EVENT トーク

サーキュラーエコノミーと分解者たち

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Date
2024-10-10 (Thu)
14:00-17:30
Place
ロフトワーク渋谷オフィス10階(COOOP10) MAP
Capacity
リアル会場:30名、オンライン会場:100名
fee
無料

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About

「分解し崩壊し始めることを生まれるというのではないか」(藤原辰史『分解の哲学』)

私たち人間を含む動物は食べなくては生きていけません。私たちが食べるのは、体組織の形成のために必要なタンパク質をはじめとした物質を摂取するためです。私たちは植物や他の動物を食べることで、その体内に含まれるタンパク質を摂取しています。

一方、植物はといえば、地中に含まれるアンモニアを根から吸収することでアミノ酸やタンパク質を合成します。しかし、地中を含め、自然界にあるアンモニアは一部の微生物による働きや、雷や野火などの高エネルギー状態からしか生成されず、自然に生じる量には限りがあります。そのため、人類は、19世紀の産業革命による人口の大規模な増加の際、肥料としてのアンモニア不足という問題に直面しました。

その危機を救ったのが、20世紀初頭のドイツで開発されたハーバー・ボッシュ法と呼ばれるアンモニアの人工合成法でした。それ以来、化学的に生成された肥料を用いた農業が可能になり、農業生産性は大幅に向上しました。これが20世紀の爆発的な人口増加を支える一因となりました。

しかし、化学肥料が利用され始めたことで、自然の循環に基づく生産・消費・分解のプロセスが失われました。微生物は、動植物の遺体や排泄物を分解することで有機的な物質を無機状態に戻す役割を担っていました。その「分解」の過程があることではじめて、次の生命が「生まれてくる」環境を整えていたのです。

冒頭に引用した、農業史を専門とする藤原辰史さんの「分解し崩壊し始めることを生まれるというのではないか」という言葉は、産業革命以降の工業化が進む過程で生産と消費の構図が生まれ、「分解」が視野の外に置かれてしまった現在を改めて見つめ直し、分解を起点とした分解・生産・消費の循環プロセスを考えるきっかけとして捉えることができるでしょう。

分解を起点に考えるサーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミーを考える際、この分解を起点とする分解・生産・消費の循環プロセスと向き合うことは必然でしょう。一方で、従来どおりのビジネス文脈で考えたとき、「分解」はお金になりにくく、コストが膨らむ要因にもなります。たとえば、食料残渣をコンポストすることも堆肥化までに時間を要しますし、その堆肥を用いて農作物を育てるのにもさらに時間がかかります。必要な時間コストが分解の価値をビジネススキームにのせることを難しくしてしまいます。解体した建物の建材の再利用や廃路線跡地の活用などでも、再び生産・消費のサイクルに移行するための「分解」をビジネスの文脈に載せるためには、スキームを変える工夫が必要です。

しかし、そんな「分解」の問題も技術やデザインで解決することが可能です。たとえば、食料残渣や非可食部として廃棄されていた部位の再利用も、ASTRA FOOD PLAN株式会社の乾燥・殺菌技術を用いると、短時間で乾燥・殺菌させて粉末状にでき、別の食材に転換することが可能です。時間が短く済む上に、肥料ではなく食品として売ることで販売価格も高く設定でき、ビジネスのスキームに載ってきます。

今回のイベントでは、ASTRA FOOD PLAN株式会社をはじめ、世田谷区の小田急線線路跡地で循環のあるまちづくりを住民参加で進めるシモキタ園藝部、微生物多様性を高める都市デザイン事業を行っている株式会社BIOTAからゲストをお呼びし、技術を用いたり、視点をかえたりすることで新たに「分解」の過程を私たちが生きるための循環のプロセスとして再発明している事例をご紹介します。ゲストトークのあとは、参加者の方々を交えたディスカッション機会を設けることで、これからサーキュラーエコノミーの取り組みが広がる1つのきっかけとなる場になればと期待しています。ご興味のある方、ぜひご参加いただき、一緒に「分解」を起点とした循環型社会のあり方について考えていきましょう。

※本イベントは、「SMBC Sustainability Forum 2024」の一環として開催されます。

※登壇予定の企業は、展示会「分解可能性都市 ー 自然と共生する都市生活考」(2024年8月27日-9月13日:FabCafe Tokyo、2024年10月1日-10月23日:FabCafe Kyoto)に出展しています。

