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Customer Experience × コンテンツ vol.2  - 編集長に学ぶ、読まれるWebライティング - 開催レポート

顧客の心を惹きつける文章を書くために大切なのは、センスではなく、スキル。ポイントさえ押さえれば、Webで“読まれる文章”は誰にでも書けます。そこでWebライティングのコツを「コンテンツを取り巻く現状」、「ユーザとのコミュニケーション」、「ライティングテクニック」の3つの視点から、解説するセミナーを開催。参加者は、ワークショップを通じて基本のテクニックを学び、実践の場での活用に自信を深めました。

Contents is King. 人びとはコンテンツの魅力に惹かれて集まる

株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋

「ビルゲイツは1996年に“Contents is King”と発言していた」と、株式会社ロフトワークの諏訪光洋。なぜ今コンテンツが重要なのか?諏訪は次の3つだと解説。

  • 小さく始められる
  • 溜まる。Googleが認める
  • 知見が育ち、ユーザを知ることができる

顧客に役立つ情報を発信する企業は好まれ、リピーターが増え、ソーシャルの中での地位も上がっていきます。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が作ったデジタルマガジン「NOWNESS」の狙いもまさにそこ。同サイトに人々が吸い寄せられるのは、ルイ・ヴィトンのブランド力ではなく、コンテンツの魅力そのものなのです。

しかし、コンテンツをイチから作り上げるのは容易ではありません。では、どこからスタートすればよいのか?諏訪は、自社の例を引き合いに3つのアプローチを紹介しました。

●イベントを通じてコンテンツ化 
先日開催されたMIT Media Lab@TOKYO 2014の中で、オリンパスが発表した内容(Open Platform Community)がGIZMODOのコンテンツになったように、リアルなイベントはコンテンツに直結します。

●コラボレーションを通じてコンテンツ化
オムロンが眠りに関する製品開発に着手する際に、ロフトワークは、プロセスをオープンにすることを提案。眠りについてみんなで考えるサイト「ねむりラボ」を立ち上げました。オープン化したことで、コンテンツが生まれ、併設したユーザーコミュニティからはユーザのニーズが把握できました。さらに、他業種との新たな企業間コラボレーションが実現するなど、数々のメリットがありました。

●プロジェクトそのものをコンテンツ化
石垣島のさまざまな名産品をひとつのブランドにするべく、ロフトワークとのプロジェクトがスタート。プロジェクト自体をすべてオープンにし、ロフトワークが石垣島を訪れるところからコンテンツ化。(USIO Design Project)

「企業の中にある体験や経験をコンテンツにすることで、ユーザのエンゲージメントにつながり、学びにもなる。ポイントは、息長く作り続けること。コストをかけても長続きしないでは意味がない」と諏訪。だからこそ、社内でもある程度コンテンツを作り続けられることが大事だとして、Webライティングの重要性を強調しました。

コンテキストに合わせたコンテンツを的確に提供

続いて、株式会社のれんの八木康介氏は、コンテンツの力を引き出す3つのポイントを解説。

株式会社のれん 営業推進部 NORENエバンジェリスト 八木 康介氏

Point1:顧客体験を分析する
八木氏は、「リアルの世界でコミュニケーション能力が求められるのと同じで、Webでも、デバイス、場面、気持ち、状況など、多種多様なコンテキストに合わせてコンテンツを提供することが大事」と強調。

そこで、カスタマージャーニーマップ(以下CJM)やメンタルモデルのような分析手法が有効になります。

CJM(カスタマージャーニーマップ)

プロセスを複数フェーズに分解し、ユーザの行動、思考、感情の起伏、タッチポイントを整理。最後に自社サイトで実現できていること、できていないことを明らかにする。

メンタルモデル

ユーザーニーズを洗い出して同類のニーズをまとめていき、各ニーズに対して自社のサービスで対応できているところ、できていないところを明らかにする。

これらの手法を通じて、実現できていること、改善すべきこと、今の技術レベルでは対応できないことが明らかになります。中でも最も重要なのが、改善すべきこと。たとえば、中部国際空港セントレアでは、空港の利用客に直接インタビューし、顧客体験を分析。その結果をWebサイトに反映していきました。

