あけましておめでとうございます。本年もロフトワークをよろしくお願いいたします。
マネジメントメンバーより、2021年のご挨拶と抱負をお届けします。

代表取締役社長 諏訪 光洋より

コロナの話はしない。

21年目のロフトワーク、これから。
ロフトワークは数年前から“Creative Company”と名乗ってきました。デザインファームではなく、クリエイティブエージェンシーでもなくクリエイティブカンパニー。

ロフトワークとFabCafeはデザインはもちろん、アートや新しい技術、文化、社会を信じるコミュニティです。その使命は、新しく生まれているクリエイティブなエネルギーと既存あるいは社会のアセットをつなげ、共に楽しみながら価値を生み共有することです。それはクリエイターはもちろん、学術的なチーム、企業、行政、ユーザー、全て新しい試みを肯定的に協力し、情報・感情・責任を表現し共有できるコミュニティです。

LoftworkとFabCafeは世界に広がりながら同じ地平を目指すでしょう。一方で、素材とテクノロジーに新しい価値をもたらすためのMTRLや、空間において共有地を提示するLayout、課題に対してチャレンジを共有するAWRD、飛騨において国産材の新しい価値を生むヒダクマなど多くのチームも生まれています。そしてこの細分化されそれぞれが責任を持ちながら共有し合うティール型の活動は今後加速されます。

Loftworkが生まれた1999-2000年当時、インターネットにおいて”クリエイティブ”という不定形の価値は未だ流通していませんでした。クラウドファンディング、ブログ、YouTube、現在は隔世の感があります。

私たちが目指してきているのはCreative Societyです。胸をはってクリエイティブであるべきであること、人がAIやロボットと異なる価値を生み続けること、共有し協力しながら新しい試みに向かう社会。

今年もよろしくおねがいします。

代表取締役 林 千晶より

「千晶さん、20年経って、来年どうする予定ですか?」

昨年末(といっても、まだ1週間前だけど)、納会で聞かれた。「クライアントからもよく聞かれるんですよ」と言われると、勝手に責められているような気分になってモゴモゴする。でもなんら隠しているわけでもないから仕方ない。

「まだ決まってないんだよね〜」と私。

もちろん、応援をしている会社がないわけではない。例えば、幼児教育を手がける会社は経営者も大好きだし、事業の成功=たくさんの子供の笑顔、であることを考えると、確実に日本を豊かにする取り組みだと思っている。ただ、一緒にイタリアに視察に行ったり、将来像をブレストする姿は目に浮かべども、提案資料に落とし込んだり、ミーティングで詰めていく作業になると、途端、頭の中ですら、おぼつかない。こんなんじゃ、雇ったって苦労するよね…。

就職活動は、センチメンタルと切っても切れない。

では、もう一回事業をおこせばいいじゃないか。そんな意見もある。敬愛するジョイ*は

「とある城をイノベーション空間にかえて、経営するなんてどう?」

と気軽に声かけてくる。さすがジョイ、選択肢に「お城」を入れてくるなんて。しかも、場所は海外ときた。ルルル〜。でも冷静に戻ると、その国の言語は全く話せない。「それなのにイノベーションが起こせるとでも?」と、諏訪の冷ややかな一言で、我に返る。

そもそも、ロフトワークでやり残した作業もある。未来を切り開いていく女性を、もっともっと育てないと。それはやりたいことではある。でも、そのためだけにフルタイムでロフトワークに残るのも、私の主義に反する。
ということで、これからの道筋はいまだ見えていない(笑)。

でも考えてみると、それが私らしいとも思えてきた。
そう、先が見えないことを、恐れなくていいのだ。
むしろ、ワクワク、楽しみにしておこう。

きっと、くるべき時に、くるべきバトンを掴んでいる。

そう期待して、新年を迎える。 

 

*編集部注:ジョイ(Joi)=伊藤 穰一 氏

Loftwork Taiwan co-founder Tim Wongより

2020 was a tough year, but it was also a blessing in disguise. Both Fabcafe and Loftwork teams in Taiwan are fortunate to keep busy with respective projects and events. We had the opportunities to venture new types of projects with different kinds of challenges. As the complexity of projects increases, our team sometimes struggles in the process, nevertheless, it is also the time the team gains the most experience. In the time of uncertainty, we look towards our teammates and our collaborators, sometimes our clients for support and inspiration, and vice versa.

