NECビッグローブ株式会社 PROJECT

議事録はいらない!?楽しくアウトプットできる環境作り

敢えて何も決めず、共感からスタートしたプロジェクト

Androidの高機能を活かし、デザイン性も優れたプロダクトをつくりたい。Androidはカッコわるいとうイメージを変え、iPhoneユーザにもドヤ顔をしたいと名づけられたプロジェクト「DOYA」。強い信頼関係で結ばれたメンバーの、モノと人を愛し、心地よい体験を追求する強い気持ちに支えられたプロジェクトを、NECビッグローブ株式会社メディアサービス事業部 事業開発グループ主任の瀬川友輔氏と、開発を担当した芳賀康平氏、デザインを担当した株式会社Ligh.の菅原大介氏、ロフトワークのクリエイティブディレクター重松佑、氏家浩史が振り返りました。

重松(ロフトワーク):今回は何も決まっていない状態でスタートし、まず3社で企画を具体化するところから始めました。

NECビッグローブ株式会社 メディアサービス事業部 事業開発グループ主任 瀬川友輔氏

瀬川(NECビッグローブ):企画のざっくりとした叩き台はありましたが、プロジェクトの立ち上げから一緒にやりたいと思いロフトワークに相談しました。当初決まっていたのはAndroidのホームアプリを作るということだけ。議論の過程で最終的にホームアプリでなくなっても構わないと思っていました。

重松:Ligh.の菅原さんには「何ができるかわからないけど、面白いプロジェクトがあるから一緒にやらないか」と声をかけました。別案件で、菅原さんのモノづくりへの強い情熱を感じていたので、この案件も彼とやりたい!と思っていました。一緒に仕事をしたいという熱い想いを伝えたら、何も決まっていない段階でも「面白そう!」と快諾してくれました(笑)。

要件が決まっていない段階でデザイナーに加わってもらうのは、当社では珍しいケースです。菅原さんにコンセプトメイキングやUXの設計からプロジェクトに参加してもらった意図は、より核心を突き感動を生むプロダクトを作りたいと思ったからです。

株式会社Ligh. グラフィックデザイナー・アートディレクター 菅原大介氏

菅原(Ligh.):早い段階からプロジェクトに参加できたのは良かったです。チームの結束がより強くなりますし、考える時間がたっぷりとあったのでより良いものが作れると自信がありました。また仕事以前に、純粋に瀬川さんや重松さんの、ものづくりに対する考え方に共感しました。

議事録や計画書はいらない!?自由に楽しくアウトプットできる環境づくり

ロフトワーククリエイティブディレクター 重松佑

重松信頼できる人と好きなものを作るのがものづくりの基本。何をどう作るかより、誰と作るかを一番大事にしているところがメンバー間の共通点でした。ひとまずAndroidのことは考えず、自分が愛せるものってなに?について語るワークショップをしたり、文房具の話が出たら文房具カフェでブレストをしてみたり、どこからインスピレーションを受けるかわからないのでいろいろな環境や手法を試しました。こうしたプロセスが、結果的に良いチームビルディングにつながったと思います。

氏家(ロフトワーク):動画を使ったユニークな議事録の活用もポイントでした。単に議事録をまとめる手間が省けるだけでなく、プロジェクトの熱量を後からでも確認できるので、プロジェクト中はこの方法で記録を残すようにしました。


▲アプリ名をブレストした時のリアルタイムドキュメンテーション


▲ペーパープロトタイプを行った時のリアルタイムドキュメンテーション

 

菅原:あれは良いアイスブレイクになりました。メンバー同士の距離感が縮まり、チームのパワーが増した気がします。こういう型にはまらない感じが、作っているものを好きになれる環境を創り出し、好きになれるともっといいものが作れるという良いスパイラルを生むのです。

瀬川:みんなが不安定な状態でも自主的に動けるようにするには、決めごとをあまり作らないことです。逆に、そういう状態でも楽しくアウトプットを出し続けられる環境を作ることが大事。議事録だって、ビデオで撮ったほうが楽しさが伝わるしプロジェクトの熱量が上がります。

“もので語る” チーム全員に共通するプロダクト開発への姿勢

菅原:普段はデザインを黙々と作る仕事が多いんですが、今回のプロジェクトでアジャイルなど僕たちの仕事でも応用できる様々な手法を、瀬川さんや芳賀さんから教えてもらえました。

NECビッグローブ株式会社 芳賀康平氏

芳賀(NECビッグローブ):ビッグローブではアジャイル開発による内製に力を入れています。WidgetHomeの開発でもプランニングから実際のデモ制作までを1週間単位で繰り返し洗練させていく”スプリント”と呼ばれる手法を取り入れていました。アジャイル開発の特徴は「まず動くものを作る」。仕様書などドキュメントは一切つくらず、基本的には動くものを作ることを最優先に進めます。

重松:その”もので語る”スタイルは菅原さんにもすごく近いものがあると思います。ある打ち合わせで突然、WidgetHomeのデザインをポスターにしてプレゼンを始めたんです。まずはアウトプットしてみるという姿勢が、チーム全体の共通意識としてあったように思います。

菅原:瀬川さんが求めていたのは、どこがいいのか具体的には指摘できないけど、そこにあると“なんかいいね!”とみんなが思うようなもの。まずは自分の思い描くものを形にしてみることは、それを探すための一つの表現方法でもありました。最終的なデザインとしてタイポグラフィに行き着いたのは、みんなが愛着を感じるものを突き詰めていった結果です。

菅原氏が制作したWidgetsのデザインポスター

目指すは世界制覇!共感の輪を広げさらなる躍進を狙う

Facebookページでは一般ユーザから多くのコメントが寄せられる

重松:4月からプロジェクトが始動し、2週目には現在の原型が見えてきていました。7月にはモックアプリを作りAndroid開発者へのヒアリングを実施、β版公開後はFacebookページへ積極的に情報を公開してAndroidユーザの方々から直接フィードバックをいただきながら開発を進めていきました。

瀬川:自分たちが欲しいプロダクトを考える内的なプロダクトディスカバリーと、市場のニーズにマッチするかどうかを確認する外的な顧客開発の両輪で進めたわけですが、1~2ヵ月もひたすらプロダクトデザインをやっているとチームのモチベーションが下がっていきます。そこに絶妙なタイミングでソーシャルから「いいね!」と反応があるとまた頑張れる。このサイクルがうまく作れたのが良かったですね。

重松:β版公開後の反応は上々でした。リリース後の反響に期待です。何も決まっていない状態からここまでたどり着き、今改めて思うことはありますか?

菅原:“やり方を決めない仕事のやり方”もひとつの方法であることを証明したプロジェクトでした。今回は、それが成功の秘訣だった気がします。

瀬川:一緒に悩んで、一緒に闘ってくれる仲間がいると楽しいし、自分ごととしてプロジェクトに向き合うことが出来ます。言われたから作るのではなく、仲間意識を持ってプロジェクトに向き合ってくれる重松さん、菅原さんとだからこそ実現できたと思います。

重松:ありがとうございます。今後の展望ですが、目指すは世界制覇ですよね?

瀬川:はい。デザインの一つひとつに都市名を付けた狙いもそこにあります。引き続きWidgetHomeのコンセプトに対する共感の輪を広げていきながら、順次プロジェクトを拡大していく予定です。

世界各国の都市をモチーフにしたデザインも展開

重松:メンバー全員が実践してきたのは、頭ではなく“魂で創る”こと。今後も言葉では語れない部分への共感を大事にして、世界でも通用するプロダクトへと育てていきたいと思います。宜しくお願いします。

プロジェクトの詳細

Keywords

Activity