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loftwork "DAY 2015" IMPACT - イノベーションが与える影響 - 開催レポート 後編

Global 世界へつながる

日本の商材をもっともっと世界へ、中小企業が本気の第一歩

ここからはグローバルに視点を広げ、ロフトワークが事務局を務める経済産業省の「MORE THAN PROJECT」を紹介。これは、日本の商材を海外へ届けたい中小企業の活動を支援する事業で、ステレオタイプな日本のイメージを超え、今の日本の価値を広く世界に展開する狙いがあります。

MORE THAN PROJECTについて紹介するロフトワーク秋元

プロジェクトのスキーム

海外展開に知見の少ない中小企業の事業者が、プロデューサーとタッグを組み、世界への第一歩を踏み出します。海外の展示会への出展がゴールではなく、商談をし、需要につなげるところまでが目標です。

ロフトワークによる支援内容

プロジェクト全体のブランディングから、第一線で活躍するプロを招いてのアドバイザリーボードや、海外販路の拡大を目的としたマッチングイベントなどの設計・開催とともに、WebサイトやFacebookページで情報を発信しています。

●インパクト

事業期間を1ヵ月残す中で、すでに海外展開を果たした企業は16社中16社。商談成立件数は10件を越え、メディアに取り上げられた企業も16社中16社。Facebookのいいね!は3000を超え、イベントを開催すれば満席。事業に対する世の中の関心の高さが伺えます。

●今後の展望

「大きな成果が見えつつあるので、来年、再来年とこの事業が継続していけば、一つひとつは小さな一歩でも、新しい世界、新しい価値を日本が海外に持って行けるはず。このプロジェクトがブランド化し、あのMORE THAN プロジェクトに選ばれた商材なのか!と言われるぐらいになれば、インパクトは大きい」とロフトワーク秋元。翌年度以降も思いをつむいでいけるプロジェクトの設計を行い、いつの日かMORE THAN プロジェクトが当たり前になる日を目指しています。

ローカルのクリエイターを世界に。FabCafeとロフトワークが目指す世界。

秋元に次いで登壇したのは、唯一の海外スピーカーTim Wongです。FabCafe Taipeiと、初の海外拠点となるロフトワーク台湾の創設に奔走したTimが、グローバル拠点の可能性を語りました。

FabCafe Taipeiと、ロフトワーク台湾の創設に奔走したTim Wong

●FabCafeのインパクト

FabCafe Tokyoのオープンから1ヵ月、ロフトワークの経営陣に「台北にFabCafeをオープしたい」と持ちかけたTim。FabCafeが、地域拠点としてのカフェムーブメントを取り入れると同時に、クリエイターとグローバルなネットワークでつながる点に大きな可能性を感じたのです。「ローカルのクリエイターやデザイナーとつながる場にするには、ロケーションがとても大切」と語るTimがFabCafe Taipeiの立地に選んだのは、日本統治時代の酒工場とたばこ工場を改築した華山クリエイティブパークでした。

華山クリエイティブパークにあるFabCafe Taipei

●Fabcafeの基本モデル

東京、バルセロナ、バンコク、台北と、世界に広がるFabCafeは、地域環境や需要の違いを背景に、異なる収益構造、運営形態のもとで発展していますが、次の3つを基本モデルとしている点では共通です。

1)個人に向けてデジタルファブリケーションツールを提供
2)イベントやワークショップを運営
3)コクリエーションのプラットフォーム

「デジタルファブリケーションツールは遠い存在ではなく、日常生活の中で利用し得るもの。必要なのは、みんなが実際に会い、アイデアをテストし、話すことができるリアルな場です」とTimは強調します。

●loftwork台湾の役割

「FabCafe Taipeiはさまざまなマーケットをテストする入口として機能し、次のステップでは、そこで求められるニーズに応えていく必要がある」とするTimは、ロフトワークの知識と経験を日本の外で提供していこうとロフトワーク台湾をオープン。一年目は、次の2つのサービスにフォーカスしていきます。

1)Creative Project Management
アジア市場への進出を狙う日本企業に対してサービスを提供
2)Integrated Creative Solution
空間デザインとイベントキュレーションサービスを統合的に提供

Workshop:こんなに近くにもあった、となりのイノベーション

セッション終了後、ロフトワークシニアディレクターの濱田だ中心となり「となりのイノベーション」をテーマにワークショップを実施。世界や全く新しい価値の想像ではなく、隣に座っている参加者同志でどんなことができるのか、もう少し身近なところにある可能性を探る試みです。

参加者全員でワークショップ「となりのイノベーション」

まずは参加者同士、5人で1つのチームを作り、互いのできることについて情報交換することからワークがスタート。カードに自分ができることを書きこみ、交換。他の人のカード2枚と組み合わせて、単なる業務提携ではない新しいこと、面白いことを考えるという流れです。同時に、そのインパクトも明らかにします。これを2セット繰り返した後、出てきたアイデアをチーム内でシェア。一番面白いアイデアを選んで、最後にチームごとに発表しました。

