NORENフォーラム2014 登壇レポート
2014年1月24日株式会社アシスト主催セミナー「NORENフォーラム2014」のパートナーセッションに、ロフトワーク代表取締役社長 諏訪 光洋が登壇。カスタマーエクスペリエンスをテーマに、ロフトワークが行ったアシスト社のWebリニューアルプロジェクトの全容を解説。Webでユーザの「体験」を最適化するための考え方や手法を幅広く紹介しました。
ユーザは情報に疲弊している!?求められているのはシンプルで明確なメッセージ
冒頭でHarvard Business Reviewの記事を取り上げ「近年顧客は膨大な情報に飽きはじめており、自分が選びたいものを正しく選べないようになっています。一方で、企業側も顧客の購買行動を正しく知ることが困難になっており、顧客がどのような情報を必要としているのかを把握できていません」と指摘。これからの時代、企業が提供すべき情報はよりシンプルで、明確なものでなければならないと強調しました。
「企業は顧客の選択、意思決定のプロセスをよりシンプルにする方向に舵を切り始めており、それを実現するためには良質な顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の創造が重要です。本日は、ロフトワークがプロジェクトで実践しているカスタマーエクスペリエンス向上のための取り組みをご紹介します」と、アシスト社のWebサイトリニューアルほかいくつかの事例を紹介しました。
何のためのWebサイト?を再定義した、アシストWebサイトリニューアル
2012年6月に相談を受け始動したプロジェクトは、約4ヶ月を要するものでした。アシスト社の定義したWebサイトリニューアルの目的は「営業機会の創出」で、具体的には「良質なリードの獲得」と「営業しやすいユーザ感情の醸成」。「まずロフトワークでは、提示された要件と現行サイトの課題を整理。現行サイトでは製品数が膨大で、それぞれに担当者がおり製品ページのトーン&マナーや情報の粒度、階層構造がバラバラでサイト全体としての統制がとれていない状態でした」とリニューアル当初の課題を振り返りました。
「各製品ページなどの情報を整理する部分最適と、サイト全体としてカスタマーエクスペリエンスをつくっていく全体最適、この2つのバランスを考えながら課題にアプローチしていきました。具体的には製品担当、営業担当など顧客と接点のある社内の様々なステークホルダーを集めワークショップを実施しました」と、ロフトワークが実施したワークショップを紹介。カスタマージャーニーマップを作りながら、現場担当者や営業担当者が顧客とどのようなタッチポイントを持ち、その流れのなかでWebサイトがどう活用できるのかを半日のディスカッションを通じて洗い出していきました。
受験日のエクスペリエンス
続いて津田塾大学のサイトリニューアル事例を取り上げ、カスタマーエクスペリエンスのデザインという視点から、受験日当日のエピソードを紹介しました。
「2月の受験日、大雪が降り大学サイトへの受験生のアクセス集中が予想されました。そこで津田塾大学のご担当はモバイルでの閲覧を考慮しトップページの画像をOFFにして通信量を削減、正門近くの状況を写真付きで定期的にアップして学生や保護者に安心感を与える情報発信を実施しました。このような鮮やかな対応になりました。Webサイトの要件定義、設計フェーズでクライアントと一緒に、カスタマーエクスペリエンスを考えていったからです」とプロジェクトの詳細を解説。
津田塾大学のプロジェクトでは、RFPの機能要件をワークショップ形式でクライアントと一緒に精査、組織横断的な議論をすることで関係者の意見を可視化しながら「誰のため?」「何のため?」「本当に必要?」「なにをゴールにするの?」など情報を細かく整理していきました。
「大学を取り巻く様々な人々のプラットフォームとなっているので、あらゆるステークホルダーにとって使いやすいサイトにする必要がありました」とプロジェクトを振り返り、ユーザ目線でのサイト設計の重要性を改めて強調しました。
最後に諏訪は「CMSは情報を分類し、コンテンツをマネジメントするためだけのシステムと考えるのではなく、カスタマーエクスペリエンスをデザインするためのツールとして認識するべきです。そして良質なカスタマーエクスペリエンスをつくるために必要なのは、コンテキストとストーリー。ロフトワークではそのシナリオづくりから様々なプロジェクトをお手伝いしています。」とセッションを締めくくりました。
パネルディスカッション
セッション終了後は、株式会社のれんの中田文紀子氏をモデレータに、キノトロープ生田 昌弘氏、中部国際空港村松 洋文氏、アクアリング藤井 英一氏、平野 秀幸氏、ロフトワーク諏訪の5名で「企業サイトの今とこれからを考える」と題したパネルディスカッションを実施。どのように企業の想いをユーザに届けるのか。そもそもどうすれば企業の想いを共通化することが出来るのか、それぞれの視点でディスカッションしていきました。 全てのものがインターネットと繋がり(Internet of things)、Webの体験がとても豊かになっていく時代。Webだけにとらわれずどうやって企業の全体戦略として、顧客の体験をデザインできるのかが重要なカギとなりそうです。
イベント概要
2014年1月24日、株式会社アシスト主催イベント、「NOREN フォーラム 2014」にロフトワークの代表取締役社長・諏訪光洋が登壇します。
講演テーマは「アシストコーポレートサイトにNOREN導入しました」。CMS導入がどう進むのか、難しい部分は何か。そして肝心の成果は?NOREN導入プロジェクトの全てを解説します。また登壇後、パネルディスカッションにも参加します。
開催概要
セミナータイトル | NORENフォーラム2014 ~NOREN6発表記念 パートナー9社一挙登壇、NORENとe.Formの今を語る~ |
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開催日時 | 2014年1月24日(金) 13:00~17:35 (受付開始 12:30~) |
場所 | ステーションコンファレンス東京 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー5F ・JR東京駅日本橋口直結 新幹線日本橋口改札徒歩1分、八重洲北口改札徒歩2分 ・東京メトロ東西線大手町駅B7出口直結 |
参加費 | 無料 |
主催 | 株式会社アシスト |
協賛 | 株式会社アイアクト、株式会社アクアリング、 株式会社あとらす二十一、株式会社インターネットイニシアティブ、 株式会社キノトロープ、トランスコスモス株式会社、株式会社メガ・トレード、株式会社ロフトワーク、I-ON Communications Co.,LTD |