日記, 未分類

輝く金色の金木犀たち

週末に宮永愛子さんの個展「景色のはじまり 金木犀」を見てきました。
宮永さんの作品を初めてみたのは、二年前の国立新美術館。ナフタリンで作られた、時の流れにそって刻々と変化する作品が印象的でした。デリケートで奇麗だな、そんな風に思ったのを憶えています。
でも今回の作品はまた全然違う。会場に足を踏み入れた瞬間「うわあ!」と思わず感嘆の声がでてしまいました。それは、光り輝く金色のシフォンのよう。
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近寄ってみると、それは無数の葉っぱの葉脈だけを残してつなぎあわせたものだとわかる。空気のように軽い葉脈たちは、私の動きで生まれるかすかな空気の流れに反応して、まるで生き物のようにふわふわと動く。


偶然、宮永さん本人がいたので興奮して質問してみました。
「ものすごい数の葉っぱですね。制作にどれくらいかかったのですか?」
「もう言えないくらい。それはそれはすごく長くて大変な時間を費やしました。
 制作の途中で震災があって、こんなことしてていいのかとも悩んで。
 でも結局、作家の自分が今できることはこの作品を完成させることだと
 自分に言い聞かせて、やっと仕上がりました。」
と笑顔で答えてくれました。
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金木犀の葉を葉脈だけにするには、薬品で煮込んで、一枚ずつごしごし、ごしごしこすって、やっと仕上がって、またそれを漂白して、干して、そして一枚ずつ少しだけノリをつけてつなぎあわせていくのだという。こんな華奢なのに、その中に「強靭な意志」(パンフレットに書かれていた建畠さんのコメント)が潜んでいる。びっくりしました。
葉脈は水が流れた跡だという。
でも私には葉っぱ一枚一枚が人間に見えました。一枚の葉が少しずつ周りの葉とくっついて支えあってコミュニケーションする。それが全体でみるとこんな大きな面となる。
私には、人間の中を情報が流れた跡のようにもみえました。
この作品以外にも、いつ鳴るかわからない貫入の音を楽しむインスタレーションや、ナフタリンの作品もあり、心が洗われる時間でした。
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「5月28日までなんです。一人でも多くの人に見てほしい」と、宮永さんが素敵な笑顔で、でも強いメッセージで話していたのが印象的だったので、その思いを一枚の葉として、繋がっているみんなに伝えたいと思いました。ぜひぜひ行ってみてください。そしてどう感じたか、教えてください。



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