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2014 China-Japan Hackathon 開催レポート

「久しぶりに3人で本気のものづくりができて、最高でした。ちょっと泣きそうです」

と語ったのは、2日間のハッカソンの最優秀賞を獲得した参加者。

10月11日と12日の2日間。”Make Changes to Life”をテーマに中国と日本の2拠点をつないでハッカソンが開催されました。中国側はKIC(Knowledge and Innovation Community)、日本側はKOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)をベースに、途中中継で両会場の進捗を共有しながら行われました。

2日間の過程を実際に参加したロフトワークシステムDivの大森、関井、丹羽がお届けします。

Day1:意識をしない出会いが人生を変える!ハッカソンスタート

日本側の会場となったKOILは、ハッカソンのテーマにもあるイノベーティブなWebサービス、ものづくりをサポートする3Dプリンタ、レーザーカッターなど様々な機器を保有する施設。それらをイベント期間中無料で使用でき、さらに、IoTの開発基盤として、インテル株式会社よりArduino互換開発ボード「Galileo(ガリレオ)」の提供もあるなど、恵まれた環境にテンションも上がります。

開催に先だち、ロフトワークの林が、「デジタルものづくりカフェのFabCafeもHackathonからはじまり、その時一緒だった仲間と一緒にKOILをプロデュースしました」と切り出し、「意識をしない出会いが人生を変える、どんなアイデアが生まれるのか楽しみにしています。」と参加者にエールを送りました。

ロフトワーク林とインテル志村氏

林に続き、本イベントに協賛いただいたインテル株式会社の志村氏から、提供されたArduino互換開発ボード「Galileo(ガリレオ)」のポイントやできること、使い方を記したドキュメントの説明がありました。会場に山積みになった「Galileo(ガリレオ)」に参加者は皆興味津々でした。

ここで、上海との中継タイム。グレイスさんとエイミーさんが、KICの取り組みを紹介。KICではこれまでの3年で6回のハッカソンを開催しており、今回のハッカソンは10/20にKICで開催されるメイカーカーニバルのプレイベントとしておこなっているとのことでした。

上海との中継タイム。グレイスさんとエイミーさんが、KICの取り組みを紹介。

いよいよスタート。まずはチームビルディングから!

上海との中継を終え、いよいよハッカソンがはじまります。まずは、チームビルディング。初めて会う人たちと話し、デザインやプログラミング、企画など、どの分野に強い人なのか一緒にチームが組めるのかなどを雑談しながらチームを作ります。中には、自らやりたいことをプレゼンし、メンバーを集める方も。

初対面の人と話すのが苦手だ…と思う人もいるかもしれませんが、ハッカソンという同じ目的をもつ人たちが来ているので話が盛り上がってしまい全員とコンタクトがとれない事の方が多いです(笑)

参加者は約20名程度。IT系のイベントのため(?)か女性は2名ほどでしたが、バリバリ開発を行っている人やデザイナーの人、コンサルティングを行っている人など様々な業種の人たちが集まりました。大森、関井、丹羽の3人は、実は普段一緒に仕事をする機会が多くないので、チームとして参加することにしました。

何を作る!?アイディエーション

さて、チームが組み終わったら今度はアイディエーションです。初めて会ったチームメンバーと一つの目標に向かう為の、大切な時間帯です。お腹が減っては議論は出来ないという事で各チームに分かれてランチをとりながら作戦タイムとなりました。

各チームアイディエーションを行っている中、KOILファクトリーの使い方についてのオリエンがありました。初めて見る機器に真剣な眼差しで聞き入っています。

そうこうしている間にアイデアも固まってきています。各チームともメンバーの役割分担が決まってきました。

アイデアボード

1日目の終わりに審査員の井口さんからのサンフランシスコでの活動報告とハッカソン参加メンバーへの檄がありました。井口さんにとっては、「毎日がハッカソンみたいなもの」とのこと。着眼点やそれを形にすべく試行錯誤されている姿に惚れ惚れしました。

その後、各チームをまわってアイデアを大胆にリフレーミングしてくれました。

終わりは始まり!?禁断の深夜ゾーンに突入

さて、夕食も食べて1日目が無事に終わろうとしていましたが、今回はKOILがオープンしてから初の24時間開放です。残ってプログラミングする人が数名いました。かくいう私(大森)は、、、翌日のタスクを確認し帰宅。徹夜はせずに朝に6時にKOILへ来ました。(あとから聞いたはなしでは、徹夜で作業したチームもあったそうです。)

