日記

ミュンヘン、そしてベルリンへ

15年ぶりにベルリンに向かっている。クリエイティブ・コモンズ(CC)のエリア責任者が集まって今年の戦略を議論するためだ。
地域ごとの課題や機会、活動予算や資金調達の計画、CCの活動を活性化させるための施策、そして今年予定されているクリエイティブコモンズ国際会議の具体化などが議題に挙がっている。
with Larry
△Creative Commonsを立ち上げたラリーと(2008年)


現在、クリエイティブ・コモンズでは、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジア・パシフィック、中近東、アフリカと大きく5つくらいの活動エリアに分けて責任者をおき、活動を支えている。
それぞれのエリアでどのような違いがあるか。
例えばCC発祥地である米国では、今月労働省と教育省が2000億円の教育支援ファンドを作り、ファンドからの出資条件に「プロジェクトの成果物は誰もが活用できるようにすべてクリエイティブコモンズライセンスで提供すること」と発表があるなど、世界をリードする先進的な取り組みが続いている。またYouTubeやVimeoとの交渉など、重要な社会インフラにCCを組み込むための大きな取り組みは、やはり米国のヘッドクオーター中心に行われている。
それ以外のエリアでは、ライセンスの更新、新しい国がCCを導入するときの支援や新しいビジネス展開の活性化、コミュニティ活動の下支えなどが活動の中心となる。
ヨーロッパはCC導入は早かったけれど、展開のペースは穏やか(のように見える)。なんといっても注目されているのはアジアと中近東。新しくCCを導入する国も増えているし、中東メディア「アルジャジーラ」が強力なCCサポーターになったり、若手クリエイターのプロジェクトも多く、活動が活発である。それからこれからの発展性という意味でラテンアメリカとアフリカも重要エリア。オープンカルチャーにおいてはそんな世界情勢になっている。
ちなみにエリア責任者がすべて女性であるのも興味深い。ジョーイは「(前CEOだった)ラリーが面食いなんだよ」とコメントしていたけど、それはおそらく二次的な要素に過ぎない。だってみんな自分の主義主張をしっかり持っている。決断も早くて仕事ができる。こういう女性が世界のNPOを支えているんだなと、とても勉強になる。
日本でも「女性が優秀だ」というコメントを耳にすることが多いけど、世界的に女性が元気なのかな。個人的には、男性にぐいぐい世界をひっぱっていってもらって、私は美味しいお茶でも入れていたいのだけど。
私自身は2009年、CCのCEOだったジョーイから「Special Assistant to CEOをやってみない?」と相談を受けたのが始まりである。「そのポジションじゃやりたくない」と返事をしたら「何ならやりたい?」と聞かれ、「アジアが面白いからアジアをつなぐような役割なら」と応えた。すると数週間後に「Asian Projects Coordinator」というポジションのオファーレターが来た。
Joiと飯野さんとラジオ出演
△少しずつJoiを通じてCCへのコミットが増えてきた
あくまでもボランティアのポジションだし、具体的な成果にコミットするわけでもなかった。緩やかにアジアのメンバーを繋げながら、アジアでの活動の活性化を下支えすればいい。そんな気楽なタスクだったので、やってみることにした。実際、韓国でアジアパシフィックのCC国際会議を実現したし、ベトナムのCCローンチもサポートできた。香港やシンガポール、北京のメンバーにも定期的に会い、課題を共有したり、活動を励ましたりしてきた。でもどこかでadditionalな、課外活動的な意識だったのは否定できない。
そこでCCのHQは更なるステップを提案してきた。お給料を払うから正式にアジアパシフィックの責任者としてコミットしてくれないか、というものだ。
お金が支払われるということは、飛躍的に責任が増すということである。たとえ会費が100円でも、有料サービスにするとサービスに求められる品質が格段に高まるのと同じルールだ。反射的に「お給料はほしくない。そこまでのコミットはできないような気がする。ただもっと成果を増やすために例えばアジアエリアの活動を支援するための私裁量の予算があったら面白いのでは」とこたえた。
今回はそんなセンシティブなことも含めて、HQの期待とその責任に応えられるのかどうか、それを話し合いにベルリンに向かっている。
私の現状の生活をよく知っている人は(ロフトワークのみんなとか)「千晶さん、さらに仕事増やしてどうするんですか、既に破綻しているのに」と怒るかもしれない。でもせっかく人として、あるいは日本人としてアジアを束ねる役割を期待された時に、それを「忙しくてできません」とは私は言いたくない。
だって普段から「もっとグローバルに。もっとしなやかに。世界をみて活動しよう」と思っているし言っているから。言っていることには責任を持ちたい。だからきっと、私なりに少しリスクをヘッジしながら、大きな責任を背負って帰国することになるのだろう。
でもその大きな責任は、まだまだ小さい自分の器を、少し広げてくれるものだと信じている。だって余裕でやれることしかやらなかったら自分の器は広がらない。到底無理だろうと思われるようなことにチャレンジして、やれるかどうかみてみることができるのも人生の面白みでもあるはず。願わくば、周囲のみんなに見捨てられない程度に迷惑をかけながら(ここは重要なポイント)全力で頑張ってみたい。
世界へ、世界へ。
もっともっと今の自分を越えて。

そんな気分 from Berlin
世界中の仲間と一緒に



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