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課題の“見える化”からはじめるWebリニューアル 開催レポート

なぜWebサイトをリニューアルするのか。目的がはっきりしないままプロジェクトが走り出すと、結果的に成果の出ないことにムダなリソースを投入することになりかねません。ロフトワークは2014年11月27日、成果に貢献するWebリニューアルの考え方、手法を解説するセミナーを開催。参加者は、セッションとワークショップを組み合わせた実践的なプログラムを通じて、自社の課題と向き合いました。

ビジネス全体の流れを俯瞰し、コミュニケーションをデザインする

ロフトワークの矢橋友宏は、Webリニューアルの進め方について事例を交えながら解説。

ロフトワーク 取締役 兼 CMO 矢橋友宏

冒頭で花屋を例に、目的の達成に向けたアプローチに言及した矢橋は、「売上を上げるには、売上の構造を分解して個々のパラメーターについて施策を講じ、それぞれの数値を上げていくことになる」と説明しました。

<売上構造の分解>
売上=客数×来店頻度×購入単価

客数を上げる
例)立地、プロモーション、口コミ、販売方法などについて検討する

来店頻度を上げる
例)ポイントを貯める仕組みを作る、イベントを意識的に作る、季節の花などシリーズ化する、頒布形態を採用する など

購入単価を上げる
例)増量キャンペーンを行う、グレードをあげてもらう、セット売りする など

 

「これらの打ち手を考えていく際には、誰に?どんな用途で?いつ買ってもらうか?を言葉にしていく必要がある。つまり、ビジネス全体の流れを俯瞰し、分解し、目標に近づけるためのプランを立てるということ。ビジネスモデル・キャンバスなどのフレームワークを活用するとよい」(矢橋)。

一方でユーザ側に視点を置くと、「認知から購入に至るまでには、B2B、B2Cを問わずコミュニケーションが重要になる」として、カスタマージャーニーマップなどを使ったユーザオリエンテッドなコミュニケーション設計の必要性を強調。特に、絶妙なタイミングで絶妙な情報を伝えることで信頼関係を獲得し、認知~ファン化まで自然にコミュニケーションしていくことがポイントだと語ります。

しかし、Web上でこうしたことを考えていく上で見失いがちなのが、Web本来の目的です。矢橋は、「目的はPVを上げることではないし、情報を発信するだけでは目的を達成したことにならない。大事なのは、情報を受け取った人になんらかのアクションを起こしてもらうこと。そのために対話やインタラクションが必要になるのであり、Webで考えるべきことは、キレイに作ることではなく、どのようにコミュニケーションしていくか。すなわち、コミュニケーションデザインである」と語り、コミュニケーション設計の成功事例を紹介しました。

 

Case1 津田塾大学
大雪予報の出た試験当日、緊急お知らせページを作成し、トップページにリンクを掲載。試験時間などに変更がないことを告知しつつ、構内の雪の様子をリアルタイムにアップした結果、ほとんど問い合わせがなく広報も情報発信に専念できた。

Case2 日本製粉株式会社
複数部門の担当者を集めてワークショップを実施し、ユーザ行動について分析。その結果に基づいてWebサイトの構造やコンテンツの方向性を計画し、具体的なクリエイティブの作成を進めていった。

まとめ:リニューアルにおける流れ

  • ビジネス全体の流れを俯瞰し、目標に近づけるためのプランを立てる
  • ユーザの課題やニーズと、検討プロセスを視覚化する
  • ユーザの課題やニーズと、検討プロセスを視覚化する

ビジネスゴールにつながる改善にリソースを割くには?

ロフトワークの柏木鉄也は、「いきなり個別の課題にフォーカスしてもWebリニューアルはうまくいかない。ビジネスゴールにつながるような改善に時間と労力とお金をかけるべき」として、Webサイトにおける課題解決の代表的な手法を紹介。

ロフトワーク プロデューサー 柏木鉄也

まず、個別の課題について考える前に、3つのステップを実践することを提案しました。そのポイントと具体的な手法は次のとおりです。

STEP1 コミュニケーション戦略を整理する
Webサイトはコミュニケーションチャネルの一つに過ぎないため、まずは企業の活動全体を俯瞰してみる。

●ビジネスモデル・キャンバス
ビジネスモデルを可視化する手法。ビジネスに必要な要素を9つのブロック(顧客・提供価値・チャネル・顧客との関係・収入・キーリソース・キーアクティビティ・キーパートナー・コスト)に分解し、その相関を整理していくことで、自社のビジネス全体を俯瞰できる。

SETP2 Webサイトの役割を明確化する
ユーザ体験を設計し、その中でWebサイトが担う役割を決める

●カスタマージャーニーマップ
顧客の購買プロセスを旅になぞらえ、次の手順で顧客の行動、思考、感情の起伏、タッチポイントを整理する手法。

顧客行動の収集
時系列で顧客行動を書き出し、行動の目的に応じてグルーピングする
考えていること、感じていることの収集
グルーピングされた行動ごとに考えていること、感じていることを書き出す
ユーザニーズの整理
ユーザストーリーを時系列で整理し、時系列ごとにニーズを書き出す

