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イノヴェーションにおけるアートの役割

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△ドナウ川が美しいリンツ
 
リンツ、初訪問中。アルスエレクトロニカに新設された「STARTS PRIZE」の審査員を務めるためだ。
 
STARTS PRIZEは、欧州委員会がアルスエレクトロニカに運営をコミッションしている新しい取り組みで、科学・テクノロジー・アートの融合により、イノヴェーションを加速させるための活動である(STARTS INITIATIVEのミッションを要約したので下記を見てください)。
 
審査によって選出されるのは2つの作品。一つは、圧倒的な影響力や可能性を感じさせるアート作品。もう一つは、テクノロジーとアートとの融合でイノヴェーションの可能性を示す作品。ともに2万ユーロ(250万円相当)が賞金として与えられる。
 
審査員は6名。映画監督(韓国)、UCLAデザイン学科の教授(米国)、社会学者(オーストリア)、事業プロデューサ(チェコ)、哲学者・心理学者(ドイツ)、そして起業家(日本)としての私だ。
 
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これからの科学技術イノヴェーションにおける原動力として、アートに重要性を見い出すヨーロッパの先見性に感銘を受けると同時に、日本における科学技術政策にもうまく反映できればいいのだけれど、とつい考えてしまう。
 
昨晩の審査員ディナーでは、アルスエレクトロニカの創業者を含め、いろいろな人からあたたかい歓迎を受けた。
 
「ジョイは元気かい。たまには遊びにおいでと伝えてくれ」「IAMASの活動はすばらしい」「ニューヒーローの真鍋大度は頑張っていますか」「明和電機の土佐は本当にユニークだ」「ヒロシ・イシイのエネルギーには頭が下がる」などなど。
 
一人一人の日本人が、真摯に向き合い、紡いできたアルスエレクトロニカと日本の関係。今回、一端を担わせてもらう喜びは、言葉では表現できない。気負わず、全力で。
 
審査、頑張ってきます!
 
 
<STARTS INITIATIVE ミッション 要約>
 
イノヴェーションは、競争力のある経済を生み出す原動力である。この認識は周知の事実である。そしてヨーロッパでは早くから、テクノロジー領域における研究開発やその標準化に力を入れてきた。
 
しかし今日、テクノロジーへの取り組みだけでは十分でないことも明らかになってきた。世界中でハイテク企業が急増する中、科学技術のスキルに加え、アートの実践からもたらされる創造性が、イノヴェーションや社会的価値を見い出すために不可欠である。広義のアート的アプローチが、科学やテクノロジーの知識を、イノヴェーティブな製品・サービス・プロセスに変換するためのカタリスト的役割を果たすのだ。
 
それゆえ、欧州委員会は今年、”STARTS INITIATIVE” (Science, Technology and ARTSの頭文字)を発足させる。科学、テクノロジー、アートの融合から生まれるイノヴェーションを促進する取り組みである。
 
アーティストは、新技術を用いて新たな表現に挑戦する。アーティストによるICTを用いた新たな表現のプロトタイプは、新しい経済やビジネスモデル、ひいては社会のあり方を指し示すと同時に、研究開発や教育における新しいアプローチを提示し、社会におけるイノヴェーションの役割を問い直すものになるであろうと期待する。
 
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△夜にひときわ鮮やかなアルスエレクトロニカ・センター


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