日建設計「Circular Design Collective」の新たな推進体として
「CDC協創会議」が発足。ロフトワークが運営事務局を担当
ロフトワークは、「CDC協創会議」に運営事務局として参画しました。同会議は、株式会社日建設計(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大松敦、以下「日建設計」)の発案・推進による建築・土木領域のサーキュラーデザインプラットフォーム「Circular Design Collective(以下「CDC」)」が、業界全体でサーキュラーエコノミーの取り組みを本格化させるために立ち上げた、多様なステークホルダーの参加による推進体です。
CDC協創会議では、日建設計がファウンダーとして策定した全体理念やビジョンを基に、これまで蓄積されてきた思想や知見を基盤に業界横断のネットワーク化を促進し、循環型建築の社会実装に向けた取り組みを協創により加速させるため、ロフトワークが運営事務局として全体企画や議論の編集・情報発信、および運営管理を行います。
2026年度は、実務者が個人単位で参加する「協創パートナー」制度と、企業単位でCDCの活動成果にアクセスできる「協創企業パートナー」制度を整備。月次で開催する定例会や、協議された事例や知見を集約する「Circular Idea Catalog(CIC)」を通じて、建築・土木領域におけるサーキュラーデザインの実装を加速させる業界横断のネットワークを育てていきます。
背景と経緯:建設業界に求められる「循環型建築」の実装
循環型社会への移行をめぐっては、世界的な規制強化、産官学のパートナーシップ発足、ビジネス市場への企業参入など、国内外でサーキュラーエコノミー推進の機運が高まっています。一方で、サーキュラーエコノミーに関する議論や情報発信が増える一方、社会・経済全体の循環性は十分に改善されていないという指摘もあります。
建設領域は、資源消費や廃棄物、温室効果ガス排出の観点からも、循環型社会への移行において重要な領域です。建物を新しくつくり、使い、壊し、廃棄するという一方向の流れを見直し、既存の部材や空間を資源として捉え直すこと。設計段階から解体後の再利用を見据えること。廃棄物とされてきたものに新たな価値を見出すこと。こうした考え方を、実務の中でどのように成立させるかが問われています。
日建設計は、こうした課題意識のもと、循環型建築を実装するためのデザイン手法「Circular Design」に関する知見を研究・集合知化する活動として、2024年、CDCを発足しました。CDCでは、建築・土木業界から「廃棄物」という概念をなくすことをミッションに掲げ、「Vernacular(すべての部材は地球に還る)」「Design for Disassembly(設計時から解体後の循環を考える)」「Upcycling(廃棄物に命を吹き込む)」の3つの考え方を軸に、循環型建築のあり方を探究してきました。

その第一弾として、循環型建築に関するアイデアや事例、社外専門家情報などを集約した「Circular Idea Catalog(CIC)」が開発され、ロフトワークはその伴走支援を行いました。CICの開発では、サーキュラー建材や実践事例を実務で参照しやすい情報へと整理するため、検索軸・評価基準の設計、定量・定性の両面からの言語化、プロトタイプ開発を行ってきました。