In 2020, I have a new found appreciation for fabcafe global network. It reminded me of what motivated us to join together to do what we do in different parts of the globe. It is inspiring to hear the ingenuity of Counterpoint program in FabCafe Kyoto; how Hidakuma team deployed AR technology to rethink the wood manufacturing process; FabCafe KL team developed a series of sustainability program to collaborate with local businesses and universities; Fabcafe Bangkok working with local hospitals, universities, and manufacturers to design and deploy life-saving equipment in Thailand, the lists go on.

Our creative resilience is supported by the inspiration we shared among this dynamic network which was built over the course of the last 8 years and I’d like to think that it is only the beginning.

Regardless of distance, FabCafe and Loftwork Taiwan will strive to create more opportunities for cross-boundary collaboration. On behalf of members in Taiwan, I look forward to working with you in 2021.

“I work with cool people”

取締役 矢橋 友宏より

2020年は、名古屋に明け暮れた年でした。

前代未聞のコロナ禍の中で、我ながら良くもまあオープンできたものだと、他人事のように振り返っています。在り来たりな表現ですが、手伝ってくれる仲間、自分ごととして一緒に向き合ってくれる仲間、面白がってくれる仲間…仲間の大切さを何度も痛感させられました。正直「これ無理なんじゃないか?」という思いがよぎった瞬間もありました。「誰か決めてくれ〜」と願った時も数え切れないほど。本当に多くの人の力のお陰で、無事9月に立ち上がりました。有難うございました。

リアルな場所ができると、面白いもので、今までバーチャルだったコミュニティがどんどん見えてきます。人が人を繋ぎコミュニティが広がっていく。仲間が増え繋がっていくことで、人は勇気づけられ、自分のエネルギーにも変えられること、たくさん学ぶことができました。もちろん、中には繋がることで傷つけあったり、無用なストレスを発生させることもあるのですが…それも学びの一つとして、コミュニティの力に変えていければと思っています。今は、人が従前から持っていたエネルギーが仲間によって増幅され新しいものが生まれ育っていく様を見ることが楽しくて、しばらくこんな生活を続けたいと思っています。

そして2021年。相変わらず動きづらい環境はしばらく続きそうですが、守りに入らず、よりオープンに積極的に活動の幅を広げていきます。東海エリアに絡めたい話しがあったら、ぜひお声がけください。

あっ、ちゃんとロフトワークの仕事もやってます(笑)。普段は東京にいるので、今年も一緒に企みましょうね。

執行役員 兼 イノベーションメーカー 棚橋 弘季より

われながら流されやすい性格だなと思う。

時代が大きく動くと関心ごとまでがらりと変わってしまう。変化そのものにとにかく興味が引っ張られる。

名前に「季」という文字が入っているから時の移り変わりに敏感なのだと自己肯定してみる。

何が変わったと感じるかというと、社会における対立の構図が「わたし」と「あなた」から、「わたし」と「わたしたち」へとシフトしたのではということ。言い換えると、プライベートv.s.パブリックの対立の構図が表面化して、ひとりの人間、ひとつの企業のなかで私的な部分と公的な部分が互いに矛盾しあうケースが生じやすくなったのではないかと。

危機的な状況を前に、私的な持続可能性を優先するか、公的な持続可能性を優先するかが問われることが増えてきたように思う。

そんな変化のなか、この対立を解決するひとつの方向性として、所有と使用を切り離し、公的な所有と私的な使用を同時に実現するモデルが世界のさまざまな場所で生まれているのを知る。

ヨーロッパの自治体同士が公共の再生を目指して国を超えて連携するミュニシパリズム、所謂グローバル・サウスにおける中小農業従事者の国際組織であるヴィア・カンペシーナなどがそうだ。

いずれも自治によりサステナブルな社会を目指すところに共通点がある。

今年はこのあたりの動きにも注目したい。

ロフトワークでも引き続きクリエイティブな人たちが集まるコミュニティをベースに、さまざまな自主的なチャレンジを通じて社会に新たなしあわせの形を提案できればと思う。

いい意味で時代の変化に流されながら。

というわけで、2021年もよろしくお願いします。

京都ブランチ事業責任者 寺井 翔茉より

新年あけましておめでとうございます。

とつぜんですが、夏目漱石は「牛になることは重要です」と芥川龍之介へ手紙を送ったそうです。

“牛になる事はどうしても必要です。
我々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なりきれないです。
僕のような老猾なものでも、
只今 牛と馬とつがって孕める事ある相の子くらいな程度のものです。

