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Customer Experience × コンテンツ vol.1 - H.I.S.の成功事例から学ぶコンテンツプラットフォームの活用 -開催レポート

株式会社ロフトワークと株式会社のれんは、顧客体験を高めるためのコンテンツ活用をテーマに、様々な切り口でシリーズセミナーを企画。2014年5月28日、第一回目はゲストに株式会社エイチ・アイ・エスを迎えて開催。顧客満足度を高めるためのWebコンテンツの役割は何か?これからのコミュニケーション設計のあり方に多くのヒントが見えてきました。

大きな戦略を作るより、小さな意思決定の積み重ねで顧客体験をつくる

株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋

ロフトワークの諏訪光洋は、カスタマーエクスペリエンス(以下、CX)を変革するための基本的な考え方と手法を紹介。はじめに、「CXは主に購買プロセスにおいて最適な体験を届けようとする考え方。ビジネスにつなげることにフォーカスし、どうすれば顧客になってもらえるかを考えながら、タッチポイントを設計していくことが重要」と説明。

さらに「ECや広告、CRMだけでは顧客にメッセージを届けることはできない。企業が持つ顧客との接点を有効に使い正しいタイミングで情報を発信することが大切」と語り、CXをマネジメントしていくために不可欠なのがコンテンツだと強調します。Webコンテンツ特有の問題、具体的には「不定形」「企業視点/販売視点で作らざるを得ない」「膨大で管理が難しい」「感情測定が難しい」「すぐに情報が古くなる」など、多くの企業がテクノロジーは進んでいるのにコンテンツをうまく届けられない状況にあるります。

また企業と顧客との接点は1つではありません。たとえば映画チケットの購入シーンであれば顧客にとって「チケット購入」「待ち合わせ」「予約確認/入場」「映画本編の鑑賞」「鑑賞後の食事」までが“映画を観ること”であり、これらすべての体験を捉えて全体最適を図る必要があります。

パソナキャリア新卒サイト制作で作成したカスタマージャーニーマップ

では、CXの全体最適化はどう進めればよいのでしょうか。諏訪は、「大きな戦略を作るより、小さな意思決定の積み重ねでCXを捉えていくとよい」と語り、そのためのツールとしてカスタマージャーニーマップ(以下、CJM)が有効と説明。CJMは、顧客があるサービスを利用する際の一連の流れを、行動、思考、感情の“旅の道程”に見立てて、記録・整理するための手法です。

CJMを作る流れ

顧客の行動を調査 → 集めた情報をマッピング → 行動を俯瞰し体験を分析 → 改善案を検討

つまり、CJMにより現状のタッチポイントを見える化し、顧客を理解した上で、小さなサイクルで仮説→検証を繰り返しながらそれぞれの顧客体験をブラッシュアップしていくことになります。

柏の葉オープンイノベーションラボ「KOIL」

この考え方を実践したプロジェクト例として、諏訪は、2014年4月にオープンした柏の葉オープンイノベーションラボ「KOIL」を紹介。ロフトワークがサポートしたのは、空間プロデュース、Co-Creationマネジメント、サービス開発、会員管理システム構築、タッチポイントの創出などを含むエクスペリエンスデザインです。それは、「表層的なデザインではなく、価値ある体験を提供するためのデザイン」と諏訪。最後に「体験の変革は、Webに限らずサービス全体を俯瞰して、顧客の体験を可視化した上で最適化することから始まります」と強調しました。

大切なのはコンテクスト(背景や状況)をとらえた質の高い情報発信

株式会社のれん 営業推進部 NORENエバンジェリスト 八木 康介氏

株式会社のれんの八木康介氏は冒頭で、「スマートフォンやタブレットの登場を機にデバイスの多様化が進み、情報が欲しい!と思ったタイミングや状況に直結してコンテンツにアクセスできるようになった」と指摘。それでもなお、企業本位の画一的なコンテンツを提供していてはユーザの満足度は上がりません。

「質の高い的確なコンテンツを提供するには、コンテクスト(背景や状況)の中でコンテンツを考えていかなければならない。重要なのは、ユーザの思考と直結しているコンテンツであること」と八木氏。そこで、ユーザの思考と発信したいコンテンツを結びつけるために、CJMを作りユーザ行動とその時の感情を整理することが必要になってきています。八木氏は、続いてこの手法を使ってWebサイト改善に成功した事例を紹介。

中部国際空港セントレアのサイトリニューアルを想定して作成したCJM

中部国際空港セントレア

情報を掲載することが優先されたコンテンツ作りを見直し、最高のおもてなしを提供できるサイトを目指した。空港でお客様にインタビューし、ユーザ行動を分析。改善ポイントを明確化してリニューアルに反映。

H.I.S.

手作業で更新していたため、問い合わせをしないと空き情報がわからなかったが、改善後は空席管理システムとの連携により空き情報を表示。

いずれもコンテンツプラットフォームNORENを活用した事例であり、その理由を八木氏は「顧客満足度が高くても、運営側の満足度が低いとうまくいかない。Webサイトに関わる全ての人に対して質の高いユーザエクスペリエンス(UX)を提供できない限り、継続的な運営は難しくなる。UX実現のための基盤としてNORENのようなコンテンツプラットフォームを使えば、スピーディーな更新に加え、デイバスに応じたコンテンツの出し分けも簡単」と説明。

以上を総括し、「ユーザにエクスペリエンスを提供すること」とは、次の3つを実践することだと語りました。

1.CJMやメンタルモデルで顧客体験を分析する
2.Webサイト基盤としてのCMSを使って顧客に提供する
3.アクセスログ解析ツールやCMSを使って分析し、運用する

