去年、越後妻有アートトリエンナーレで実施して大成功だったロフトワーク・クリエイターによる名産品リデザインプロジェクト「Roooots」。売上は平均で3倍、原酒カステラは9倍、妻有そばは20倍になるなど、私たちの予想を上回る成果を出すことができました。
そして今年はRooootsプロジェクトを瀬戸内国際芸術祭向けに実施することになりました。
Rooootsの醍醐味は、情熱溢れる若手クリエイターと、伝統や歴史をもった地方の名産品メーカーとの出会いから生まれる「新たな可能性」です。
地方の名産品を作っているようなメーカーは、味や原料などにこだわり、品質の高い商品を開発しているところが多いのです。
ただ、時代の流れを取り入れることだったり、引き継いできた価値を「今の文脈」で伝えることに苦戦しているところが多いのも事実。そのためせっかく味は良く丁寧に作ってあるのに、売上が伸びないという状況もあるようです。
その一方、アイディアに溢れるクリエイターが日本にはたくさにいます。与えられたお題に対し彼らは喜んで挑戦するし、成果を出すための努力や時間を惜しまない。
この両者を結びつけることで、地方の名産品がもっている魅力がクリエイターにより再発見&再定義されて、地方も活性化しクリエイターのキャリアも広がる。そしてそれを手がけるロフトワークや芸術祭などもハッピーになる。
まさに理想的なコラボレーションなのです。
先日、最終審査会が開催されました。佐藤卓さん、ひびのこづえさんという大ベテランの方々と一緒に審査をさせてもらいました。
▲審査会の様子
▲ひびのさん、佐藤さんと一緒に
集まった作品は全部で586点。越後妻有のときよりさらにレベルアップしていました。
例えば和三盆のデザイン。和三盆の原材料であるさとうきびは四国の名産品。和菓子屋では菊とか桜といった花をモチーフにした和三盆をよくみかけます。ところが今回、クリエイター黒柳さんが提案してくれたのはこんなものでした。
瀬戸内に浮かぶ島々をイメージした真っ白な和三盆。審査員一同、「これはすごい」と絶賛。提案をうけた地元業者の方もとても喜んでくれて、数百万円の投資を惜しまず金型からつくってこのデザインを実現してくれるそうなんです。
その他にもおうどんやオリーブサイダー、石けんにクッキー、丸亀うちわなど、要チェックのアイテムがたくさんです。
このプロジェクトで一番大切にしているのは「商品が本来持っている良さを最大限に表現すること」。つまり、表層的に見栄えのいいデザインをかぶせてOKとしてしまうのではなく、商品ひとつずつに歴史があり特徴があることを理解し、その良さを表現することからスタートする。商品の特徴を活かさないと「いいデザイン」とはいえない。
だからRooootsというネーミングにこだわったのです。Rootsの意味は、根源、根っこがあるということ。それを10000(四つの丸)人のクリエイターが見つめ直す。そしてそこに新たな価値が生まれる。そんな想いをこめが造語なのです。
来週は香川にいって、この熱い思いを胸に、メーカの皆さんと実際の商品開発スタートのためのキックオフをしてきます。今年の芸術祭が楽しみです!