株式会社ロフトワーク(東京都渋谷区)、株式会社Psychic VR Lab(東京都新宿区)、株式会社パルコ(本部:東京都渋谷区)による共同プロジェクト「NEWVIEW(ニュービュー)」は、xRコンテンツアワード「NEWVIEW AWARDS 2020」の受賞作品を発表しました。

誰もが3次元空間の表現を手にする近未来を見据え、xRの新たな表現と体験の世界を牽引し得る次世代クリエイターを発掘し、次なるステップへと進むきっかけをもたらすべく立ち上げた本アワード。第3弾となる今回は、2020年8月8日から11月2日までの期間、世界中から作品を公募をしました。

9ヶ国から合計145作品の応募があり、宇川直宏氏(審査員長)、真鍋大度氏、和田彩花氏、デイヴィッド・オライリー氏、ルー・ヤン氏、ジェシー・ダミアーニ氏、トン・ヴァン・グール氏、ケンミン・リュー氏の8名の審査員による最終審査会を経て、グランプリをはじめとする各種受賞作が決定しました。

※受賞作の発表および授賞式は12月17日にライブ配信を行いました。アーカイブ動画は、NEWVIEWのWEB(https://newview.design/awards)より視聴可能です。

実験的な表現と物語体験に挑んだ作品がGoldとSilverを受賞

グランプリに相当するGold Prizeは、VRとAR双方で体験できる、物語性をもったインタラクティブアート「Birds of a Scape」が受賞。準グランプリに値するSilver Prizeには、身体の延長にありながら実態がないという相反する体験をスマートフォンを介して表現したAR作品「DANDELION」、VRの世界であえて平面的なディスプレイというモチーフを扱い、その記号性を逆手にとった実験的な表現を試みたVR作品「Displays XR」、”眼差し”として互いを巡り、至近距離で見つめあった人間同士に生じる気配や存在を思考するVR作品「gaze on me」が受賞しました。

オリジナル作品を制作して、PARCOに展示する権利を提供するPARCO Prizeは「TECHNOVINEGAR」が受賞。SUPER DOMMUNEでの番組化の権利を提供するSUPER DOMMUNE Prizeは、「Displays XR」が受賞となり、Silverとのダブル受賞となりました。その他スポンサープライズは以下の作品が受賞しました。

  • auスマートパスプレミアム Prize「nwe 2021 SPRING SUMMER WOMEN’S FASHION SHOW」(AR作品)
  • Media Ambition Tokyo Prize「Nether World」(VR作品)
  • Sanrio Puroland Prize「Contemporary」(VR作品)
  • WaiWai Prize「宇宙人の東京観光」(VR作品)

受賞したクリエイターの発展支援活動を通して、引き続き次世代のxRクリエイターの発掘・育成、3次元空間での新たなクリエイティブ表現と体験のデザイン開拓を目指します。

NEWVIEW AWARDS 2020 受賞作品

GOLD Prize(1作品 賞金20,000USD)

作品名:「Birds of a Scape」
作者:toidcoder(絶景ハッカー|日本)

プレイヤーによって音楽、景色が変わっていく、インタラクティブなストーリーテリングを試みた作品。
作品を体験する

審査員コメント

不死鳥の背中に乗って、空を飛びます。仲間の鳥を呼んだり、光や音を集めるには、体験者の存在が欠かせません。コントローラーで仲間を呼ぶたび、飛んでいる空は自分の景色となっていきますし、操作するたび様々な音色が聞こえてきます。鳥と光と音の物語に、自分が参加して初めて景色が生まれる詩的な世界観が心を温めてくれました。
和田彩花(アイドル)

この作品は、音楽と風景の体験を融合させた全体的なフレームワークデザインが非常に完成度が高く、さらに時間をかけてビジュアルに磨きをかけることで、より面白くて完成度の高いVRゲームになると感じました。今後のアップグレードにも力を入れていただきたいという意味でも、GOLDに選出しました。
ルー・ヤン(アーティスト)