※運営注
実際に深夜から早朝まで続けて作業されていたのは1チーム。ハイになったメンバーが画面を見ながら叫んでいたり、リフレッシュを兼ねて卓球をするなど熱い時間が流れていました。その他、早朝にベビーカーを抱えて来た方など、率先してよいものにしようとする様子が印象的でした。

そんな1日目。各チームから以下のアイディアが生まれました。

  • corosketch!:「初めての共同作業 一生に残る感動の名刺交換」
  • Weigh the Anchor:「怒りの可視化で感情をコントロール」
  • Regulus!:「家とコミュニケーションする」「Regulus」
  • THE DORAEMONS:「自分サイズの家具プラットフォーム Pittali」
  • Galileo Satellite:「赤ちゃんの不快を察知するBoice」

Day2:優勝商品上海行きのチケットは誰のもとに!?

さて、2日目です。今回は両日共に天候に恵まれました。ロフトワークスタッフのレッドブルガールが疲れた身体を癒してくれました。

デザイン!開発!実装!プレゼン準備!

さて、エネルギーを補給してアイディアを形にするべく各チーム必死に活動。プレゼンの資料の内容を考える人、プログラミングをする人、KOILファクトリーでレーザーカッターを利用する人、ユーザ・インタフェースをデザインする人など各自黙々と作業タイム。まわりのチームの進捗が気になりながらもラストスパートです。

作ったプロトタイプをもって、隣接するららぽーとにフィールドワークに行ったチームもあったようです。

プレゼン!講評タイム!

約16時間のハッカソンタイムを終え、各チームのプレゼンが始まりました。審査するのは以下の3名。左からグロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー高宮さん、DOKI DOKI, INC.井口さん、弊社諏訪です。

1日目に生み出したアイディアがどのようになったのか?各チーム持ち時間の7分を使い様々な趣向を凝らしたプレゼンを展開しました。

プレゼンが終わるごとに審査員からは質問や具体的なポイントを含めた講評が投げかけられます。5組のプレゼンが終わり審査員の方々は協議に入りました。

審査基準は以下の5点

  • Business Model:ビジネスモデル
  • Sustainability:持続可能性
  • Feasibility:実現可能性
  • Innovative:革新性
  • Experience Design:顧客体験のデザイン

1位に輝いたのはTHE DORAEMONSチーム:「家具プラットフォーム Pittali」です。優勝チームには、副賞として、今回のイベントの上海会場でもある最先端のテクノロジー企業やアントレプレナーが集まるKnowledge and Innovation Community (KIC)への訪問ツアーが送られました。

このチームは「FULLER株式会社」のメンバーで参加したチーム。審査委員からはプレゼンからアプリを含めたサービスの設計に対して出来杉くんだと最高の褒め言葉をもらっていました。

〜〜〜
デッドスペースを活かした家具をオリジナルで作れるDIYサービス「Pittali」。デッドスペースの情報を入力するとレーザーカッターを使ってプラモデル的にオリジナル家具の素材を出力、組み立てて配達する。20〜30代のDIYに積極的な女性がターゲット。

高宮さん「流通や在庫のコストが高い家具をビルドトゥオーダーにしてコストを抑えたのはうまい。ビジネスモデルとして完成されている。流通インフラが整えられるかが課題。対大手を考えるとブランディングやプロダクトデザインも重要」

諏訪「小物ではなく家具から始めるべき。飛騨市で木工産業を考えているので一緒に行きませんか?」 
〜〜〜

優勝チーム以外からも様々なアイデアが形になりましたので、紹介します。

Regulus!:「Regulus」家とコミュニケーションする(写真左上)

優勝したチームとは違い当日、初めて会ったメンバー同士です。センシング技術を使いRegulusという家の中の小さな王様とコミュニケーションを行うことによって生活をサポートするプロダクトを作成しました。FabCafe賞を獲得。後日、続きをやるそうです。

Galileo Satellite:「赤ちゃんの不快を察知するBoice」(写真右下)

当初3名のチームでスタートするも、家庭の事情で1名が2日目に参加出来ず、2名で頑張ってチャレンジしたチームです。赤ちゃんにフォーカスしベビーカーに「Galileo(ガリレオ)」を搭載して温度センサー・加速度センサーを付け、音声で保護者に乳児からのアラートを伝えるプロダクトを作成しました。急遽作られた、インテル賞を受賞。