マスメディアに頼らず、常にお客様とつながり続けられる仕組みづくりを推進

株式会社エイチ・アイ・エス 本社情報システム本部 US推進グループ コンテンツ・マーケティングチーム 大石 学氏

最後のセッションでは、ゲストに迎えた株式会社エイチ・アイ・エスの大石学氏が、コンテクストを理解したうえでコンテンツを出し分けることによってWebの課題をどうやって解決したのか。そのアプローチの詳細を紹介しました。

Web戦略上の課題

安さを強調するマス広告を中心に展開してきたが、激しい価格競争の末、値段による差別化することが難しくなってきた。

解決方法

常にお客様とつながり続けられる仕組みを作ることで、「マス広告に頼らないプロモーション」と「商品の機能的価値だけでなく、情緒的価値を伝えること」を実践。

H.I.S.の運用するソーシャルメディア一覧

「少ないコストでお客様とつながり続ける仕組みを作るためには、SNSを利用しお客様にファンになってもらうのが有効だと考えた」と大石氏。そこで、顧客の旅行商品購入までの流れを分析。旅行を計画していない人たちにも、ふとした瞬間にH.I.S.を思い浮かべてもらうことを目指し、13種類ものソーシャルを運用するとともに、顧客のステージに応じた施策を展開しています。

旅行情報を必要としていない普段ステージの人向け
絶景で興味を喚起したり、他社とコラボして旅行ではない切り口でアプローチ
具体例)FacebookやH.I.S.スマホアプリの活用、他社コラボキャンペーン

興味段階の人向け
観光情報のコンテンツで商品への導線を用意
具体例)海外支店ブログ、海外支店Facebook、旅行情報ページ、Twitter

行動段階の人向け
H.I.S.の商品を見てもらうためのプッシュ型営業
具体例)Web広告、マス広告、LINE、LINE@、メルマガ、店舗、H.I.S.ホームページ

つまり「各メディアを使い分けオムニチャネルを推進することで、どの段階でもH.I.S.に関わってもらえる仕組みづくりをしている」と大石氏は説明。しかし、これだけの運用を継続するとなると更新量も膨大です。そこで導入したのがコンテンツプラットフォームのNORENです。

「HTMLの知識がなくても簡単に更新でき、商品を一括で差し替えることが可能。長時間かかっていた作業が大幅に短縮され、人件費の削減にもつながっている」と大石氏。前セッションで八木氏が語った「運営側の満足度」とはまさにこのことであり、“常にお客様とつながり続ける仕組み”を支える重要な基盤としてNORENが大きな役割を担っているようです。

パネルディスカッション

セッション終了後は登壇者によるパネルディスカッションを実施。モデレーターを務めたロフトワークの君塚は、セッションでは聴き切れなかった情報を中心にCX向上のノウハウを引き出すと共に、会場からも質問を募集。制作会社、CMSベンダー、発注者という登壇者3名の異なる視点から、CX実践のヒントが数多く提供されました。

イベント概要

「欲しい情報が、スムーズに手に入る」。これは、ユーザがWebに求めるもっとも重要な体験ともいえます。

Webに訪れるユーザの行動、ニーズ、気持ちなどを企業側から寄り添い正しく理解できれば、顧客体験向上につながる最適なコンテンツを提供することが可能です。

本セミナーでは、”Customer Experience × コンテンツ” をテーマにカスタマージャーニーマップなどを活用した体系的な顧客理解、戦略&戦術の考え方、実際の情報発信に欠かせないコンテンツプラットフォームについて複数の成功事例を通してご紹介します。

ゲストには、エイチ・アイ・エス 大石様をお迎えし、オムニチャネルという視点からどのような戦略でWebを活用されているのかをお話いただきます。

開催概要

セミナータイトル Customer Experience × コンテンツ vol.1
– H.I.S.の成功事例から学ぶコンテンツプラットフォームの活用 –
開催日時 2014年5月28日(水)14:30 – 17:30(受付開始:14:00)
場所 市ヶ谷 アシスト セミナールーム
東京都千代田区九段北4-2-1 市ヶ谷東急ビル
[地図]
対象 ・顧客体験向上のためにコンテンツを有効活用したい方
・CMSなどのコンテンツプラットフォームの導入を検討されている方
・マーケティング、システム、Webマスター
参加費 無料
定員 80名
共催 株式会社ロフトワーク、株式会社のれん(アシストグループ)
ご注意 ・プログラムは、予告なく変更される場合があります。
・個人、同業のご参加はご遠慮いただく場合があります。
・当日の参加者の皆さんのお写真は、後日公開するレポートなどに掲載させていただきます。
・個人情報は、共催パートナー間で共有し、サービスご案内以外の目的には利用いたしません。

プログラム

14:30~15:00
「Experience Designの今」
・Experience Designとは?
・市場の背景や先端事例
・企業が今起すべき具体的なアクション
15:00~15:30
「成功事例をジャーニーマップで解説!コンテンツ最適化のポイント」
・なぜ、今、コンテンツが重要なのか?
・ジャーニーマップとコンテンツ最適化の関係
・成功事例紹介
株式会社のれん
技術推進部 NORENエバンジェリスト
八木 康介氏
15:30~15:40
休憩
15:40~16:10
「オムニチャネル時代のH.I.S. Web戦略」
・背景&課題から考えた戦略
・心理プロセスごとのアプローチとそのためのコンテンツ
・コンテンツプラットフォームの活用
株式会社エイチ・アイ・エス
本社情報システム本部 US推進グループ コンテンツ・マーケティングチーム
大石 学氏
16:10~17:00
パネルディスカッション
株式会社のれん 八木 康介氏
株式会社エイチ・アイ・エス 大石 学氏
株式会社ロフトワーク 諏訪 光洋
モデレーター:株式会社ロフトワーク 君塚 美香

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