発表では、建築資材×アーバンリサーチ×ストーリーテリング→空き家が持つ新しい付加価値を売る「家の履歴書」、オフィス家具×メディカルカメラ×集客力→体内トリップを体験・体感できる「疑似体験クリニック」、出版×自動車のUIシステム×ツアー→小説や偉人伝を追体験できる「ドライブツアー」など、普段は考えもしないようなアイデアが飛び出し、組み合わせが生み出す新しい価値の面白さを実感しました。

すべてのプログラムを終え、クロージングスピーチに立ったロフトワークの諏訪光洋は、宇宙ベンチャーのスペースXが公開した最新ムービーを紹介。同社はすでにロケットの打ち上げに5回も成功しているものの、途中で切り離したブースターの着地に失敗し続けています。

クロージングスピーチを行った代表諏訪

「スペースXのムービーは戦術であり、プロセスデザイン。挑戦を諦めない強い意志を示すための映像だ」とする諏訪は、「同社はここに至るまでに13年を費やしている。広告文脈やマーケティングでサプライズを作るのは簡単でも、ソーシャルなインパクトを作るにはある程度の長い期間が必要。その間、戦略をどうするか、プロセスをどうデザインしていくかが非常に重要になる」と強調。「我々もみなさんと一緒にプロセスからデザインしてインパクトを作り、日本での当たり前を一緒に生み出していきたい」と締めくくりました。

イベント概要

「それは、六歳の子どもに50キロのリュックを背負わせるようなものである。イノベーションのための活動をただちにゆがめてしまう」

かつてP.F.ドラッカーは、その著書『マネジメント』の中で、「イノベーションにおいては既存の事業のための尺度とは別のものを用意すべき」だと説きました。あらゆる組織活動、プロジェクト、取り組みには、目指すべき目標があり、何らかの価値を創出しようとするもの。ではその測り方は?

新しい価値を生み出そうとするとき、単純な売り上げや既存数値の上下だけではなく、新しい「ものさし」が必要なのかもしれません。わたしたちの活動は、どのような成果や価値を、どれほどの影響を社会や市場に対して与えられているのでしょうか。今年のloftwork “DAY 2015”では、未来をつくる「IMPACT」をテーマに掲げました。ロフトワークにおける最新プロジェクト/テーマを題材に、「イノベーションと成果」に向き合うカンファレンスを開催します。2015年、新しい飛躍のために、ロフトワークと一緒に考えてみませんか?

開催概要

セミナータイトル loftwork “DAY 2015” IMPACT – イノベーションが与える影響 –
開催日時 2015年1月30日(金)13:30〜(13:00受付開始)
場所

六本木アカデミーヒルズ オーディトリアム
地図

対象 ・新しい価値提供を考えているビジネスマンの方
・イノベイティブなプロジェクトに興味をお持ちの方
・事業責任者、R&D、プロダクト開発、マーケティング、ウェブ担当者など
参加費 無料
定員 130名
主催 株式会社ロフトワーク
ご注意 ・個人、同業のご参加はご遠慮いただく場合がございます。
・当日のお写真、レポートは後日弊社サイトに公開いたしますので
参加者の方は予めご容赦ください。

プログラム

13:30~13:40
Opening Speech
13:40~14:40

Technology 技術からひろがる
「共創プラットフォームへの挑戦 – OPC Hack & Make Project」
オリンパス 石井氏 × オリンパスイメージング 佐藤氏 × ロフトワーク 松井

「Human SensingとIoT – Sensing Egg Project」
オムロン 寺川氏 × ロフトワーク 森内

オリンパス株式会社
研究開発センター デジタル技術開発本部画像技術部研究1G 課長
石井 謙介氏

オリンパスイメージング株式会社
IBP推進本部 IBP推進2部開発G 開発グループリーダー
佐藤 明伸氏

オムロン株式会社
エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー アプリケーションオリエンティド事業部 事業推進部 HS企画課 課長
寺川 裕佳里氏

14:40~15:40

Local 地域からはじまる
「 地域とクリエイティブの力 – イオンモール岡山」
イオンモール 高須賀氏 × ロフトワーク 諏訪

「森づくり、ものづくり、コミュニティづくり – 飛騨 Project」
トビムシ 竹本氏

イオンモール株式会社
開発本部 建設企画統括部 ディベロッパー企画部 マネージャー 兼 岡山物件プロジェクト担当
高須賀 大索氏

株式会社トビムシ
代表取締役
竹本 吉輝氏

15:40~15:50
Break
15:50~16:50

Global 世界へつながる
「日本商材の価値を世界へ – More than Project -」
ロフトワーク 秋元

「FabCafe & Loftwork グローバル拠点とその可能性」
FabCafe Taipei / Loftwork Taipei co-founder
Tim Wong

16:50~17:00
Break
17:00~18:20
Interactive Talk & Workshop:IMPACT
18:20~18:30
Closing Speech

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