Point2:文章を考える、作る
Webライティングのテクニックが必要。詳細は中野氏のセッションで。

Point3:顧客へ提供する
分析結果に基づいて作ったコンテンツを顧客に提供する際には、CMSの活用が有効。システム化することでコンテンツに注力する余力も生まれます。八木氏は、「UXの対象は訪れる人だけでなく、運用する人も含まれる。運用側の満足度を高めることが重要」として、NORENを使ったWebサイト更新が大幅な省力化につながることをアピール。

テクニックを磨けば、感情を動かす文章が書ける!

本セミナーの目玉は、「アスキークラウド」と「Web Professional」の2つのメディアの編集長を務める 株式会社KADOKAWA 中野克平氏によるワークショップ。はじめに中野氏は、昨今の広告モデルの変化に触れ、「顧客セグメントごとにクリエイティブを作り分けないといけなくなってくると、今日お話しするようなコンテンツの作り方がますます必要になる」と語り、“読みたくなるコンテンツ”の特長に次の3つを挙げました。

“読みたくなるコンテンツ”の特長

  • 自分の常識と異なる
  • でも、自分が体験できる/自分の知識になる
  • 本当のこと

「重要なのは期待値。つまらないのは、期待どおりだから。期待を超えることで感情を動かすことができる。感動させるためには、期待値を構成する常識や前提条件を覆せばいい」と中野氏。たとえば、「強い者が負けた。どうして?」「弱い者が勝った。どうやって?」といったように、Why?やHow?の感情を満たす情報を提供してあげればよいのです。

株式会社KADOKAWA アスキークラウド編集長/Web Professional編集長 中野 克平氏

そこで、読者の期待を裏切りつつ、結末まで読ませるための書き方をワークで実践。「商品を買いたくなる説明文を書く」をお題に、架空の企業向けCMS「SUDARE」の説明文に挑戦しました。

ワークの流れ

  • 1)「転」を決める
  • 2)見出しをつくる
  • 3)あらすじを組み立てる
  • 4)「書き出し語」を考える
  • 5)文章を書く
  • 6)文章を整える

ワークの内容を簡単に振り返ってみましょう。

1)「転」を決める
CMSの一般的な常識と、SUDAREの特徴を書き出し、常識と異なるポイントを見つけ出す。目的は、常識とのギャップを見つけること。起承転結の「転」を探す作業。

2)見出しをつくる
1)で見つけたギャップを見出しに変える。目安は30文字。

(参加者の作成例)

  • その日から使えるマニュアル不要のCMS「SUDARE」
  • どんなページでも対応できる自由度満載CMS「SUDARE」

「これは良い見出しです。自分の中の常識とためらわずに向き合い、対象とのギャップを見つけられれば、それは自分と同じ常識を持つ人にとって、必ず驚きやニュースになるはず」(中野氏)

3)あらすじを組み立てる

文章の要約は、文章におけるデッサン。商品説明の定番あらすじは、課題設定→課題の解決策→買わない理由の否定→購入後のメリット。パラグラフごとに役割を持たせるのがポイント。ワークでは、企業のWeb制作の課題→課題の解決策→導入しない原因つぶし→導入後のメリットで構成。

4)「書き出し語」を考える

普通の言葉、最近の日付で書き出すのはNG。1)~3)までで書き出した言葉の中から、変な言葉(普段使わない言葉、製品を特徴的に表している言葉)を探し、書き出しの言葉にする。コンテキストから敢えて外れた言葉を選ぶのがポイント。

5)文章を書く

20文字×20行の原稿用紙に、書き出し(4行)、解決策(6行)、導入しない原因つぶし(6行)、導入後のメリット(4行)のボリューム感で起承転結を書く。作品や名文である必要はなく、わかりやすい、面白い、深い文章が求められる。