STEP3 運用シーンを想定する
次の課題を見つけて改修していく際に、更新やメンテナンスなど、きちんと運用できるかどうかを考える。

運用シーンのチェックリスト

  • 仮説→実施→検証を担うWebマスター
  • コンテンツオーナーと制作リソース
  • 編集会議の議題と出席メンバー
  • 定期観測する情報
  • ユーザーフィードバックを集約するフロー
  • 課題、要望を集積するツールとメンテナンス方法
  • 社内外の役割分担

柏木は、「この3ステップを実践するのはなかなか難しいので、営業部門やシステム部門に協力を依頼するなど、はじめからワーキンググループとしてコミットしておくのもポイント」とアドバイス。最後に、課題解決において全体を俯瞰することに取り組んだ例として、自社で手がけたプロジェクトを紹介しました。

Case1 芝浦工業大学
Webサイトで自学らしさを表現するために、3回のワークショップを通じて徹底的に議論。
1回目:エレベーターピッチという手法を使い、自学らしさについてグループで考え、4つのキーワードを抽出。
2回目:抽出したキーワードを象徴する写真を各自持ち寄り、Webサイトでどう表現していくかを検討。
3回目:コンセプトを実際のサイトのデザインや機能にどう活かしていくかを検討。

Case2 文部科学省
ユーザにとってわかりやすい導線を実現するために、省内2000人へのアンケート、アクセスログ解析、他省庁サイトのヒューリスティック調査、情報優先順位を検討するワークショップの4つのインプットをもとに、課題の整理と解決策の検討を実施。

社内稟議用資料のお土産付きワークで、課題の見える化を体験

セッション終了後は、課題の“見える化”を体験するワークショップを実施。規定のワークシートを用いて、2人1組で意見交換しつつ、自社の課題の整理と解決策の検討を行っていきました。

作成した資料は、そのまま社内稟議用にも使えるように作られていたこともあって、ワークに参加したロフトワークのプロデューサー陣に相談しながら、真剣に取り組む姿が見られました。

<ワークショップの流れ>
ワーク1:ビジネスゴールを整理する
ワーク2:ビジネスフローとWebの役割を整理する
ワーク3:Webの現状と課題を整理する
ワーク4:解決策を考える

イベント概要

自社サイトのリニューアルは「今よりも良いサイトにしたい」「成果を出したい」という要望からはじまることが多いはず。まさに、そんな漠然としたニーズをきっかけに動き出そうとしている方もいるのではないでしょうか。

成果に貢献するWebリニューアルをするためには、自社ビジネスでのWebの役割を整理し、達成したい目標や改善すべき課題を明確にしてからのぞむべきです。Webプロジェクトをスムーズに進めるためには、担当者自身はもちろん、予算承認する上長やチームの理解度を高めることも大切です。

本セミナーでは、ロフトワークプロデューサーチームが、Webプロジェクトの具体的な進め方を、予算、期間、フェーズ別に分けて細かく紹介。

プログラム後半では、自身やステークホルダーとのコンセンサスにきっと役立つ「As-Is To-Be(現状とあるべき姿)の整理」グループワークショップをご用意しています。 ロフトワークプロデューサーもチームに加わり、課題整理のフレームワークを活用しながらみなさまの自社サイトの課題を一緒に整理します。

Webリニューアルやサイト改善を考えているが、何からはじめればいいかお困りの方や、自社サイトの課題を整理して、次の具体的なアクションを考えたい方におすすめの講座です。

参加特典

  • その場で課題整理、稟議書に活用できる資料ができる
    課題整理シートをその場で埋めて、社内稟議用として使える資料を作成。ロフトワークプロデューサーがその作成をサポートします。
  • ロフトワークから概算見積もりを提示
    整理した課題を解決するための予算、期間はどれくらい?ロフトワークプロデューサーが概算の見積もりを提示します!

開催概要

セミナータイトル 課題の”見える化”からはじめるWebリニューアル
開催日時 2014年11月27日(木) 14:00〜16:30 (開場 13:30 相談会 16:30〜)
場所 loftwork Lab(ロフトワーク渋谷 10F)
東京都渋谷区道玄坂1-22-7道玄坂ピア10F
地図
対象
  • Webリニューアルについて検討中、社内稟議作成中の担当者
  • 自社サイトの現状、課題を整理したいWeb、マーケ担当者
  • 「サイトをなんとなく良くしたい」という漠然としたニーズを具体化させたい方
  • ロフトワークのWebプロジェクトを具体的に知りたい方
参加費 無料
定員 30名
※申し込み多数の場合は抽選になります
主催 株式会社ロフトワーク
ご注意
  • 個人、同業のご参加はご遠慮ください 
  • プログラムは予告なく変更される場合があります 
  • 当日の参加者の皆さんのお写真は、後日公開するレポートなどに掲載させていただきます

プログラム

13:30~14:00
受付
14:00~14:40
課題の「見える化」からはじめるWebリニューアル
ビジネスの中でのWebサイトの役割
現状把握と課題整理のプロセス
Webサイトリニューアルで気をつけたいポイント
14:40~15:20
課題・目的別で解説 ロフトワークのプロジェクト
課題整理の手法
課題別 ロフトワークのプロジェクトアプローチ
予算、期間、フェーズ別のプロジェクト詳細を紹介
15:20~15:30
休憩
15:30~16:30
[Workshop] As-Is To-Be(現状とあるべき姿)の整理
フレームワークをつかった課題整理のワークショップ
16:30~17:30
相談会
具体的なニーズ、お悩みをお持ちの方に個別にお答えいたします

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