Weigh the Anchorチーム 「怒りの可視化で感情をコントロール」(画面右上。我々デス)

指輪、ブレスレット型ウェアラブルデバイス「angrink」。体温や脈拍から怒りを数値化、「ジョジョの奇妙な冒険」にヒントを得た独自の「ゴゴゴ指数」で表す。原因やコメントの記入でストレスを内省、共有する。感情を視覚化することでユーザーに気付きを与え、生活改善のきっかけを提供する。

corosketch!チーム:名刺交換アプリ「めいしーの」(画面左下)

形式的で話が盛り上がらない名刺交換に遊び心を追加。ポーズ、タイミング、角度が合わないと名刺情報が交換されない。初対面コミュニケーションのアイスブレイク、顧客管理にも役立つ。課金で追加コンテンツ購入も可能。実際にスマートフォンで、名刺交換のデモまでできていました。

振り返って。まさに一期一会だった

受賞式後、各チームからは様々な感想・コメントが飛び出しました。(以下抜粋)

「ハッカソンがこんなに楽しいなんて知らなかった」
「KOILという環境で行えたことも嬉しいが、食事含めて至れりつくせりだった」
「新しい気付きがたくさんあった」
「いつも仕事をしているメンバーで新しいものづくりができてよかった」
「絶対に続きをやります!」

これらの言葉が自然に参加者から出てくれるのは、一緒に時間を過ごした参加者として非常に嬉しく思いました。

2日間にわたるハッカソンを終え、今回のイベントはまさに一期一会ではないかと感じました。普段では会えない人がKOILに集まり充実した時間を過ごす。久しぶりにハッカソンの醍醐味を感じたイベントでした。

数回ハッカソンに参加しているのですが、いつも大変に感じるのはアイデアを”形”にするところです。ユニークなアイデアなほどそれをプログラミングにするのは難しいなと感じます。また、いつも思うのが自分の引き出しがどれだけあるのかという点です。うまくいかなかった所を次はどうすれば改善出来るのかいつも気づきを与えてくれます。今回も大きな気づきと初めて同じ社内のメンバーとチームを組んでみましたが、普段はお互い違うプロジェクトを持っているのでこのような機会で同じ目標をもって取り組めたのが非常に楽しかったです。また、初めてお会いして同じチームになった中村さん。 非常に楽しかったです。有難うございました。

業務外での活動というところに意味があるように感じました。ハッカソンでは「お題」のみが与えられ、そこからはある意味自由で際限がなく、 自由がゆえの葛藤があります。自分だけでは表現できない内容も、他の分野が得意な人と交わることで表現の幅が広がり、これこそがハッカソンの醍醐味なのだと体感しました。同時に何ができるか分からない、分野違いの人と目指す方針の共通認識を持つのにコミュニケーション力が欠かせません。チームでの参加というのは難しさを感じると共に、そこにこそ最終のアウトプットに繋がるヒントがあるように感じました。

また、最終的に同じお題を与えられても表現するカタチが全く異なっていたことには刺激を受けました。そこには自分では考えもしなかった発想が多くあり、とても楽しめました。中村さんをはじめチームの皆さま、別のチームの皆さま、どうも有難うございました。

今回、ロフトワークシステムメンバーは同じチームとして参加しました。普段、部署は同じでも担当するプロジェクトはバラバラなため、今回のように膝を突き合わせて話をして、「つくる」というフローを体験できたのはいつもと違う新鮮さがありました。

さらにそこに僕らとはジャンルの違う中村さんが加わってくださったことで、「いつものメンバー」に起こりがちな視点が似通ってしまう部分も、より多角的にアイデアを捉えることができ、アウトプットに繋がったなとおもいました。

また、KOILという場所にはfactoryがあり、アイデアが発想されてから物理的なカタチにするまでのプロセスを短くすることができるのが大きな魅力でした。データを作り、プロトタイプを出力。モノができたらすぐにユーザテスト。ハッカソンというイベントだけでなく、スタートアップには最適だなと感じました。

本当に貴重な体験ができました。ありがとうございました!