あせってはいけません。
頭を悪くしてはいけません。
根気づくでお出でなさい。
世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、
火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。
うんうん死ぬ迄押すのです。
それだけです。

決して相手をこしらえてそれを押しちゃいけません。
相手はいくらでも後から後からと出てきます。
そうして我々を悩ませます。
牛は超然として押して行くのです。

何を押すかと聞くなら申します。
人間を押すのです。
文士を押すのではありません。”

世界の風向きは大きく変わったけれど、実はあまり狼狽えていない。だって僕たちは、コロナ云々にかかわらず、今までもずっと「変化しつづける」「本質にむきあう」「ノイズを楽しむ」、そして「計画する」ことを超然と続けてきたから。

2020年、大阪府 八尾市でのYAOYA PROJECTは2年目を迎え、ものづくり企業とクリエイターの共創コミュニティが着実に成長しています。
足場業界の人材不足を解消するために始まったプロジェクトは、Webメディア開発を手始めに、デザイン経営の実現へと繋がる沢山のプロジェクト動き出しました。
海を超え沖縄では、地方大学の存在意義を問い直し、ありたい姿を描き直すリブランディングプロジェクトを実施。
京都市の観光協会とは、京都の魅力を伝える世界中のメディアサイトとのコミュニティを形成し、自前主義からの脱却による新しい観光地マーケティングのあり方を模索してきました。

そして、FabCafe Kyotoでは「COUNTER POINT」という「偏愛と衝動」に突き動かされたプロジェクトのためのレジデンス プログラムを昨年秋からスタート。参加者のテーマは、焚き火、前世、ロボット、脳波、チロルチョコ、シーシャ、即興演劇、フリーペーパーなどなど色とりどり。そのどれもが、ビジネスやイノベーションや社会のためではなく、ましてや誰かから依頼されたわけでもなく、あくまで”私的創造性”に根ざしているのが特徴です。

2021年は、わたしたちロフトワーク京都のメンバーそれぞれが、また共に働くクライアントやパートナーも、おおいに公私混同しながら「私的創造性」を存分に発揮できるようなプロジェクトを生み出していきたいと思います。

さあ、今年はロフトワーク京都チームの設立10周年の節目です!
創造性がめぐるしなやかな社会に向けて、変化をうんうん根気強く後押しする牛のような私たちを、今年もどうぞよろしくお願いします!!!

Layout Unit CLO 松井 創より

自分たちの仕事を造船と船旅に喩えてみた2020年。年始は順風満帆に思えたが、まさか世界中の海が大荒れとなるとは。さらに景気の凪(なぎ)で帆船は前へ進めない事態に。企画設計していた新しい船も相次ぎ中止に…と船頭としても船大工としても大いに戸惑う一年となってしまいました。

そんなとき頼りにしたのは『母港:loftwork』の存在。針路が定まらず、航路図もあてにならない船旅から、いったん母港に戻ってみた。するとそこには旅の指南があったのです。たとえば「予測しすぎないこと」「小さく始めて大きく育てること」「固定観念を疑うこと」「どんな局面でもワクワクする方を選ぶこと」などなど。おかげで昨年の航海は難しかったけれど、エキサイティングな旅ができました。

それもあって最近「loftworkとは”ロフトワークする”という動詞なのでは?」と思うのです。すなわち、予測不可能な時代の波を乗りこなす為の旅の所作(働き方)を意味する動詞なのではないかと。そして『風の時代』と表現される大航海時代に、船乗りたちが立ち寄る母港ともとらえられる。新しい仲間や依頼主と出会い、知を分かちあい、次の船旅へ繰り出す地点であり、そして帰ってくる母港loftwork。

さて2021年、造船を再開し、新しい航海も始まります。目指すは新大陸。それから港の拡張もやる所存。さあ帆を張り風をうけて出航しよう。旅を共にする皆さん、本年もよろしくお願いします!

ロフトワーク みんなの抱負(東京・京都編)

仕事始めの恒例行事である、ロフトワークの書き初め大会。
今年は感染症予防に配慮しつつ、東京と京都でメンバーそれぞれの抱負を書に認めました。

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昨年度滞在制作作品が多数の映画祭で入賞。
延岡発、縦型ショートムービーに特化した映像祭の第2回を開催!