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コミュニティづくり、始点と視点
〜#01 元丹波市議・横田さん、旅のSNS・ trippiece堀さんの場合

ビジネスとコミュニティをつなぐ逆転の発想とは!?

FabCafeの川井は、Fabミニ四駆THE OYATSUAutodesk Fusion 360 アンバサダープログラムSlush Asiaのサイドイベント『Junction Asia』など数多くの企画や運営にコミュニティマネージャーとして携わっています。

その経験から、コミュニティは地域活性やアクティビティを主軸に置く分野だけでなく、企業とのコラボレーションや共創といったビジネス領域においても有用に働くと考えています。はてして、ビジネス領域へ発展するコミュニティづくりに必要なこととは?

長期的な関係がビジネスとコミュニティをつなぐカギ

僕はふだんからFabCafeを中心にビジネスに発展できるようなコミュニティを作る仕事をしています。ビジネスとコミュニティは、一見離れているように思うかもしれません。利害や主従といったと短期的な関係がビジネスでは大きな部分を占めますが、僕がしているコミュニティづくりは共感や共存といったものをベースに長期的な関係性に切り替えていくことです。

ビジネスにおいてコミュニティ化を促すためには、参加者から運営側の役割を担う人が出てくることが大事だと思います。立ち上げに企業が絡むと、集まる人はどうしても参加者のままになってしまうのですが、それだけではコミュニティとは言いにくい。

たとえば、商品に紐づくコミュニティで、アクティビティを投入して活動を維持させようとしても、だいたいが3ヶ月くらいで先細ってしまう姿を見てきました。やはり、参加者が運営者となるような働きかけが必要ですね。

熱い想いよりも「友達感覚」がコミュニティを育てることもある?

期間限定で立ち上げたプロジェクトが、その後にコミュニティ化した「TOKYO FABBERS(トーキョー・ファバーズ)」という事例があります。僕がリーダーとなって、合計6拠点からなる東京近郊にあるものづくりスペースのオーナーたちと、ものづくりをブームから文化にしていこうと、東京都からも予算をもらい活動していました。

コミュニティー形成に主軸を置いて月1回のフォーラムを開いていったのですが、集まっているのはそれぞれのスペースの経営者ばかり。意見がずれることもあるし、TOKYO FABBERSの活動が各々のビジネスの延長線上にあるので、真剣な話し合いも多く、精神的にツラい時期もありました。

そこで学んだことは、コミュニティにも作り方があることです。その頃の僕は「コミュニティにはビジョナリストがいて、その人のビジョンに付いていけるか。あるいは、付いていこうという意思が持てるか」が大切だと思っていたのですが、いざリーダーになってみると「ビジョナリストには後からはなりにくい」と知りました。

そこで、ビジョナリストにはなれなくても、参加者同士で悩みを共有したりとか、同じビジネスの立場から共感できることを探すために飲み会を催したりと、意識を切り替えたんです。いわば「友達感覚」で付き合い始めたら、そこから急速にコミュニティ化していった感覚がありました。

コミュニティをビジネスにどうやって活かすかは、マネージャーの役割と意識にいくつかのポイントがあると思っています。たとえば、「企業の力を使って個人に機会を提供しよう」という考え。企業のもつリソースやナレッジを個人に渡す機会を作ることでお互いの「できること」を増やすのです。そうすると、その企業に属する方も参加者のひとりなので、貢献し合えることも増えていく相互作用が起きて、コミュニティが大きくなっていきます。

そのコミュニティが参加者にとって自分の技術や経験を生かせる場になると、本来の会社内では得られない仕事のやりがいや情熱を思い出すようなきっかけになります。

ある自動車メーカーでカーデザイナーをしている男性が、Fabでミニ四駆を作る企画の際に、カーデザインのスケッチを教えてまわったことがありました。「とにかくカッコいいクルマを描く」という体験において彼が参加者から賞賛を浴び、カーデザイナーを志した原動力を再認識したと教えられたときは、僕もやっぱり嬉しかったですね。

また、これは僕の失敗体験から言えることですが、「コレをやらないといけない」という目的でコミュニティを引っ張ろうとしない方がいい。

その目的は「僕にとってのコレ」でしかなく、みんなが共感したものではないからです。そうすると、コミュニティではなく単なるチームや組織になってしまう。定期的な目的や活動などを設定することそのものは有効ですが、常に共感がなくなっていないかを確認することが大事です。

Fabcafeとしては「コミュニティを経営手段ではなく目的に」と掲げて、コミュニティを育てること自体がビジネスにつながると考えて実践しています。育成したコミュニティに合わせたプロジェクトやクライアントを得ていくことで、長期的に場を育て、その場から生まれた商品を販売するような形でビジネスを成り立たせるといったことも視野に入れています。

プロジェクトありきのコミュニティではなく、コミュニティがベースになったプロジェクトの投入です。そうすることで、コミュニティとしての軸を失わないまま、資産化できていくのです。

コミュニティ化は手段でなく、あえて目的に。逆転の発想でビジネス機会を生み出す。

イベント概要

コミュニティづくりの実践者たちが一同に会してその経験やノウハウを共有するミートアップ

“コミュニティ(Community)とは、「同士・同志の集団」「共同体」「目的を共有している仲間」の事である。wikipediaより”

コミュニティづくりは決して新しい考え方でも何でもありません。必然にしろ、偶然にしろ、自分と想いを同じにする人と共感した瞬間そこに、ふわっと現れるけど目に見えないものが“コミュニティ”だと思います。そう日常にそんな瞬間は幾度となく訪れています。

例えば、子どものときは同じ砂場で遊んでいる知らない子たちと一緒に砂のお城を作っていたり…奔放にできていた仲間づくりも、大人になるとすっかり忘れてしまうことも。それは自分たちが賢くなり過ぎたからではないでしょうか? 

