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椿昇 ”Gold/White/Black–Complex”

3/13(土)に椿さんの個展に行ってきました。今まで体験したことがない刺激的な展覧会だったのですが、PRがあまりされていなくて行った人が少ないようなので、ブログレポートしなくては、と思い仕事中に書いてます(笑)
「絶対見といてください、ポリティカルエンターテイメント爆発~」
「これを見たか見なかったか・・・歴史の問題ですよー。作品じゃなく事件です。」

なんてメールを椿さんからもらっていたので、誘惑に負けがちな土曜日ですが、なんとしても行かなくてはと思っていました。当日夕方、川崎とは知っていたけどどの辺りだろうと調べてみると、京浜工業地帯の浜川崎という辺鄙な場所。電車では1時間半もかかってしまうとGoogleMapsが言うので、夜7時からのトークに間に合わせるために急遽車で行くことに変更。
会場住所を登録して運転していると、両側工場で何にもないところでおもむろにカーナビが「目的地周辺に着きました。これでナビを終わります」と言うではないですか。おいおい、私は目的地についてないよ、職務不履行だ〜と心で叫びながら、慌てて車をとめて周辺をさまよっていたところ、ちょろちょろと人の流れを発見。その流れに着いていくことで、無事会場にたどり着けました。あぶない、あぶない。夜の工場地帯を一人でさまようのはかなり怖かったです。
椿昇 GoldWhiteBlack展
椿昇 GoldWhiteBlack展
▲工場地帯ににょっきり旧体育館が出現


さて、会場はもう使われていない古い体育館。最初に暗い廊下の壁に、巨大な作品が現れます。
ヨハネスブルグの鉱夫の写真をサンプリングしてPCゲーム用にバーチャルな肉体に変容したものをインクジェットで出力した作品とのこと。売りやすいペインティングを志向する安易なアートマーケットへの批判の意味も込めてあるそうです。
椿昇 GoldWhiteBlack展
廊下を抜けると一気に時間が進んで未来的な作品が目に飛び込んできます。そこにはスタンレー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」をイメージした木星と、日本が打ち上げたという設定の宇宙ステーションが描かれています。
椿昇 GoldWhiteBlack展
その部屋にあるほそ〜い階段を登ると、戦略室みたいな小部屋がありました。実はギークな椿さんらしくコンピュータが複数台並んでいて、コックピットのようなガラス窓には緻密な映像が投射されていました。世界征服を狙っている作戦室みたいな雰囲気です。部屋にはオリジナルと思われるラップが流れていて、床には椿さんとプーチン大統領の二人のポートレイトが散らばっていました。

△小部屋の動画
次の部屋が一番怖かった部屋。下には石炭と円盤があって、左右には光り輝く金色のオブジェがあったので、古い祭壇をイメージしたのかなと気軽に足を踏み入れました。そしてふと中央の映像に目を。「魚かな?それともCGのキャラクターかな?」何が映っているのかよくわかりませんでした。でも見ていたら場面が切り替わって、牛を殺している映像で、キャラクターかなと思っていたのは死んでいく牛の目だということがわかりました。この瞬間に本当に気持ち悪くなって吐きそうになってしまったので、慌てて部屋をでました。
椿昇 GoldWhiteBlack展
その後のトークでわかったのですが、あの映像はバングラディッシュのお祭りの様子で、男性はナイフ一本で牛を殺す慣習があるのを撮影したものだとか。
私たちは普段の生活で「牛肉を食べること」と「生きている牛」の間に横たわっているプロセスを自分たちに都合よくクリーンなイメージにして省略してしまっています。牛が殺される映像を見るだけで「吐き気がする」軟弱な私たちに、椿さんから「お前らが牛を食べるってどういうことか、わかってる?世の中、多くのことがキレイごととして語られているけれど、現実にはこういう残虐な行為、吐き気がしそうな行為が山ほど隠されているんだよ」と突きつけられているような気がしました。
さて、逃げ込んだ最後の部屋にあったのは全長30mの巨大なミサイル型バルーン。ロシアの大陸間弾道ミサイルを実物大で再現したもので、側面には「NIPPON」と描かれていました。側面から投影されている光の加減で、ピンク色になったり赤になったり白になったり。真っ暗な体育館に輝くミサイルは、とても幻想的なものでした。
椿昇 GoldWhiteBlack展

トークショーもこのミサイルの前で行われました。さむ〜い体育館には、迫力のある椿さんの展覧会にノックダウンされてしまった観客が100名近く、じっと耳を傾けていました。
椿昇 GoldWhiteBlack展トークショー
展覧会会場を離れた後も、しばらくの間は脳が見たもの・受けた刺激を処理できず、頭の中がぐるぐるしてしまいました。
でもきっと椿さんは、動物愛護を訴えたいのでもなければ、環境問題を説教したいのでもなく、ただ事実をもっと徹底的に、もっと深く、そして全力で「世の中の情報コントロール」を振払って、生きているということをみて感じようよ、と訴えているようにも感じました。
コミカルでもあり、教育者でもあり、アジテータでもある椿さん。その魅力にますますはまってしまいました。
展覧会の映像もあるようなので、観に行けなかった人はこちらからどうぞ。



Comments 1

  1. Mitsuhiro Suwa

    超こえっす。
    もうこえーから…ステーキ食べにいってやる!

    返信

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