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「BtoB Web Vol.1 リードジェネレーション プル型・プッシュ型の成功パターン 」開催レポート

2014年1月23日、BtoB企業のWebの在り方を考える新しいシリーズイベント「BtoB Web」をスタートしました。Vol.1のテーマは「リードジェネレーション」。Webからのリード獲得数の増加や確度の高い商談に結びつく成功パターンを考えるために、ロフトワークからプル型の事例紹介を、そしてネクスウェイからプル型とプッシュ型を巧みに組み合わせて活用する事例を紹介しました。当日の様子をレポート形式でお伝えします。

いま、Webに求められる本質はコミュニケーションデザインである

株式会社ロフトワーク 取締役 兼 CMO 矢橋 友宏

冒頭で、ロフトワーク 矢橋友宏が本イベントの概要とキーワードを「BtoB企業サイトの今」と題したセッションで紹介しました。まず、矢橋は「BtoBとBtoCにおける検討プロセスや購入動機の違い」を分析。「消費行動のプロセスモデルはほとんど同じだが、購入時に論理的・客観的正当性が求められることが大きく異なる」と指摘しました。

Webからのリード獲得のためには「情報を伝えて誰からどんなアクションを引き起こすか?」がテーマであり、アクションを誘導するユーザー視点のコミュニケーション設計が必要です。矢橋は、近年のWebの目的はPVの拡大よりも「サービス・商品への関心」を高め、「問い合わせから商談へ」つなげることが重視されており、「Webに求められる本質はコミュニケーションデザインだという考えが一番しっくりくる」と語りました。

矢橋は、Web上でのコミュニケーションを有益にするために、顧客のステータス把握、興味関心の認知に加えてハードルの低いアクション提供などの施策があることを提示しました。そして、Webでのコミュニケーションからユーザのアクションを引き出すうえで、コンテンツが重要だと強調。「顧客体験をどう作るか?(CXM/Customer Experience Manegement)」という視点で、カスタマージャーニーのプロセスを考えながら「文脈を意識してコンテンツを作るべきだ」と強調しました。

矢橋は「どんなシナリオを持ってコンテンツを作るのか。ユーザー行動に影響を与えるにはどうすればいいのかをどんどん実験し、PDCAを回す必要がある」とセッションを締めくくりました。

売らないコンテンツ”で高確度のリードを生み出していくしくみとは?

株式会社ロフトワーク マーケティング 山口 謙之介

プル型の事例を紹介するセッションには、「loftwork.jp」のWebマスター山口謙之介が登壇。「loftwork.jp」の目的は、「ロフトワークの認知拡大(ブランディング)」と「受託制作問い合わせ獲得(マーケティング)」。しかしロフトワークは、特定の商品やソリューションがなく、潜在顧客のニーズが顕在化するタイミングが一定しない「受託制作」をWebだけで売ることは困難であり、「営業的な勝ちパターンを作りにくい」ことが悩みどころでした。

そこで、山口は「loftwork.jp」を“売らないコンテンツ”を中心としてユーザとコミュニケーションに特化するWebサイトと位置づけました。現在は、新しいツールやプロジェクトの中間報告を行うディレクター陣のコラムやイベントセミナーの開催情報とレポート、社内のできごとを伝えるPRブログなどのコンテンツが日々更新されています。

コンテンツは定期的に制作してソーシャルネットワークやメルマガなど複数チャネルを活用してきちんと届けること、そしてWebだけでなくビジネスセミナーなどリアルな接点を作るなど、継続的なコミュニケーションがリード獲得につながることを強調しました。

多くの制作会社の中の一つではなく「ロフトワークがいい」「ロフトワークに頼みたい」を目指している

定期的なコンテンツづくりのために、自社の業界や事業に知見のある外部ライターに記事執筆を依頼するなど、編集に集中できる状況を調える重要性も指摘。「各コンテンツの執筆については、〆切を設定して社内外への声かけを地道に行っている」と語りました。山口は「売らないコンテンツを全力で作り続けた結果、2013年には四分の一という高確度での有効商談を得た」という結果も報告しました。

最後に、山口はプル型のコミュニケーションによるリード獲得では「短期的な数値コントロールや予測が難しい」と語り、規則的に数字をコントロールする方法を探る必要があることを今後の課題として提示してセッションを終えました。

ユーザもマーケも営業も喜ぶ!理想的なBtoBリードジェネレーションのヒント

株式会社ネクスウェイ 売れるしくみ事業部 コミュニケーションデザイナー 垣内 聡実氏

最後のセッションに登壇したのは、ネクスウェイ 売れるしくみ事業部 垣内聡実氏。「ユーザ、営業、マーケティングの三者が喜ぶリードジェネレーションのヒントを持ち帰ってほしい」と語り、ネクスウェイの商材「店舗matic」のリードジェネレーション施策を紹介しました。

「店舗matic」はチェーンストア企業に特化したSaaS型コミュニケーションツール。投資額が高額で経営判断が必要になるため、営業の一番の悩みは「解決意欲を醸成し導入検討をしてもらうまでに時間がかかること」でした。そこで、営業の工程を前後に分けてWebサイトと営業の役割を再定義。Webは商品のアピールよりも前工程にあたる「課題の気づき(解決意欲の醸成)」、営業は後の工程として「気づきをクロージングしにいく」に特化するリードジェネレーション施策を実施しました。