※メディア取材に関する注意事項 イベント当日は、メディアによる取材が行われる可能性があります。参加者の皆様の姿が写真やビデオに映り、報道や広報に使用される場合がございますので、予めご了承ください。取材内容が公開される際には、プライバシーに最大限配慮いたしますが、映り込み等に関するご理解とご協力をお願い申し上げます。

こんな人におすすめです

  • サーキュラーエコノミーの実現のために分解技術を必要とする事業者
  • サーキュラーエコノミーに寄与する分解技術を有する事業者
  • サーキュラーエコノミーに関心のある企業・団体の担当者
  • その他、サステナビリティや環境技術に興味をもっている方

GREEN×GLOBE Partnersとは

GREEN×GLOBE Partnersは、環境・社会課題解決のためにSMBCグループが2020年7月に設立した事業者コミュニティです。

『環境・社会課題解決の「意識」と「機会」を流通させる』ことを目的に、事業者に向けた情報発信や、仲間を見つけるための機会の創出など、事業者に向けた支援を行っています。

コミュニティ内外の志をともにするパートナーをつなぎ、プロジェクトの組成と推進を支援することを通して、環境・社会課題解決に必要な活動や関係者が増えていくことを目指しています。

GREEN×GLOBE Partners:https://ggpartners.jp

Speaker

加納 千裕

ASTRA FOOD PLAN株式会社, 代表取締役社長

加納 千裕

埼玉県出身。食品関係事業をする父と栄養士の母の影響で幼い頃から食に興味をもち、これまで一貫して食に関わるキャリアに携わる。女子栄養大学 栄養学部を卒業後、株式会社ロック・フィールドで製造・販売に従事。その後、株式会社榮太樓總本鋪で商品企画・新ブランド「にほんばしえいたろう」の立ち上げを担当し、150余年続く和菓子ブランドのリブランディングも経験。株式会社塚田農場プラスでは弁当の商品開発に従事。キャリアの過程では、父である加納勉が創業した会社において、過熱水蒸気によるピューレ製造技術を用いた商品開発から販売営業まで一貫して担い、過熱水蒸気オーブンの法人向け営業にも従事。同社退職後2020年8月、過熱水蒸気技術を用いた新事業としてASTRA FOODPLANを設立。代表取締役社長に就任。新潟県十日町市と埼玉県の二拠点生活中。唎酒師。アマチュアオーケストラ ヴァイオリン奏者。山菜採りと料理が趣味。

詳細を見る 埼玉県出身。食品関係事業をする父と栄養士の母の影響で幼い頃から食に興味をもち、これまで一貫して食に関わるキャリアに携わる。女子栄養大学 栄養学部を卒業後、株式会社ロック・フィールドで製造・販売に従事。その後、株式会社榮太樓總本鋪で商品企画・新ブランド「にほんばしえいたろう」の立ち上げを担当し、150余年続く和菓子ブランドのリブランディングも経験。株式会社塚田農場プラスでは弁当の商品開発に従事。キャリアの過程では、父である加納勉が創業した会社において、過熱水蒸気によるピューレ製造技術を用いた商品開発から販売営業まで一貫して担い、過熱水蒸気オーブンの法人向け営業にも従事。同社退職後2020年8月、過熱水蒸気技術を用いた新事業としてASTRA FOODPLANを設立。代表取締役社長に就任。新潟県十日町市と埼玉県の二拠点生活中。唎酒師。アマチュアオーケストラ ヴァイオリン奏者。山菜採りと料理が趣味。
川崎 光克

一般社団法人シモキタ園藝部, 理事、共同体研究家、きこり見習い

川崎 光克

1993年、北海道上富良野町生まれ。
2016年東北大学工学部建築社会環境工学科卒業
2019年東京大学大学院新領域創成科学研究科修了(環境学)
大学院在学中に、南米エクアドルの建築事務所AL BORDE Arquitectosにて半年間インターンとして働き、住民参加型の建築プロジェクトに関わる。2019年より、一般社団法人シモキタ園藝部の創設に携わり、現在同団体理事。既存の社会システムに囚われない、共同体とその自治のあり方に関する研究と実践を行なっている。
現在は、長野県小谷村の集落に身を置きながら、自然環境と暮らしの循環を取り戻すための技術習得(茅葺き・樵)に取り組んでいる。