Birds of a Scapeは、心のこもった体験であると共に、身体の動きと共創を誘うユニークなインタラクション言語でもあると感じました。仮想空間でユーザーの身体を活性化させるような、VRのユニークな機能を取り入れているだけでなく、喚起的で芸術的な方法でそれを実現していました。Birds of a Scapeの物語はユーザーの動きによって情報を得られるため、一人一人が自分の共感覚的な軌跡を残していきます。このようなユーザーの動きによる生成的な要素を取り入れていることで、驚きと豊かさがさらに増しました。
ジェシー・ダミアーニ(ライター、プロデューサー、キュレーター)

特にこの作品に関しては、さらなるイノベーション、ブレイクスルー、応用があることを期待しています。ビジュアル面では、体験がとても面白いです。
ケンミン・リュー(Bito創業者・クリエイティブディレクター)

SILVER Prize(3作品 賞金5,000USD)

作品名:DANDELION
作者:Ryo Takegawa from xorium(プロダクトデザイナー / アーティスト|日本)

身体の延長にありながら実態がないという相反するハッとする体験を、スマホを介して表現。
作品を体験する

審査員コメント

「この作品は、現実と仮想、そして現実と仮想の相互作用をうまく結びつけているように感じました。日常生活で見慣れている自動販売機を現実のものとそっくりに再現し、ARを介してこれらの仮想的な物体と相互作用ができるというインタラクションは、仮想現実についていろいろなレベルで考えるきっかけを与えてくれると感じました。」
ルー・ヤン(アーティスト)

「ARの未来を考えるとき、世界規模のゲームや押し付けがましい広告環境に考えを馳せることが多いと思います。DANDELIONはこのパラダイムを覆すもので、ユーザーに自動販売機のような一般的なオブジェクトとのインタラクションを求めます。自動販売機のようなありふれた物体は、背景となる要素としてではなく、現実世界でのユーザーの体験の焦点となります。このようなシーンを設定することで、見慣れた空間に新たな理解を呼び起こし、ユーザーが自身の携帯電話を離した後でも体験の印象が残るという、ARならではの体験を提供できている作品だと感じました。」
ジェシー・ダミアーニ(ライター、プロデューサー、キュレーター)

「本作は、AR技術を使用したことで物理的なインタラクションに面白さが加わったように感じました。サウンドデザインを加えて、より完成度の高い体験になることを期待します!」
ケンミン・リュー(Bito創業者・クリエイティブディレクター)

作品名:Displays XR
作者:半澤智朗(グラフィックデザイナー / 映像作家|日本)

VRの世界であえて平面的なディスプレイというモチーフを扱い、その記号性を逆手にとった実験的な表現を試みた作品。
作品を体験する

審査員コメント

「三次元的に再現された部屋には、液晶画面という二次元的、平面的な物体が存在し、画面には三次元的に捉えられた草原と空のイメージが映し出されます。液晶画面がクニャっと曲がっていたり、膨大な数になったり、または液晶画面に映し出されているはずのイメージが部屋の壁全体に広がっていたりするなど、枠組みや次元を超える、広がりと連続性を感じました。自分が普段接している芸術、主に絵画では、近代以降、二次元のカンヴァスをどう描くかがテーマになっています。この作品は、芸術の文脈で捉えても、素敵な側面が見えてきそうだなと思いました。」
和田彩花(アイドル)

「エレガントな発想で、とてもよくできていると感じました。このアーティストはデザインに対する優れたセンスを持っています。」
デイヴィッド・オライリー(マルチディシプリン・アーティスト)

作品名:gaze on me
作者:Miki Nigo(アーティスト|ドイツ)

