スティーブ・ジョブズの「点を繋げる」という思想が私の中で非常に大切なものになっています。
1月31日にセミナーを開催したときのこと。
参加くださっていた方から声をかけられました。
名刺を見ると「ミキツーリスト」と書いてあります。
ミキツーリストは、ヨーロッパを中心とした
旅行パッケージを企画・手配する業界の最大手。
そして私が14年前に就職したくて
内定をもらった会社でもあるのです。
「御社のことはよく知っています」
と思い出話をしたところ、翌日メールをいただき
「人事担当者も林さんのことを憶えていました」と。
早速、打ち合わせに伺うと
当時の人事担当の方がわざわざ出てきてくださいました。
「林さんのことは印象的だったので憶えています。
ご活躍なさっているようで何よりです。」
14年も前のことなのに、一人の内定者、
しかも最終的には辞退してしまった人間を
憶えてもらっていることがあるなんて。
そしてそれが仕事のパートナーとして
再び繋がる日がくるなんて想像もしていなかった。
点を繋げることのダイナミックさ。
それはなんといっても「未来でどう繋がるかはわからない」こと。
その点では「人間万事塞翁が馬」に似ています。
でも決定的に違うのは、そこに意思があれば、
必ず過去の点を繋ぐことができる、
繋ぐことができると信じるところ。
そんなことを考えていた時に
何気なく手にした本に載っていた言葉が「インテグリティ」。
アメリカにいる頃によく耳にしたけれど
意味がわからないし聞き流していました。
それがこの本でストンと自分の中に入ってきたのです。
「インテグリティとは『その場にいない人に対して忠実になること』」
この言葉の意味をよく考えてみてください。
簡単だけど、すごく深い意味をもっています。
「目の前の人」に対していい顔をするのは簡単です。
でも私たちは果たして自分の信念にのっとり、
目の前にいない人に対しても
忠実に考え行動できているでしょうか?
例えば上司の前では満面の笑み
同期で集まると愚痴大会になったり、
クライアントの前ではきれいな言葉を並べ
実際には手抜きな施策しかやらなかったり。
目の前にいない「他国の人」や
さらには100年後の地球という視点で
「未来の人」のことを考えて、
今、忠実に環境問題に取り組めているかどうか、
とも考えられる。
だからインテグリティとは、表面的な評価を越えた
自分として守りとおす価値観なんだと思うのです。
それをしっかり持っていると、
未来にどうつながるかは見えなくても、
必ず自分が描いた点が過去へと繋がり、
想像もしていなかった素晴らしい結果を生み出すのではないでしょうか?
目の前にあるオイシイ話や
目の前にいるクライアントだけに
心を奪われるのではなく、
自分が大切だと思うことに従って行動することが
ますます大切なのではないでしょうか?
そしてそれこそが人生の醍醐味なのではないかと思います。
Comments 9
千晶さんの朝のお話を聞いていて、
「インテグリティ」という言葉の意味と、アメリカ等ではよく使われていて、一方日本では、まだ当てはまる言葉が決まっていという点から、一種の「信仰」とも似た感覚なのでは?と思いました。
そして、自分の考えや、感覚、感情のようなものをズバッと言い表すことのできる言葉に出会うことは、とても感動的ですよね。
「信仰」か。うん、確かに近い感覚ですね。日本語は雰囲気やニュアンスを伝える形容詞は多いけれど、今回のようなインテグリティとかプロフェッショナルとかジャスティスとか、意志を表す言葉が少ない気がします。「暗黙の了解」の国ですから。
>そして、自分の考えや、感覚、感情のようなものをズバッと言い表すことのできる言葉に出会うことは、とても感動的ですよね。
そうなの!わかってもらえてうれしいです。ちなみに私が近年で一番すっきりきた言葉は、何といっても「コモンズ」です!今年も個人なテーマは引き続き「コモンズ」ゆえ。
早速の投稿ありがとうございます。m(__)m
1月31日のセミナーは迫力と熱意を感じました。
さて、スティーブ・ジョブズ氏ですが、経営者としてではなくクリエーターとして大変尊敬しています。
彼は目先のビジネスに捕らわれることなく、「常に斬新で、より新しいものを開発する」という強い信念を感じます。
その行動こそが、どんなにクラッシュが多かった時にも、Winに乗り換えることなく、マックを使い続けているのかもしれません。(私)
ビジネスは確かに目先のクライアント、美味しい仕事に目がいきがちですが、どんなに小さな仕事でも、本当に良い仕事を続ける事で、その価値が必ず高まっていくとものだと信じたいですね。
サービス産業は目に見えない価値を創造する業種ですが、サービスは人が提供し、人が享受するという事を「ふっ」とした瞬間に忘れがちです。注意しなければと思いました。
櫻井さん、コメントありがとうございます。(ブログ拝見しましたが、素敵ですね!!海外旅行にいきたくて堪らなくなりました 笑)
> さて、スティーブ・ジョブズ氏ですが、経営者としてではなくクリエーターとして大変尊敬しています。
だから先日打ち合わせの際も私物Macだったんですね。そういう意味では、櫻井さんも「信念の人」ですね。もちろん私的に最上級のほめ言葉です。
「本当に良い仕事を続ける」姿勢はロフトワークもずっと大切にしたいと思います。これから櫻井さんと一緒に仕事させていただくのが楽しみです。
私が尊敬する浅野さんからも「Integrityという言葉、とても素敵ですね」とコメントもらいました。Wikipediaの解説も参考になるとのこと。英語ですが「an internally consistent framework of principles」というように定義されていて、わかりやすいです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Integrity
PS
浅野さんのブログもInformation Architectureに関する素敵なメッセージであふれています。
http://blog.iaspectrum.net/
こんばんは☆
インテグリティという言葉、ボキャ貧な私は知りませんでしたが、何かとても大切な概念だと感じました。ジョブズの点?が私にも繋がった様な気がしました。ありがとうございます☆
takeyamaさん、お久しぶりです。
今年もよろしくお願いします。
サイト拝見しましたが、ちょうどお互いに「思想」とか「インテグリティ」とか「信念」とか、似たようなこと考えていましたね(笑)
ところでtakeyamaさんのブログの素晴らしいリゾートに関する情報に圧倒されてしまいました(笑) コメントしようとしたらなぜかコメント機能がなくてレスできなかったのはなぜかしら?takeyamaさんにはぜひ一度会って世界のリゾートについてお話聞かせてほしいです。
こちらこそ今年もよろしくお願いします☆
コメントが、迷惑書き込みでいっぱいになってしまったので、暫くはエキサイトユーザーだけに許可しているのです。申し訳ございません。
リゾートについては、日々勉強中です。まだまだ語れる領域ではないのですが、自分の本棚を整理しがてら、コラムを書いています。また遊びにきてください☆
コメントできるようになったらまた教えてください。
takeyamaさんお薦めのニドム、行ってみようかなと思っています。