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覚えておく日

一体、何をやれるつもりになっていたのか。
 
昨日、内閣府による科学技術イノベーション政策推進専門調査会の非公式MTGが開催された。会議室で大人数による議論では、有効な意見交換ができない。都合がつく方だけでいいので、もう少し深く、具体的な議論をさせてもらう時間をもらえないか。内閣府の人に頼んで、作ってもらった機会だった。その代わり、ファシリテーションは責任を持ってやらせてもらうことにした。
 
当日は、朝から議論の進め方をシミュレーションしていた。
 
異なるバックグラウンドを持った専門家が集まって、発散(可能性を広げる)から収束(具体的な提案に落とし込む)までのプロセスを実行する。ロフトワークで、普通にやっていること。その経験を生かせばいいだけ、だ。
 
そう自分に言ってみる。
 
でも、どうしてもうまく意見を引き出せるイメージがわかない。
 
会社の仲間や遊びに来てくれた友人に無茶振りでアドバイズを求めてみる。「自分の視点から離れてもらうための6色ハットを採用したら?」「アイスブレイクを入れたら?」などなど。
 
再び、シミュレーション。
 
結局、付け焼き刃の対策をとっても、迷惑をかけるだけか。そもそも、このMTGはもともと計画されていなかったもの。おまけのような機会なのだから、「正しい意見」を集めようとするのではなく、「こんなことできたらいいよね」というリアリティのある、わくわくするアイディアを集めることに注力することにした。
 
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 △めっちゃフォーマルなMTG
 
でも一旦、会議室に入ってみたら「うーん、これは手強いぞ」。
 
少人数で議論させてほしいと頼んでおいたけど、部屋には人が溢れている。非公式なのにネームプレートも置いてあり、オフィシャル感が漂っている。プレッシャーに負けずに、カジュアルでポジティブな会話を作り出さないと。
 
ファシリテーションをやりながら、キーワードを切り出し、必死でホワイトボードを使って議論を構造化していった。怒涛の2時間、あっという間にMTGは終わっていた。
 
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  △ワークショップで使ったホワイトボード
 
議論した内容は、内閣府の発表資料に反映されるはずなのでそちらを見ていただくとして、自分への質問。納得のいく施策の方向性が示せただろうか?
 
答えは、惨敗、惨敗、惨敗!!
 
少なからず、オープンイノベーションという手法の有効性を考えて、実践してきたのに、情けないなあ。オープンイノベーションを推進するための施策として、「大学との連携」や「PMの活用」という、国がもともと描いていた路線でのキーワードしか抽出できなかった。
 
そもそも、PMとは誰なのか?今まで自分がイノベーションに関わるプロジェクトを実行してきて、大学との連携が必須だと感じたことがあっただろうか?
 
もちろん、大学との連携は可能性のある分野であることは間違いない。でも、その議論は何年も前からあったはず。大学連携を加速させるための具体的なアプローチまで踏み込めたわけではない。
 
「何ができたのか?」「どうやれば良かったか?」「MTGを開催してもらった意味はあったのか?」ワークショップ終了後は、身体の中を行き場のない思考とエネルギーがぐるぐる回っている。深呼吸しないと脳が爆発しそうだった。夜は座禅をしてから寝た。
 
 
今朝、改めて昨日を振り返る。
 
一体、何ができるつもりだったのか?たった2時間の議論で、何か有効な政策が作れるとでも思っていたのか?そもそもそんな期待が、傲慢ではないのか?悔しくて、恥ずかしくて、情けなくて。
 
でも、今までだって、何かをやれると思ってやれたことなんてなかった。ただ、やりたいことを、やりたいからやってきただけ。だから、今回だってそこから始めるしかないのだ。
 
おごってはいけない。
でも諦めもしない。 
いつか有効な政策を作れるようになりたい。
 
悔しくて、泣きながら歩いた今朝を忘れずに記憶しておくためのブログ。
桜の咲く4月1日。いつか、この日を懐かしく思い出すのだ。
 
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Comments 1

  1. 森 隆一

    いい文ですね。官がやる委員会での議論て、予定調和が多いでしょう。それと公開が原則みたいだから、傍聴者も多く、仕切りが硬くて、中々柔軟な議論と、自由闊達な雰囲気にならないことが多いのでは。創造性に溢れた議論は生まれにくいよね。その中で奮闘された様子と、形成された小さなたんこぶを十分感じることが出来ました。
    最近僕も京都の景観問題の市民委員に応募して、約三時間半の議論に参加したんですが、そのために準備したこと、発言しようとしたことの何分の一しか伝えることができなくて、ほぞを噬む(辞書にはこういう漢字が。噛むではないようです)思いでした。それと委員の半分以上が、既に市の何らかの委員になっている人で占められていて、やや新鮮さに問題があると感じました。林さんの果敢な挑戦は、きっと新しい動きに繋がるでしょう。
    僕も継続して、景観問題に取り組み、200年先、500年先には世界に冠たる素晴らしい景観の古都が甦ることを念じます。

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