『至近距離で見つめあった人間同士に生じる気配』へ紛れ込む。”眼差し”として互いを巡り、存在を思考する作品。
作品を体験する

審査員コメント

「VRでしかできないユニークな眼差しの観察を表現にうまく落とし込んでいる。多くのVR作品がある中で本作品にしかないアプローチがあり評価につながった。」
真鍋大度(アーティスト・インタラクションデザイナー・プログラマ・DJ)

「人と見つめ合うときの脳や神経に入り込むというテーマ設定に独創性があって素敵だと思いました。作品を通して「見つめ合う」には、対象の認識や解釈、思考や感情があって成り立つものだと思えましたし、それは、ゲイズや見る/見られるという事柄にも置き換えられ、視線の性質は様々になると改めて感じました。それから、本作品は「大切な人と見つめ合う」と設定されていますが、作品中の人物のイメージには性別もジェンダーも限定されていなかったのが素敵だと思いました。」
和田彩花(アイドル)

PARCO Prize(1作品)

作品名:TECHNOVINEGAR
作者:0b4k3(ghost|日本)

不思議なエナジードリンクを飲むとトリップ体験が始まる、バーチャルエナジー体験。
作品を体験する

「この度はPARCO Prizeの受賞おめでとうございます。PARCOらしさを感じられるか、xRを生かした体験設計がなされているか、そして、感情を揺さぶられるような何かが感じられるかを審査項目として選出をさせていただきました。PARCOの審査員がみな、心を揺さぶられた作品でした。2021年、PARCOで展開される作品が、お客様の心を揺さぶり、驚きや楽しさ、感動を与えられる作品に仕上がることをとても楽しみにしています。一緒に作っていきましょう!この度は受賞おめでとうございます。」
林直孝(株式会社パルコ 執行役員 CRM推進部兼デジタル推進部担当)

auスマートパスプレミアム Prize(1作品)

作品名:nwe 2021 SPRING SUMMER WOMEN’S FASHION SHOW
作者:Augmented Fashion Research(デジタルファッション・コレクティブ|日本)

デジタルファッションの実験的なブランドを立ち上げ、ファーストコレクションをARコンテンツとして制作。
作品を体験する

審査員コメント

私たちauは、5GやxRコンテンツをお客様に「日常」として使っていただくことをau5Gのコンセプトとして考えております。その中、今すぐにでもauのお客様に使っていただける作品は何かという観点で選定いたしました。「nwe」はハガキが実際に送られてくるところに始まり、ARでショーを体験した後、購入するところまで実現されており、ただのアート作品ではなく、リアリティあるストーリーを持った非常に完成度の高い作品です。近未来感あるハイセンスなデザインクオリティは当然のこと、そこに実用性やリアリティが兼ね備えられているところに大変感銘を受け、すぐにお客様にご提供可能な作品と考え、今回選定をいたしました。」
松山泰士(KDDI株式会社 サービス統括本部 ライフデザインサービス企画推進部 マネージャー)

Media Ambition Tokyo Prize(1作品)

作品名:Nether World
作者:Mayuka Otsuki(VRアーティストに昇華したい高校生|日本)

死者の体験を通じて、「今を生きる人々への愛」のメッセージを贈ることをテーマにした作品。
作品を体験する

審査員コメント

「身の毛もよだつディストピアの世界を独自のストーリーによって体現した本作品は、体験者自身がストーリーの初めに死ぬことで、よりナラティヴな体験に仕上げている。次々に起こる驚愕的なイベントの連続は、先が読めない展開による興奮や期待を与えるだけでなく、映画の世界を体験しているような臨場感さえ感じさせた。また、ストーリーの最後に明かされる、『このヴァーチャルな世界はリアルな人の想いと強く結びついている』というメッセージは、時間の概念を超越し、これからの人類が未来と交流する様を表現しているようにも感じた。このメッセージ性の高い作品を高く評価したい。」
杉山央(Media Ambition Tokyo )

Sanrio Puroland Prize(1作品)