これにより、「今ではWeb施策が有効商談の80%弱に関連する重要施策になっている」と垣内氏。ただし、この成功の前提としては「店舗matic」が業界をしぼった商材であったこと、過去三年間にセミナーやリスティング広告で蓄積された個人情報を持っていたことを明かし「最初にリストがあることは必須だった」と指摘しました。

ユーザの行動とそれに伴うWebの施策をマップにして可視化

また、垣内氏はサイト構築においては顧客目線でユーザ体験マップを作成しそれをもとに様々な施策を実施。ユーザの興味を軸にコンテンツを配置したところ、「セッションあたりのPVが2.1倍にアップし回遊性が高まった」と報告。また、メール起因の個人別ログをトラッキングして、「単なる閲覧は1」「価格問い合わせ完了ページ到達はスコア50」などアクセスログをスコア化してトラッキング、スコアの高いユーザから優先的に電話ヒアリングなどを実施して有効商談が2倍になったことを明らかにしました。

最後に、垣内氏はリードジェネレーション施策のポイントとして「営業との目線の合致」「データ集計時間の効率化」「ユーザ目線」という三点を強調。現場に近い営業との協力体制のなかで、ユーザーの共感を育てるコミュニケーションを続けていくことにより「1000件から5件を見つける焼き畑農業的なコミュニケーションではなく、5件を100件に育てていく」施策が可能になると語り、セッションを締めくくりました。

1ミリを積み重ねて1センチに育てるのがリードジェネレーションである

セッションの後は、山口と垣内氏がふたたび登壇。ロフトワークの君塚美香によるモデレーションでパネルディスカッションが行われました。君塚は、ふたつの事例について「似ているところもあるが、商材や体制、組織は全く違っている。結局は、継続的で地道な取り組みが重要なのでは?」と問いかけました。

山口は「継続してはじめて結果が見えてきます。一定期間、問い合わせ数を追いかけて数字を把握してから現在のサイトへシフトしています」と明かし、「営業が強い会社では売るコンテンツをすぐに作ることができるかもしれないが、組織やフェーズによっても施策の打ち方は変わってくるし、ひとつの正解があるわけではないと思っています」と語りました。

垣内氏は「よく、ネクスウェイだからできたことだと言われることも多いが、はじめはとりあえずやってみようという感じでした。1ミリを積み重ねて1センチにすることはできるけれど、いきなり1センチにならないのがリードジェネレーションだと思います」と語りました。また、いつも立ち戻るのはユーザの目線であり、「ユーザのビジネス成果につながるプロセスの”どこを手伝えるのか?”という相手視点が一番大事だ」と最後にもう一度強調しました。

シリーズイベントBtoB Web Vol.1では、具体的な事例とリアルな現場の声を紹介し、営業とマーケティングに関わる参加者に深い共感を得て幕を閉じました。パネルディスカッションの後は、両社の登壇者と参加者の意見交換も活発に行われました。

イベント概要

BtoB企業のWebの在り方を考えるシリーズイベントを開始します。第1回目のテーマは、「リードジェネレーション」

 「Webからのリード獲得数を増やしたい」「確度の高い商談を営業に渡したい」と考えるマーケティングやWeb担当者も多いはず。そこで今回は、継続的な情報発信を通じWebからの問合せを獲得するプル型と、闇雲に営業をせずWebの分析で最適なタイミング・ユーザにアプローチをかけるプル+プッシュ型、 2つの視点から成功パターンを考えていきます。

プル型の事例としてロフトワークからは、サービス以外のリアリティのあるコンテンツを発信し長期的に共感を育て高角度のリードを創出する方法をご紹介。プル型とプッシュ型を巧みに合せて活用する事例としてネクスウェイからゲストをお迎えし、ユーザの行動を可視化、スコアリングすることで大型商談につながるリードを営業へ渡すプロセスを解説いただきます。

開催概要

セミナータイトル

BtoB Web Vol.1 リードジェネレーション
プル型・プッシュ型の成功パターン

開催日時 2014年1月23日(木)14:30〜(14:00受付開始)
場所 loftwork Lab(ロフトワーク渋谷)
[渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア10F]
地図
対象

・BtoB企業のWeb活用事例を知りたい方
・Webからの問合せを増やしたい方
・マーケティングと営業の連携を強化したい方

参加費 無料
定員 40名
主催 株式会社ロフトワーク
ご注意

※個人の方、同業者の方のお申込みはご遠慮頂いております。予めご了承ください。

プログラム

14:30~14:50
BtoB企業サイトの今
14:50~15:20
プル型:営業しないWebサイトから生み出す高確度リード
15:20~15:30
休憩
15:30~16:00
プル+プッシュ型:Webと営業を連携させた大型商談の創出
株式会社ネクスウェイ
売れるしくみ事業部 コミュニケーションデザイナー
垣内 聡実氏
16:00~16:40
パネルディスカッション
株式会社ネクスウェイ
売れるしくみ事業部 コミュニケーションデザイナー
垣内 聡実氏
16:40~17:30
相談会

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