もちろん、コミュニティをはじめる勇気や運営に関する不安がつきまとうこともあります。今回のイベントは、そんな“今、一歩踏み出せない人” “踏み出したはいいけど不安な人” をコミュニティづくりの楽しさに芽生えさせる場です。

いくつかのポイントを踏まえると、コミュニティづくりは非常にクリアになると考えています。

・自分にとって重要であること
・仲間づくりは自分作りである
・実践者の声を聞く
・とにかく楽しむこと

そのような仮説を検証するべく、実際にコミュニティを作っている実践者が集まりノウハウを共有します。単なるケーススタディでなく、誰もが一歩を踏み出せるかの社会実験の始まりです。

登壇者とプレゼンテーマ

地方創生のためのコミュニティ作りを仕掛ける元議員アイデアマン
横田親さん(横田親代表)
「地域が盛り上がる人と人の結び付け方」(仮)

丹波市内ではさまざまなコミュニティの創設に関わる。対話型のコミュニティとしてお寺で語る「BOWS-CAFE」やお風呂で語る「お風呂でまちづくり」等。主体性育成型コミュニティとして、100人規模で楽しく企画する「丹波100プロジェクト」や、夢を語ってアイディアと仲間を集める「birthday」、変態性を育てる「キワモノ会議」等。起業支援型コミュニティとして、子育て中の母親の就業支援を目的とした「ママパソ」や、自分の好きや得意を生かして起業する「小商い塾」等。自宅が180年の古民家であり、自らも空き家の活用にチャレンジしている。5名の住民が住む『シェアハウス』。全国の友人が宿泊する『ゲストハウス』。都市部に住まう人々の気軽な別荘『サードプレイス』。空き家改修プロジェクト『リノベーション・ラボ』。あらゆる空き家の活用を考える『空き家相談所』。

みんなで旅をつくるソーシャル旅行サービスを運営するトリッピースのコミュニティマネージャー 堀真菜実さん(trippiece) 「体験を共有する装置を設計する」(仮)

大学在学中は、英会話喫茶&スクールの運営に携わり、生徒の定着に向けて数々のイベントやクラブ活動を始めたほか、外国人スタッフの採用・育成や個々のお客様のサポートを通して場作りに従事。その後、プライベートで開催するイベントやコミュニティ活動を通して、参加者のライフスタイルの変化を肌で感じたことがきっかけとなり、人と人が繋がる場が持つ可能性を強く感じるようになる。現在は様々な人、企業、団体とコラボレーションしつつ、オンオフ分けないスタイルで「個が個とが繋がる場作り」に没頭する。

デジタルファブリケーションをキーワードに企業と作り手をつなぐネットワークを世界に展開
川井敏昌(FabCafe)
「ビジネスとコミュニティを結びつける方法」(仮)

FabCafeは、「FABrication(ものづくり)」と「FABulous(愉快な、素晴らしい)」の意味が込められた“ものづくりカフェ”FabCafeでは、数多くのコミュニティーをコミュニティーマネージャーとして企画から運営を行っている。ミニ四駆を通じてプロダクトデザインやエンジニアリングのコミュニティーや、若手のシェフを集めて食によるプロトタイピングを行うTHE OYATSU、大学生や専門学校生を3Dモデリングやプロトタイピングを通じたStudent Bootcampなどその活動幅は広い。そのコミュニティーと企業をつなぎ、コミュニティーへの機会提供とFabCafeのビジネス化を行っている。昨年度から海外拠点とのコミュニティー連携強化を進めている。

モデレーター:長者原康達(OpenCU編集長/ロフトワーク)

開催概要

タイトル コミュニティづくり、始点と視点
〜#01 元丹波市議・横田さん、旅のSNS・ trippiece堀さんの場合
開催日時 2017年02月17日 19:30-21:30
場所 loftwork COOOP
ロフトーワーク渋谷10F
東京都渋谷区道玄坂 1-22-7道玄坂ピア10F
参加費 1,500円 ※ワンドリンク付き
定員 40名
主催 FabCafe Tokyo、OpenCU

19:30
イベントの主旨説明

各実践者の自己紹介・近況報告
横田 親、堀 真菜実、川井 敏昌

トーク・セッション「どこにも書いていない、コミュニティづくりで重要なこと」

参加者も交えたワークショップ「今日からあなたもコミュニティビルダー」

〜21:30
懇親会

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