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Roooots グッドデザイン賞の受賞

グッドデザイン賞の受賞式に行ってきました。去年から取り組んでいる「クリエイターによる名産品リデザインプロジェクト」が、2010年度グッドデザイン賞・パブリックコミュニケーション部門にて受賞したからです。
グッドデザイン賞の授賞式
▲(左)一緒にプロジェクトを進めた桑原さん(右)佐藤可士和さん


残念ながらベスト15に残ることはできませんでしたが、このRooootsプロジェクトから学んだことは沢山あります。
『情熱は成果を生む』
始まりは2年前、桑原さんとの何気ない打ち合わせ。「大地の芸術祭で人は沢山きてくれるようになった。これを一歩進めて、地元メーカーの活性化につなげられないか」という桑原さんの問いに「それならクリエイターの情熱と新鮮な視点がきっと力になれる!」と即答。「地域の名産品を全国のクリエイターがリデザインする」というRooootsの構造が生まれました。
 ・インターネット公募で全国のクリエイターからデザイン案を集う
 ・応募デザインはリアルタイムにサイトでオープンにする
 ・審査では実績は一切問わずデザイン案で判断する
 ・最終デザインにはクリエイターが責任を負う
  クライアントは修正指示はださない
などなど、どれをとっても「前例」も「実績」もないところからスタートしたこのプロジェクト。それがこの2年間で越後妻有アートトリエンナーレと瀬戸内国際芸術祭において計50点近い名産品のリデザインを実現しました。
リデザインした商品の売上は平均で3倍増。多いものでは20倍にまで増えたものがあります。中には売上が好調すぎて納品しても納品しても品切れになってしまうアイテムも生まれました。
障害者の方々を雇用している社会福祉法人ワークセンターなごみの「かりんとう」もそのひとつ。私がお会いした時はビニール袋に試作クッキーが詰められていた状態だったのが、今回のリデザインにより売上が急増。工場を建て増し新規雇用の創出にもつながったとのこと。嬉しいニュースです。この商品は先月厚生労働省が障害者の雇用改善を図る「至福のお届け」というイベントで全国最優秀賞も受賞しました。
またデザインについても国内外で既に8個以上の権威ある賞を受賞しています。グッドデザイン賞、ニューヨークの2010 One Show Design、イギリスのD&AD Awards 2010、東京TDC賞2010、Pent Award 2010、日本パッケージデザイン大賞、アジアデザインアワードなど。
これらの素晴らしい成果を生み出したのは、デザインの力を信じてくれた地元メーカー、真摯に課題に対峙してデザインの力で解決を図ったクリエイター、成果を生み出せるかどうかプロの目で判断してくれた審査員、そして全体をコーディネートした運営メンバー、みんなの情熱だと思いました。
お酒のパッケージを審査中
▲一回目の審査会 選ぶ側も責任重大、超真剣です
高松のおうどん屋にて
▲地元メーカとの打ち合わせに高松まで。合間に食べたうどん
『生み出した価値はコミュニケーション』
Rooootsはデザインプロジェクトではあるけれど、デザイン以上に大切な成果は、日本の伝統を支えるメーカーと全国のクリエイターのコミュニケーションを創造したことです公募を通じて日本中のクリエイターが越後妻有や瀬戸内において引き継がれている伝統文化を知り、それらを守り続けるメーカーと対峙する。そして自分なりにその価値を再定義してくれたのです。
また地元メーカーの方々は今回のクリエイターとの対話を通じて、デザインの可能性やインターネットの可能性を感じてくれたことと思います。それは無形だけどかけがいのない価値を生み出していると信じています。
ルーブの和三盆ロールケーキ
▲デザインを監修する時にはメーカーも訪問
『もっと深く、もっと広く』
Rooootsのプロジェクト、これからも継続して取り組んでいくつもりです。大きく目標は2つあります。ひとつは「リデザイン」の領域を広げ、パッケージだけでなく商品そのものの「リデザイン」まで踏み込んでみること。例えば今まで着手できなかった着物や漆塗りといった伝統工芸品。これらの技術はそのまま活かしながら、どのような商品にすると現代の私たちの生活の中に復活するか。そんなことにチャレンジしたいです。
それから世界とつなぐこと。海外のクリエイターからデザイン公募に参加してほしいし、その先にはRooootsのスキームを海外に輸出し、海外の伝統工芸品を日本/世界のクリエイターがリデザインする。そんなプロジェクトにも展開したいと思っています。
世界中のRooootsを目指して頑張ります。
グッドデザインエキスポ2010に出展



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