作品名:Contemporary
作者:TakashiKikaku(VR革命家|日本)

コロナ禍で芸能活動が制限されるなか、VR/ARという媒体における新たな表現としてのコンテンポラリー作品を提案。
作品を体験する

審査員コメント

「この作品を評価したポイントは次の3つです。拡張性(どんどん広がっていく奥行き感と技術的にもここからさらにいろいろな広がりを感じさせる)、没入感(この異空間の舞が作る世界にすっかり入り込める感覚)、美しさ(映像がとても美しくもっと見ていたい気持ちになり引き込まれる)。ピューロランドの空間にこの世界が登場するイメージを思い浮かべると、お客様がすっとこのデジタルのコンテンツになじんで、ひととき、これまでと違ったエンターテイメントを楽しみ、そしてまたリアルなピューロランドに違和感なく戻ってくる、「リアルとデジタルを行ったり来たりする」という私たちが目指している新しいエンターテイメントの在り方を具現化してくれている作品だと思いました。」
小巻亜矢(株式会社サンリオエンターテイメント代表取締役社長)

SUPER DOMMUNE Prize(1作品)

作品名:Displays XR
作者:半澤智朗(グラフィックデザイナー / 映像作家|日本)

※Silver Prizeとダブル受賞

審査員コメント
コメントは追って公開いたします。(2020/12/24)

WaiWai Prize(1作品)

作品名:宇宙人の東京観光
作者:生井 勇飛(クリエイターになりたい一般人|日本)

海外への渡航が制限されるなか、宇宙人と見知らぬ場所に出かけるという奇妙な体験を作品化。
作品を体験する

審査員コメント

「シンプルに楽しめ、 体験者を選ばない分かりやすさが良いです。不要不急の移動がはばかられる現在の状況において、時間、距離、そしてコロナ禍という制約を取り払う、xRの可能性を再認識させてくれる作品です。また、宇宙人たちが観光地の建物などを宇宙船の中に取り込むアイデアは、もっとxRが身近になり、実際には持ち帰ることのできない観光地のオブジェクトやシーンそのものを、フォトグラメトリで旅の思い出やお土産として持ち帰るなど、「XR×観光」による新しい旅の楽しみ方も想像させられワクワクしました。」
犬童大郎(ケーブルメディアワイワイ 企画室 室長)

バーチャル展示会「NEWVIEW 2020 VIRTUAL EXHIBITION」開催

「NEWVIEW AWARDS 2020」のファイナリスト作品をバーチャル空間に展示した「NEWVIEW 2020 VIRTUAL EXHIBITION」を公開しました。本展示は「STYLY」のVRアプリ、Mobileアプリ、WebPlayerより体験していただけます。
VRアプリでは作品の画像を選択すると作品シーンに遷移します。Mobileアプリ、WebPlayerでは作品の画像を選択するとブラウザで作品のSTYLYページが表示されます

NEWVIEW 2020 VIRTUAL EXHIBITION

NEWVIEW 2020 VIRTUAL EXHIBITION

NEWVIEW AWARDS 2020について

詳細はこちらをご確認ください。
https://newview.design/awards/overview

主催:NEWVIEW PROJECT 

NEWVIEWについて

3次元空間での新たなクリエイティブ表現と体験のデザインを開拓する実験的プロジェクト/コミュニティーとして2018年1月始動。多様なジャンルのアーティストと実験的作品を仕掛け、新たな表現を社会提示する活動のほか、「NEWVIEW AWARDS」、xRを総合芸術として学ぶアートスクール「NEWVIEW SCHOOL」を展開し、次世代クリエイターの発掘・育成・交流・発信を行っています。

Web:https://newview.design/

お問い合わせ: NEWVIEW AWARDS 2020 事務局(担当 原)

info@newview.design

プレスリリースやロゴなどが入った、プレスキットは以下よりダウンロードください。
http://bit.ly/34E2L23

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