nowと大きく書かれた作品。
未来美術家 遠藤一郎さんの作品です。
これを買ちゃいました。
キャンバスに使われているは2010年4月1日のNew York Times.
そう、エイプリルフールの新聞です。
すべてが嘘のようでもある。
いつかうまくいくという未来への展望や、
色んなことがうまく行っているというニュース。
そんな蜃気楼のような儚い未来に頼るのではなく、
今、地面についている両足の感覚、
今できること、今やっていること、
その「今」という現実に対峙して人生は勝負するものなのではないか。
遠藤さんはそんな問題提起をしてくれました。
「材料費は50円です。
さあ、これを今からオークションにかけます。
いくらで買いますか?」
ギャラリーでいきなりはじまったオークション。
突然のパフォーマンスに少し躊躇している会場。
でも私は遠藤さんの本気の問いに応えずにいられませんでした。
「一万円!」
最初に手をあげました。
一万円の根拠は全くありません。
自然と口にした金額でした。
何回か応札するつもりだったのですが、残念ながら(私にとっては幸いなことに)、こんなアドリブのオークションにのるのは私くらい。めでたく落札し、私の手元にこの大きな青い「now」が届くことになりました。
この作品購入とほとんど時を違わずに、父に胃がんが見つかりました。そのことをTweetしたら、友人が骨肉腫で難しい抗がん治療をしていることもわかりました。
この2つのショッキングな事実に直面した時に私の脳裏に浮かんだのは遠藤さんの大きな「now」でした。
過去をクヨクヨしたりしている暇はない。
未来を夢見ていても始まらない。
大切なのは「今」。
勝負は「今」。
今の課題、今の感情、そして今の取り組みが積み重なって過去ができ、未来に繋がる。
ありきたりだけど、命の大切さに直面してそう感じました。
それと同時に遠藤さんの作品がますます愛おしくなりました。
この作品を手に入れることができた私はしあわせ。
あの瞬間の「now」を大切にしたからかな。
オフィスに飾ってみんなの意見を聞いてみようと思っていたけど、
今がすべてと癌と戦っている友人の病室に持っていくことにしました。
今がすべて。
Comments 3
お父様もお友達も、早く良くなるといいですね。
私の父は、11年前に肝臓ガンで他界しました。
もうすぐ連休ですが、私にとっては11年前から「あー、そろそろ父ちゃんの命日だわぁ」ですw
30年以上“テレビ屋”として勤めた広告代理店を定年退職して約2年でのことでした。
本人は、定年以降、趣味の競馬と水泳を中心に行動予定を立てていましたが、退職後の初めての検診でガンが見つかり、結局一つも叶いませんでした。
それでも父の最期の言葉は意識を失う直前に私が背中を擦ったときに言ってくれた「ありがとう」で、表情も穏やかでした。
とは言え、その予定に向けて書かれたノートを見る度、父の悔しさを思い、私は後悔しないように生きようと決意を新たにします。
ちなみに、父は、20年前から今のテレビ不況・広告不況を主張していました。
通夜や葬儀には、同じ会社の人よりも同じ業界の人の方が多く訪ねてくださいました。
サラリーマンなのに本音しか言わない父は、組織では煙たがられていたみたいですが、私の自慢です。
そうそう、父の本家のお墓は高松だったりします。
最近ご無沙汰してますけどね…。
父/ガン、そして今の季節と言うことで思い出してしまいました。
暗い話でごめんなさい^^;
でも、私の中では暗くない前向きな話だと言うことも伝われば嬉しいです。
とがえりんさん、温かいコメントありがとう。
先週、父は無事退院しました。幸い、初期ガンということで手術も軽く身体への負担も少なかったようです。病院でみた術後の父の顔も妙に生き生きしていて、ああ杞憂に終わって良かったと思いました。
とがえりさんのお父さんもガンだったんですね。検診で見つかっても手遅れになってしまうこともあるのか。お父さんが残したリスト、とがえりさんの宝物ですね。そしてとがえりさんの無尽蔵なエネルギー源になっていそうです。
一緒に頑張りましょうね!
未来に不安だらけで、
今を大事に出来ずにいます。
分からない未来の事ばかりを考えて
不安になって、涙するばかりで
今が見えていませんでした。
もう少し、今の自分を大事にするべきなのかなぁと
思いました。
お父様も友人の方も、良くなりますように。