イベント概要

中国と日本の2拠点をつなぎ、Hackathonを開催。

”Make Changes to life”をテーマに、我々の生活を変えるイノベイティブなWebサービスやアプリケーション、Iotなどを開発する2日間のイベントです。上海会場ともリアルタイム中継しながら、アイディアや進捗を共有し、国内だけではなくひろくグローバルな視点からイベントを進めます。

当日は、アントレプレナー、企画、デザイン、エンジニアなどの異なるスキルをもったメンバーでチームをつくり、短期間で企画からプロトタイプ開発まで実施。個人での参加はもちろん、すでにアイディアやテクノロジーをもつ方々は、3〜4名チームとしての参加も歓迎です。

スポンサーとして、インテル株式会社も参加。Arduino互換開発ボード「Galileo(ガリレオ)」を提供いただき、参加者の皆さんにも活用いただけます。すでに、アイディアや技術をお持ちの皆さんは、当日自由にお持ち寄りいただいてもかまいません。

Galileo 

なお、ゲストには、拡張現実アプリ「セカイカメラ」の全世界リリースやウェアラブル・デバイスのテレパシー開発をリードされたシリアルアントレプレナー井口尊仁氏、グロービス・キャピタル・パートナーズでコンシューマー・インターネット領域の投資を担当しハンズ・オンでの戦略策定、経営の仕組化、組織造り、国内外の事業開発の支援されている高宮慎一氏などをお迎えし、コメントなどをいただく予定です。

イノベイティブなアイディアの実現を目指す方はもちろん、参加者の皆さん同士のナレッジ共有やコラボレーションに興味がある方もぜひご参加ください。 

▼開発するプロトタイプ例
http://en.ihackathon.org/?page_id=11

▼優勝チームへの賞品 
本イベントの上海会場でもある最先端のテクノロジー企業やアントレプレナーが集まるKnowledge and Innovation Community (KIC)を訪問するツアーをご用意しています。

開催概要

セミナータイトル 2014 China-Japan Hackathon
開催日時 2014年10月11日(土)10:15 〜 2014年10月12日(日)19:30
*受付開始:10月11日(土)10:00
場所 KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)
最寄駅:つくばエクスプレス線 柏の葉キャンパス駅
「東京駅」から33分、「秋葉原駅」から30分
所在地:千葉県柏市若柴178番地4 柏の葉キャンパス148街区2 ショップ&オフィス棟6階
[地図]
対象
  • イノベイティブなサービスを開発したい方
  • 自社のサービス開発へのナレッジを得たい方
  • 自社内でチームを作り、短期間でプロトタイプ開発をしたい方
    (あらかじめ3〜4名でチームとしてのエントリーも歓迎です。)
  • アントレプレナーの方、またアントレプレナーを目指している方
  • サービスの企画者・デザイナー・エンジニア、またはこの領域に興味がある学生の方
  • さまざまなスキルをもつ参加者とネットワークを構築したい方
歓迎するスキル
(必須ではありません)
  • 企画:サービス・製品企画、マーケティングなど
  • デザイン:UIデザインなど
  • 開発:Webサービス、アプリケーション開発など
参加費 無料
※ドリンク、食事などはご用意いたします。
定員 30名
主催 株式会社ロフトワーク
共催 Knowledge and Innovation Community (KIC)
三井不動産株式会社
協賛 インテル株式会社

お持ち物

当日は、PCをご持参ください。制作テーマは、当日のチームにて確定いただきますがプレゼンテーション、デザイン制作、開発に必要なソフトなどをインストールしておもちいただくとスムーズに作業いただけます。

会場詳細

  • イベント開催中のすべての食事は軽食を準備しています。
  • Wifi、電源は自由にご利用いただけます。
  • 会場は、Day1夜も作業スペースとしてご利用いただけますが、宿泊設備はございませんのであらかじめご了承ください。

ご注意

  • 参加者の皆さんの聴講・作業風景などのお写真や、発表いただく内容は後日弊社サイトにて掲載させていただく可能性があります。
  • プログラムや副賞は、予告なく変更される場合があります。

プログラム

▼Day1 – 10/11(土)

10:15 オープニングトーク 林 千晶
10:25 イベントの流れ – 共催企業、ゲスト、Movie上映、賞品紹介 君塚 美香
10:40 スポンサー紹介
10:45 本イベント提供技術 「Galileo」紹介(インテル株式会社)
11:15 上海会場との中継
11:30 チームビルディング
12:00 昼食 各チームのテーマ発表
13:00 Hackathonスタート
19:00 夕食

▼Day2 – 10/12(日)

10:00 Hackathon
13:00 昼食
14:00 Hackathon、プレゼンテーション準備
17:00 プレゼンテーション
18:00 懇親会
 ・優勝チーム発表
 ・上海会場との中継
19:00 クロージングトーク
19:30 閉会

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