去年は運営スタッフとして参加したPMI東京フォーラム。今年は光栄なことに講演者として参加しました。
PMI東京の皆さんには、『Webプロジェクトマネジメント標準』の出版にあたり、構成の相談にのっていただいたり監修をお願いしたり、本当にお世話になったので、その恩返しもかねて意義のあるプレゼンをしないといけない、と思っていました。
発表内容は、ロフトワークがこの数年取り組んできた「WebプロジェクトマネジメントにおけるPMBOK活用」についてです。具体的には、PMBOKベースで開発したWebプロジェクト向けのテンプレートとその活用ポイントなどを報告しました。
終わった時に、PMI東京の方を中心にいろんな方が声をかけてくださり
「PMBOKにこんなに活用してくれて嬉しくなったよ!」
とか
「共感できる部分が多く、素晴らしいプレゼンでした」
といったコメントをいただきました。ありがとうございます。
講演の間、ずっとPMI東京の高橋さんが後ろの席で聞いていてくださって、まるで自分の父のように感じてしまいました。こういうみんなの温かいサポートがあって初めて今の自分があるんだなと実感しました。
あともう一つだけ。プロジェクトマネジメントは医療でも浸透してきています。今日、北里病院の先生のプレゼンを拝聴しましたが、その中で非常に面白い内容があったのでブログしておきます。
医療レベルが高く金額も高い:最高の医療
医療レベルが低く金額が高い:詐欺の医療
医療レベルが低く金額も低い:あきらめの医療
医療レベルが高く金額が低い:究極の医療
そして医療レベルが中間で金額も中間:最適な医療
「究極の医療」はたしかに理想的だけど、現実の社会では存在しづらい。そして金額も高まりリスクも高い「最高の医療」が常にベストチョイスというわけでもない。むしろちょうどバランスのとれた、サステナビリティの高い「最適な医療」の大切さをもっと認識していくべきだ、とおっしゃっていました。
これはWeb業界でも同じことが言えますね。そしてロフトワークはまさに「最適なWeb制作」を目指しています!
Comments 6
講演お疲れさまでした。
あの日のB会場での一番人気の講演でした。他の講演も満席ではあったのですが、林さんの講演は居眠りしてる人がいませんでしたよ。
Webプロジェクトでなくても、皆さん苦労されるのは同じようなところですので、共感を覚えたと思います。私も「基本に帰ろう」という思いを新たにしました。
で、翌朝、コンセントを見たら、白いACアダプターが...
『Webプロジェクトマネジメント標準』をAmazonで注文してしまいましたので、週末に読ませていただきます。
ど~も
あ、アダプターを見つけてくださった方ですね!
どうもありがとうございます。
ちっとも気づきませんでした(苦笑)
十返さんから連絡いただき、慌てて取りにいきました。
講演も聴いてくださったのですね。どうもありがとうございます。Web関係じゃない方にどこまで意味がある話ができるか緊張していたのですが、山本さんのコメントをよみ安心しました。
本の感想もぜひお聞かせください。またPMIのWGなどでお会いできるのを楽しみにしています。
講演の成功おめでとうございます。
プロジェクトマネジメントについて学び始めた頃、PMBOKやその解説書をあたった時に、「普遍的な知識体系の実用性」について懐疑的だったことを思い出します。その当時はシステム開発をしていたので、これはITプロジェクトにしか使えないのでは?と思ったものですが(PMBOKが紹介された頃、その殆どがIT系の雑誌だったので、事例その他がIT関連ばかりだった)、その後事業開発などのプロジェクトなどで利用してみて、普遍的な知識のパワーを実感したものです。
どうも具体的な事例じゃないと実感がわかないということは多く、同業他社の事例とか同じ分野の事例というものが求められたりもしますが、考えてみれば普遍化された理論って強いので、それを状況や環境に応じて「応用する」ことを考えるべきだったんだな~と思ったものです。
> 医療レベルが高く金額も高い:最高の医療
> 医療レベルが低く金額が高い:詐欺の医療
> 医療レベルが低く金額も低い:あきらめの医療
> 医療レベルが高く金額が低い:究極の医療
> そして医療レベルが中間で金額も中間:最適な医療
売上を求めて「最高の~」を求めるのが常ですね。でも、レベルが追いつかなくて、それでも売上は欲しくて「詐欺の~」に陥ることが多いような気がします。「最適な~」を提供しようと働きかけるとサプライ側の実感としては「レベルを下げるのはプライドが許さない」っていう意見が多いです。デマンド側は「最高の~」を常に求めますが、そのコスト構造などは考えていません。それが需給双方にとって意味もなく不幸だということを知らないといけません。
昨今流行の「偽装国産牛」や「偽装関サバ」はレベルも金額も「あきらめの~」のはずなのに、需給双方の思惑だけで外面を良くしようとしているだけなのですね。
賢太郎さん、こんにちは。師走ということで本当にばたばたしていて、返事が遅くなりすみません。
私も最初の感想は2つ。「これがどれだけ実務に役立つのかな?」「たとえ役立ってもこんな面倒な手順をとっていたらコスト高になるんじゃないか?」。
でも実際に全社に導入しての実感は、ちゃんと確認すべきことを確認してからプロジェクトを進めるのが最も近道。手を抜いても後で必ず揺り返しがくるんですよね。まさに、急がば回れ。
また、おっしゃるとおり「最適の~」の価値を理解するのは、現実の仕事の中では難しいですよね。どうしても「手抜き・中途半端」という理解につながってしまう。ただ、それでも、費用対効果を追求したときに、サステイナブルに満足度の高いサービスを提供するには、最適解の追求が重要になってくると感じています。このチャレンジはわくわくです。
> 私も最初の感想は2つ。「これがどれだけ実務に役立つのかな?」「たとえ役ってもこんな面倒な手順をとっていたらコスト高になるんじゃないか?」。
ISO導入をした時に同じ感想を持ちました。
でも、中小規模のシステム開発の現場ではプログラマーがユーザから要望を聞いて即時コーディングに入ることが多くて、結果的には「不必要なほど複雑なシステム」が出来上がってしまうのですね。
だから、急がば回れは正しいと思います。
それと、プロセスを統一すると、以前の成果物などを再利用できるので生産性はむしろ上がっていくものです。それもプロセスかすることの良い点ですね。
そうなんですよね、成果物の再利用はとても有効です。ただ資産にしたいのはフレームワークや思想であって、コンテンツじゃない。ここを間違うと、紋きりのデザインや、イノベーションのないサイトが量産されてします。
テンプレートを開発する時に一番気をつけているところです。