仕事でシンガポールに来ています。でも今日はあまりに仕事がたまっていたので午前中のMTGはスキップし、メール対応や提出書類づくり、そしてずっと気になっていたCSS Nite LP7についての振り返りのブログを書いたりしています。
CSS Niteは参加する人たちの意識がすごく高いところに特徴があると思います。価値がある話をすれば「よかったよ」とコメントをもらえて手応えがあります。逆に手を抜いたプレゼンでもしようものなら「レベルが低すぎる」とばっさり斬られてしまう恐ろしさもあるのです。
今回は、IA(インフォメーションアーキテクチャ)についての特集版でした。私はIAの専門家ではないのですが、IAについて初心者の人から専門家としてよりスキルアップを図りたい人まで幅広く参加するので、「IAの専門家ではないディレクターがどのようにIAの視点を取り込めばいいか」について話をさせてもらうことになりました。
IAについての専門知識はコンセント長谷川さんや、のぶさとさん、坂本さんたちが話することになっていたので、私は「知識」を「実行」にうつす際に心がけてほしいポイントを、できるだけ具体的に話しよう、と心がけました。
当日使用したスライドはこちらです。
反省と補足したいこと。
・ドキュメントをつくることが目的ではない
プレゼンの中で「プロジェクトマネジメント計画書」をぜひつくってくださいと話させてもらいました。でもこれは「ドキュメントづくりが大切だ」ということではありません。質疑応答の中でもでていましたが、過剰なドキュメントづくりは、プロジェクトを硬直化させるし、余分なコストを生み出すだけです。
ただ、私がPMOとして多くのプロジェクトを見ていて感じるのは、プロジェクト担当者がわかった気になっていて実は表面的な理解で終わらせてしまいがちなのが「プロジェクトの目的と目標」なのです。だからこそ一度言葉に落としてみるプロセスが重要だと思っています。
これはペルソナ開発やワイヤーフレーム作成を実施する理由にも通じることで、もしプロジェクトメンバーみんなが対象を把握し、プロジェクトの目的と目標も共有できていれば、ペルソナシートもワイヤーフレームもそんなものいらず、プロトタイプ開発に着手すればいいいと思います。
ただ現実的には、多くの人がそれぞれの理解度や思惑でプロジェクトに参画している。また明文化するプロセスがあったからこそ、矛盾や欠けている情報に気づいたりすることもあります。プロジェクトメンバー間の共通認識(ベースライン)を設定するための手段としてドキュメントが有効になるのだと思っています。
ドキュメントはコミュニケーションツールのひとつにすぎません。プロジェクトの状況や内容に応じて臨機応変に使い分けてほしいなと思っています。
・参加する人のニーズを真剣に考え、話す内容や会場規模を設定する
今回、アンケートを拝見して「すごく参考になった」というコメントと対照的に、「知っていることが多くて学ぶことがなかった」というコメントもいただきました。たしかに「IAの専門家でない人がどのようにIAを取り込むか」という前提を意識しすぎていました。IAに関する情報は他の講演者からと思って意識的にIAの要素を割愛したところもあり、この点については他の講演者と内容が重なってもアプローチの違いもあるわけですし言及すべきだったと反省しています。専門的に知りたかった方に有益な情報を提供できず申し訳なかったです。ごめんなさい。
大人数のイベントを設計するときによく感じる難しさでもあります。事前に参加者のニーズを想定し(これこそプロジェクトの目的と目標ですね!)主催者と相談して、イベント全体で満足度を高めるための工夫をしていきたいなと思いました。
・Twitterがイベントに対してのパワフルなフィードバック機能になりつつある
リアルタイムで講演内容に対してのコメントがtweetsされていたのも印象的でした。なんと参加者の半分以上がiPhoneを保有。他の参加者のtweetsをチェックしながら講演を聞くスタイルが定着していました。これは、強い声に引っ張られる部分もあってポジティブな面もネガティブな面もありそうですが、でも全体としてイベントに対してフィードバックの機能がより強く働くようになったといえます。講演する側も本気でぶつからないと許してもらえない時代だなと感じました。
CSS Niteは本当に参加するたびにいろんなことを考えさせられるイベントです。
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