HAPTIC DESIGN CAMP 1
Trying To Develop A New Design World
触覚はデザインできる!?
HAPTIC DESIGN CAMP 1参加レポート
普段なにげなくモノに触れる行為は、「触覚」の情報を生み出します。わたしたちは、この触覚を含め視覚、聴覚などの五感を使い日々様々な情報を取得しています。
視覚に対するビジュアルデザインや、聴覚に対するサウンドデザインがあるように、触覚(Haptic)においても、素材のさわり心地や、情報伝達など、人とモノ、人と人との身体を通じた関係性をデザインすることができます。
そんな触覚のデザイン(HAPTIC DESIGN)を触覚研究の第一人者とともに学び、考えるイベントがFabCafe MTRLにて開催されました。デザインやコミュニケーション、ビジネスに関わるメンバー約50名が参加し、様々な素材に実際に触れ、参加者同士で議論しながら理解を深めました。
リンク:HAPTIC DESIGNとは
議論を広め、HAPTIC DESIGNERを生み出す
さらに小原は、触覚のデザインで導く、新たなものづくりや体験を募集したHAPTIC DESIGN AWARDとゲストの審査員紹介し、イベントがスタートしました。
HAPTIC DESIGNの基礎を学ぶ
人間が身体で経験していることをもう一度整理し、どのようにデザインしていくのか考えるために、プロジェクトをはじめたといいます。第一段として、誰でも使える技術を目指して開発したテクタイルツールキットが紹介されました。
実際に触れていない触覚を電気信号にて変えて体験するもので、タップダンスのリズムや、ザラザラといったや触感を振動の違いとして体験することができます。
さらに南澤氏は触覚をデザインした様々な取り組みを紹介。社会に対して、触を通じた新しい価値の提案を目指して活動していくと語りました。
続いて登壇したのは、NTTコミュニケーション科学基礎研究所の主任研究員である渡邊氏。「Hapticはすでに様々な領域に存在し、意識して捉えることで、ものづくり、衣食住、情報技術、教育において、豊かに、深く伝えることができるようになる」と思いを語ります。
渡邊氏はHapticについて詳細に解説。Hapticを体験する3つの側面をまとめました。
質感:物と人 触覚のテクスチャーデザイン
実感:自己と環境 触覚のリアリティデザイン
情感:他者との関係性 触覚のコミュニケーションデザイン
さらに、具体的に触感の感覚をわかりやすく分類するため、「かさかさ」「ざらざら」「べちゃべちゃ」というオノマトペから、色相環に着想を得たオノマトペ分布図を作成し、感覚の共通言語化の取り組みを実際のプロジェクトとともに紹介しました。
Pseudo-Haptic Music Video
Hapticの基礎講座に続き、ゲストトーク最初のセッションは、Youtubeでの再生回数が1,000万回を超えた、安室奈美恵 「Golden Touch」のMVを手掛けたPARTYの川村氏が登場。川村氏はニューヨークから映像での出演となりました。
Pseudo-Haptic(スードハプティック)の概念を取り入れた本作は、映像の中心に視聴者が指を置くことで、自分の指が様々なアクションを起こしている錯覚を覚える作品。
制作のプロセスを紹介しながら、様々な発見があったと川村氏。例えば、CGよりも実写の物体の方が触っている感覚が強くなりやすいことや、触る前の時間をなるべく確保することで、より強く印象に残せると解説しました。
川村氏の作品に対して、登壇者たちは一様に「やられた〜と思いました」と口を揃える一コマも。
空間認識を変えると、コミュニケーションが生まれる?