2025年度には、CICをベースに、企業の垣根を越えて知見を共有する仕組みを目指し、日建設計以外の企業7社の有志も参加。建築設計、ゼネコンや空間デザイン・内装領域など複数社による定例会議や評価基準の検討、国内外事例の収集を通じて、議論の深化と業界横断コミュニティの醸成を行ってきました。CDC協創会議は、CDCが培ってきた知見を業界全体で共有し、実践へとつなげるためのさらなる段階として展開するものです。2026年度は、活動をさらに発展させ、より多様な実務者や企業が参加しやすい仕組みとして再構成します。日建設計がファウンダーとして策定した全体理念やビジョンを基に、ロフトワークは運営事務局として、協創会議の企画・進行、議論の記録・編集、運営管理、情報発信を担います。
ロフトワークはこれまで、CICの開発において、循環型の建材や事例を実務で参照しやすい情報へと整理するためのプロトタイピング、検索軸や評価基準の設計、情報の編集に伴走してきました。また、グローバルアワード「crQlr Awards」や、素材・技術・研究を起点とした事業開発支援チーム「MTRL」などを通じて、循環型経済、素材活用、共創型プロジェクトにも取り組んできました。
CDC協創会議運営では、こうした知見編集とコミュニティ運営の経験を活かし、サーキュラーデザインに関する知見を「実装につながる共有知」として育てていきます。
「CDC協創会議」2026年度の主な活動(予定)
1. 定例会
協創パートナーがサーキュラーデザインに関わる事例や論点を持ち寄り、議論を行う定例会です。原則として対面で開催し、東京・大阪・京都などを拠点に、各社の現場や関連施設の視察訪問も組み合わせながら実施します。会議では、単なる事例紹介にとどまらず、「循環型への移行を促進するうえで、どのような構造的課題に取り組むべきか」「取り上げた事例から、どのような実践の手がかりを得られるか」「実現のためには、誰とどのようなコミュニケーションが必要か」といった視点から議論を深めます。年度内には合同視察・合宿も予定しています。
2. Circular Idea Catalog(CIC)
協創会議で扱った事例や議論のインサイトを、CDC協創会議参加者限定の事例集、編集記事として蓄積するアーカイブです。事例や議事録を単に保存するのではなく、実務者が次のプロジェクトで参照できる知見として編集し、CDC内で共有します。
3. 協創パートナー制度
サーキュラーデザインに関心を持ち、実践を志す有志の個人が参加する制度です。参加には、既存の協創パートナーからの推薦・招待と、CDC憲章・規約への同意が必要です。参加者には、議論や言語化への主体的な参加、事例やアイデアの提供、CDC全体の共有知の蓄積への貢献が求められます。
4. 協創企業パートナー制度
企業(法人)単位でCDCの活動成果にアクセスできる制度です。Circular Idea Catalog(CIC)、年次報告書などを通じて、各社のサーキュラーデザイン推進や実案件への活用を支援します。定例会へのオブザーバー参加も可能です。
※協創パートナー/協創企業パートナーへの参加をご検討の方は、下記お問い合わせ先までご連絡ください。参加方法や条件について、個別にご案内します。
「CDC協創会議」参加に関するお問い合わせ
株式会社ロフトワーク CDC協創会議 運営事務局
お問合せフォーム
参考:2025年度の活動実績
2025年度は、日建設計主体のもと、ゼネコン、設計事務所、空間デザイン・内装関連企業など、7社から有志の方々が参加しました。定例会議は、12月・1月を除く毎月開催し、計10回実施。参加各社が国内外のサーキュラーデザイン事例を収集し、実務者の観点から分析・評価するディスカッションを行いました。取り上げた事例は100件以上にのぼります。
また、2025年7月には、岐阜県飛騨市で森林資源の活用と森づくりの連動を推進する「飛騨の森でクマは踊る(ヒダクマ)」による視察ツアーを実施。広葉樹の森、集材所、製材所、木工家具工房、広葉樹の活用と循環を実装した建築「森の端オフィス」を訪問し、国産木材循環の一連の流れを共通体験として学びました。


Message
「協創」からの「競創」へ。業界全体で循環型建築の実践を広げる
CDC協創会議が目指すのは、知見を囲い込むことではなく、協創によって共有知を育て、その知見を各社が実案件で活用しながら、よりよい実践へと切磋琢磨していくことです。活動指針となるCDC憲章では、この考え方を「協創からの競創へ」と表現しています。活動を通じて蓄積されたアイデアやプロセスを業界全体の基盤として共有し、各メンバーが実際のプロジェクトで活用していくことで、日本ならではの資源循環型社会の実現を目指します。

株式会社日建設計
私たちが目指す循環型建築は、資源の再利用にとどまらず、地域の人々に長く愛され、次世代へ受け継がれる建築です。これまで、志を同じくする企業の皆さまと、知見を共有し、実践の土台を育ててきました。今回、ロフトワークを運営事務局に迎え、この「協創」の輪をさらにひらいていきます。共に業界の「あたりまえ」を底上げし、その先で各社の強みを活かす「競創」へ。資源と愛着が循環する豊かな社会を、建築・土木の領域から実現していきたいと考えています。

株式会社ロフトワーク
循環型建築を社会に根付かせるには、技術や素材の知見に加え、自然資本や地域の文化、営みと経済合理性をつなぐ視点が欠かせません。運営事務局として、CDCが目指す、誰もがサーキュラーデザインを実践できる共有知と関係性の構築への共感のもと、これまでの協創を支えてきた皆さまとともに、業種や専門領域を越え、多様な問いを具体的な試行へとつなぎ、過程と成果をひらくことで、実践が生まれる場を育ててまいります。
CDC 協創会議 概要
- 名称
- CDC 協創会議
- ファウンダー
- 株式会社日建設計
- 運営事務局
- 株式会社ロフトワーク
- 活動内容
- 月次定例会議、Circular Idea Catalog(CIC)コンテンツ制作・編集、合同視察・合宿など
- 参加対象
- サーキュラーデザインに関心を持ち、実践する実務者・企業
- 活動期間
- 2026年5月〜2027年3月予定
- 開催形式
- 原則対面、一部オンライン対応
- 主な開催地
- 東京、大阪、京都 ほか
株式会社日建設計
日建設計は、建築・土木の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を⾏うプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来120年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで⽇本、中国、ASEAN、中東で様々なプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。
株式会社ロフトワーク
ロフトワークは「すべての人のうちにある創造性を信じる」を合言葉に、クリエイターや企業、地域やアカデミアの人々との共創を通じて、未来の価値を作り出すクリエイティブ・カンパニーです。ものづくりを起点に、その土地ならではの資源やテクノロジーを更新する「FabCafe(ファブカフェ)」、素材と技術開発領域でのイノベーションを目指す「MTRL(マテリアル)」、クリエイターと企業の共創プラットフォーム「AWRD(アワード)」などを運営。目先の利益だけにとらわれず、長い視点で人と企業と社会に向きあい、社会的価値を生み出し続けるビジネスエコシステムを構築します。