(参加者の作成例)

毎日残業。コンテンツを増やすことの必要性は十分理解しているが、手を動かす人も時間も足りない。そんな悩みを抱えている企業は意外と多いです。
Webサイトを管理、更新できるCMS「SUDARE」があれば、これまで手間をかけていたページの制作、管理がぐっと楽になります。
導入時に必要な教育は不要。誰でも直感的に操作できるデザインなので、実践までの日数もかかりません。
毎日少ない時間でコンテンツを作ることができるため、社内のリソースでも継続的に情報発信できます。自社サイトの根本的な改善に、ぜひ導入を検討しよう。

「『残業続きの毎日』というように、普通とはちょっと違う言葉を先頭に持っていった方がいいですね。日本語の順番を変えるのは実はすごく簡単です。」(中野)

6)文章を整える
ムダな言葉を省き、具体的な言葉に置き換える。指示代名詞は極力使わない、主語と述語は必ず対応させるなど、Webでは、機械(検索エンジン)にとってわかりやすい文章を重視。検索されやすいキーワードも意識する。

例)
×作ることができる → ○ 作れる
×セミナーを行う → ○ セミナーを開催する、受講する

以上のワークを総括し、中野氏は、「文章を書くのに必要なのは、8割がテクニック。基本さえ押さえれば80点まではいける。通常の仕事ならこれで十分!」と強調。参加者たちは慣れない作業に頭を悩ませながらも、“自分にも書ける”ことを実感していたようです。

イベント概要

読まれる文章を書くにはセンスではなく、スキルが必要です。

顧客体験を向上させるコンテンツとは?、を考えるシリーズイベント”Customer Experience × コンテンツ”。第2回目となる今回は、Webライティングをテーマとし、読まれそして共感されるコンテンツ作成の考え方、国内外のトレンドなどをご紹介。

ゲストには、株式会社KADOKAWAから2媒体の編集長を務める中野氏を迎え、3時間のワークショップを通して、明日から使える実践的なWebライティングを学びます。自社サイトのコンテンツクオリティをあげたい、製品やサービスを魅力的に紹介したい、そんな方にオススメの内容です。

開催概要

セミナータイトル Customer Experience × コンテンツ vol.2
– 編集長に学ぶ、読まれるWebライティング –
開催日時 2014年7月15日(火)13:30 – 18:00  (13:00 受付開始)
場所 市ヶ谷 アシスト セミナールーム
東京都千代田区九段北4-2-1 市ヶ谷東急ビル
[地図]
対象 ・読まれるライティングを学びたい方
・顧客体験向上のためにコンテンツを有効利用したい方
・Webリニューアルや、CMSなどのプラットフォーム導入を検討している方
参加費 10,000円(税込)
書籍”Webライティング実践講座” の費用込み
定員 50名
共催 株式会社ロフトワーク、株式会社のれん(アシストグループ)
ご注意 ・参加費は当日受付にてお支払いいただきます。
・開催日まで1週間前を経過したキャンセルまたは無断欠席の場合は、参加費の100%をお支払いいただきますので予めご了承ください。
・プログラムは予告なく変更される場合があります。
・個人、同業のご参加はご遠慮いただく場合があります。
・当日の参加者の皆さんのお写真は、後日公開するレポートなどに掲載させていただきます。
・個人情報は、共催パートナー間で共有し、サービスのご案内以外の目的には利用いたしません。

プログラム

13:30~14:00
「Experience Designとコンテンツの力」
14:00~14:30
「コンテンツの力を引き出す3つのポイント」
株式会社のれん
技術推進部 NORENエバンジェリスト
八木 康介氏
14:30~14:40
休憩
14:40~17:40
ワークショップ「Webライティング実践講座」
株式会社KADOKAWA
アスキークラウド編集長/Web Professional編集長
中野 克平氏
17:40~18:00
ネットワーキング

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