詳細を見る 1993年、北海道上富良野町生まれ。
2016年東北大学工学部建築社会環境工学科卒業
2019年東京大学大学院新領域創成科学研究科修了(環境学)
大学院在学中に、南米エクアドルの建築事務所AL BORDE Arquitectosにて半年間インターンとして働き、住民参加型の建築プロジェクトに関わる。2019年より、一般社団法人シモキタ園藝部の創設に携わり、現在同団体理事。既存の社会システムに囚われない、共同体とその自治のあり方に関する研究と実践を行なっている。
現在は、長野県小谷村の集落に身を置きながら、自然環境と暮らしの循環を取り戻すための技術習得(茅葺き・樵)に取り組んでいる。
伊藤 光平

株式会社BIOTA, 代表取締役

伊藤 光平

慶應義塾大学卒業。高校時代から慶應義塾大学先端生命科学研究所にて特別研究生としてヒト常在菌のゲノム解析に従事。学部生時代には都市の微生物コミュニティのメタゲノム解析に従事。大学卒業後、株式会社BIOTAを創業し、微生物研究を主軸に建築・ランドスケープデザイン、素材開発によって微生物多様性を高める都市デザイン事業を行っている。個人では循環をテーマとしたスペキュラティブデザイン作品を制作・展示している。

詳細を見る 慶應義塾大学卒業。高校時代から慶應義塾大学先端生命科学研究所にて特別研究生としてヒト常在菌のゲノム解析に従事。学部生時代には都市の微生物コミュニティのメタゲノム解析に従事。大学卒業後、株式会社BIOTAを創業し、微生物研究を主軸に建築・ランドスケープデザイン、素材開発によって微生物多様性を高める都市デザイン事業を行っている。個人では循環をテーマとしたスペキュラティブデザイン作品を制作・展示している。

Program

14:00-14:10
イントロダクション
株式会社三井住友フィナンシャルグループ 大湊 和貴 
株式会社ロフトワーク 川口 和真
14:10-14:55
ゲストトーク1:ASTRA FOOD PLAN株式会社 代表取締役社長 加納 千裕
ゲストトーク2:シモキタ園芸部 川崎 光克
ゲストトーク3:株式会社BIOTA 代表取締役 伊藤 光平
14:55-15:00
トークセッション クロージング
(オンライン参加の方は本セッションでご退出となります)
15:00-15:10
休憩
15:10-16:10
参加者を交えたワールドカフェ形式のディスカッション
(会場参加の方のみ)
16:10-16:20
休憩
16:20-17:30
登壇者と参加者のネットワーキング
(会場参加の方のみ)

Outline

開催日時
2024年10月10日(木)
トークセッション:14:00-15:00
ワールドカフェ形式ディスカッション+ネットワーキング:15:10-17:30(会場参加の方のみ)
開催方法
リアル会場(トーク+ワールドカフェ形式ディスカッション+ネットワーキング
オンライン配信(トークのみ)
定員
リアル会場:30人、オンライン開催:100名
リアル会場

ロフトワーク渋谷 10階
住所:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂 1-22-7 道玄坂ピア 10階
MAP:https://bit.ly/3AD6EDJ

オンライン配信
Zoomウェビナー
Youtube Live
参加費
無料
共催
株式会社三井住友フィナンシャルグループ、株式会社三井住友銀行、株式会社ロフトワーク

ご注意

  • 会場参加の申込多数の場合、抽選となる可能性がございます。当落結果ご連絡は10月4日(金)までにご連絡します。(申込締切:10月3日正午)
  • オンライン参加の方への視聴用URL等のご案内メールは、開催前日までに申し込みの際に、ご登録いただいたメールアドレス宛にお送りします。
  • 参加者の皆さんの写真や議論の内容は後日Loftwork.comおよびGREEN×GLOBE PartnersのWebサイトに掲載する場合があります。
  • プログラムは、予告なく変更される場合があります。
  • 本イベントの取材をご希望の方は、GGP事務局(greenglobepartners_event@loftwork.com)までお問い合わせください。

ACCESS

ロフトワーク渋谷
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂 1-22-7 道玄坂ピア10階

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