。”自然物”にセンサーなどの人工的な機能を組み込み、傾きによって音量や明量などのアウトプットをコントロールします。自然と人工が“MEARGE”する日常、というコンセプトをプロトタイピングした作品です。

ライオン賞審査員 宇野大介氏(ライオン株式会社 研究開発本部イノベーションラボ所長)のコメント

何でもなく、いつもそこにあるもの。いつもは見逃しているもの。自然が創り出した造形。実は私も自分で木を削りだしたキーフォルダーを30年以上使っています。使い続けていながらも、その手触り感や愛着を忘れていました。この作品の、自然の造形を活かし人工的な機能を付けることにとても共感するとともに、この世界がもともと持っている、自然とヒトが作ったものとの“MERGE”という僕たちが持っていなかった概念に、改めて気づかせてもらいました。

また、一般部門賞は、大量の紙をレーザーカッターで加工したレリーフ「Typhoon I」(クリエイター:Michael Koehle)が受賞、学生部門賞にはテレプレゼンス技術を活用し、複数人が一つの体をシェアして共同作業を行える「Fusion」(クリエイター:MHD Yamen Saraiji, Tomoya Sasaki)が受賞しました。

「Fusion」(MHD Yamen Saraiji, Tomoya Sasaki)
「Typhoon I」(クリエイター:Michael Koehle)

授賞式と受賞作品展示会を開催

2月16日(土)19時より、東京・九段下にあるkudan houseにて、受賞者や審査員を招いた、授賞式を開催します。また、2月17日(日)から2月24日(日)まで、同会場で上位受賞作品を中心に受賞作品をご覧いただける展示会を行います。

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