ゲストトーク2人目は、大河ドラマのオープニングや、東京駅のプロジェクションマッピングなど、デザインと映像の組み合わせを追求してきたNAKEDの大屋氏。映像が表現者の内面を表すものから、コミュニケーションの道具へ変わっていくのにあわせて、現実の空間で映像を拡張するプロジェクションマッピングという手法にたどり着いたといいます。
さらにコミュニケーションを作り出す空間について考え、リアルな空間で、外のコンテンツと映像がどのように結びつくと、人間の空間認識が変わるのかを追求。人間の生理学的な見地から、触覚の可能性に着目し、日本で初の触感の専門誌「ふるえ」の発行しながら、研究を深めています。
プロダクトの設計は触覚の設計
最後のゲストトークは、おもちゃ開発者の高橋 晋平氏。元々バンダイで10年間にわたり、人を笑わせるネタグッズを作ってきたという高橋氏は、ついついやってしまうハマり要素は全て、触覚であると語りトークをスタート。これまで手がけてきたものを振り返りながら、「触覚」と「ハマリ要素」の関係を紐解いていきました。
simpeiというボードゲームの開発経験から、おもちゃにとって重要なのは気持ちよさだと悟ったと語る、高橋氏は、第一回おもちゃ大賞を受賞した「∞(むげん)プチプチ」の開発秘話を紹介。つい潰したくなる感覚を、アフォーダンス理論で説明し企画化を勝ち取ったと話します。その後、つい潰したくなる様々な商品など、触覚をキーとしたおもちゃや商品をそのこだわりとともに紹介。最後にプロダクトの設計は触覚の設計であると語りトークを締めくくりました。
ゲストトークに続き、南澤氏をモデレーターにトークセッションが展開されました。
触れながら考える、Hapticデザインワークショップ
トークセッションに続いてタッチ&トライのワークショップが行われました。目的はHAPTIC DESIGN AWARDに参加するための触覚を使ったアイデア作り。「質感」「実感」「情感」を伴った新しい触覚体験を4コマの絵コンテにまとめていきます。
アイスブレイクとして行われたのは、さわり心地名刺の作成。会場に用意されて様々な手触りの素材を使って各自を表現するための名刺を作ります。
最後に生み出されたアイデアを発表。キーボードのキーを好みの触感に変えられるPCで体験を改善するアイデアや、エアコンの風を通じて、手を握り、温もりがシェアできるアイデアなど、触れて感じることを中心とした様々なアイデアが発表されました。
触覚をデザインする。これまであまり、意識されることがなかった触れるという視点からのデザイン。この視点の追加が、今後わたしたちの身の回りにどんな驚きや心地よさを伴った体験を提供してくれるのか、これからの可能性を感じるイベントとなりました。
取り組みはまだ始まったばかりですが、ロフトワーク及び、FabCafe MTRLはプロジェクトメンバーとしてHAPTIC DESIGNが多くの人の当たり前になるよう拡大に努めていきます。
執筆:山口 謙之介(ロフトワーク)
イベント概要
Trying To Develop A New Design World
身体を通して自己や外界を認識する触覚をデザインする。
新たなデザイン領域HAPTIC DESIGNをともに開拓しましょう。
ふわふわ、ざらざら、カチカチといった肌触り、存在しないモノがそこにあるという不思議な身体感覚etc.
身体を通して自己や外界を認識する感覚「HAPTIC(ハプティック)」。
VRテクノロジー、素材技術などの発展によりさまざまな産業から注目を集めるHAPTICの研究と、デザインの融合にチャレンジする第1弾イベントを開催します!
HAPTICの基礎を学べる講座をはじめ、コミュニケーション、知育/玩具、ファッション、空間/インテリア分野のデザインのフロントランナーのゲストトークや、HAPTIC☓デザインに関するワークショップも行います。 年内には世界ではじめてのHAPTIC DESIGNのAWARDも計画しています。
HAPTIC DESIGNを通して、産業や社会、生活におけるさまざまな課題を解決する。
プロダクトやエンターテインメントにとどまらず、コミュニケーションや社会のデザインにも可能性を広げる新たなデザイン領域をともに開拓していきましょう。
開催概要
セミナータイトル | HAPTIC DESIGN CAMP 1 Trying To Develop A New Design World |
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テーマ | HAPTIC DESIGNと、コミュニケーション、知育/玩具 |
開催日時 | 2016年11月19日(土) 13:00〜18:30 |
場所 | FabCafe MTRL |
対象 | ・新しいデザインに関心のあるデザイナー、クリエイター ・デザインを学ぶ学生 ・新規事業を担当するビジネスパーソン |
参加費 | 無料 |
定員 | 50名 |
企画 | HAPTIC DESIGN ASSOCIATION |
プログラム | テーマとゲストの異なる2回のイベントプログラムを実施します。 |
プログラム
13:00〜13:30
HAPTIC DESIGN 基礎講座
13:30〜15:30
ゲストトーク
PARTY エグゼクティブ クリエイティブ ディレクター 川村 真司
NAKED Inc. プロデューサー 大屋 友紀雄
株式会社ウサギ 代表 高橋 晋平
15:30〜15:40
休憩
15:40〜17:40
タッチ&トライ、ワークショップ
17:40〜18:30
ネットワーキング