EVENT トーク

SPCS Talks vol.2|
バクテリア繊維染色と自然にデザインを委ねること
ゲスト:ジュリア・モーザー

Finished イベント終了

Date
2023-03-31 (Fri)
19:00-20:00
Place
オンライン
fee
無料

Finished

About

バクテリア(細菌)は、しばしば恐れられる存在ですが、もし私たちがバクテリアを排除しようとするのではなく、一緒に仕事ができるとしたらどうでしょう?ジュリア・モーザーは、バクテリアを使ってテキスタイル用の顔料を作る研究をしています。彼女がどのように生きた顔料で服を描き、構成しているのか、一緒に見ていきましょう。

※ 本トークは、3/28(火)~4/8(土)にFabCafe Kyotoで行われる彼女の展示イベントの関連企画です/イベントの言語は英語です。英語が苦手な方はYouTubeの自動字幕機能をご活用ください

生態系の回復と経済活動を繋ぐためのトークシリーズ

環境のバランスを保っている生物多様性。しかし、生物の絶滅スピードは1970年代から加速し、たった30年間で全生物の実に68%が絶滅。今も1日100種類以上の生物が絶滅しつづけているといいます。「自然保護」では人間の行動は変わりません。人間のエゴや気持ちよさを充足させながら、いかに生物多様性を再構築するか?そのためには、それまで当然のように操作していたことをやめる、あるいは、自然に委ねる、という思考が大切になってきそうです。

SPCSは自然の力をコントロールせず、人間以外の種(スピーシーズ)との新たなパートナーシップを探究するコミュニティ。そこで、人間の心地良さを充足させながら自然との共創関係を作ろうとしている方々や、人間からしたら「エラー」や「厄介な」自然の力に対してユニークなアプローチで取り組んでいる方々を紹介するイベントシリーズをスタートします。

毎回さまざまな領域で実践・研究している方々をお呼びしてトーク・アーカイブしていきます。また、今回のイベントのように、オフライン開催の場合は交流会も実施する予定。異領域間の出会いとコラボレーションの機会としてもご活用ください。

色を育てる:従来の繊維染料を生きたバクテリアに置き換える

予測不可能な結果をどのようにデザインに取り入れるか?

バクテリアは、病気や感染の前触れとして恐れられることが多い存在です。私たちは、バクテリアを祝福するよりも、むしろ根絶やしにしようとすることのほうが多いもの。しかし、バクテリアは私たちの身の回りのいたるところに存在し、生態系において重要な役割を担っています。

もし私たちがバクテリアを煙たがるかわりに、バクテリアと協力関係を構築できたらどうなるでしょうか。実際、私たちはすでに何百年も前から、ヨーグルトやピクルスを作るためにバクテリアを利用してきたのです。そして今、バクテリアは繊維を染めることもできることがわかりました。これは、世界で最も環境に負荷をかけている産業の1つである繊維産業に対する有望な解決策となるでしょう。

ジュリア・モーザーさんは、バクテリアで布地を染める顔料を作る研究をしています。彼女は、単に代替染料を作るのではなく、テキスタイルに直接バクテリアを繁殖させ、それぞれの作品のパターンをデザインすることを試みています。

見えないものを可視化する。明るく多彩な顔料を生み出す培養菌。

世界をよりカラフルに、そしてよりグリーンに。

彼女はプロジェクト「Growing Patterns Living Pigments」を通じて、バクテリアの顔料を使ったテキスタイルのさまざまな色、形、模様の染色の可能性を示し、その色を可視化することで私たちの環境に存在するバクテリアの存在を示しています。この省資源で環境に優しい染色方法と新技術の組み合わせは、世界を青、黄、赤などよりカラフルにするだけでなく、グリーンに(=環境に優しい)、つまり、より持続可能なものにする全く新しい可能性を見せてくれます。

環境に配慮した大量生産が求められる中、私たちはどのように自然とともにデザインし、創造していくのでしょうか。成長パターンに基づいて衣服の型抜きを決定したり、バクテリアの成長に基づいてニットをプログラミングしたりと、ジュリアさんと人間以外の生物との関係は、搾取的というより、間違いなく協力的でしょう。

彼女と一緒に、バクテリア染色や生物との共創について学びながら、ファッション業界の新しい未来を探っていきましょう。

菌によって直接染色された生地や、菌で染色された糸を、後から編み物や織物に利用する。
ジュリアさんが提案する衣料品生産の循環的な代替アプローチ。

こんな方におすすめ

  • 持続可能な新しい生産方法に関心のあるテキスタイル染めの愛好家および学生の方
  • 生物学的要素の実験や新素材の染料の探究に関心のあるテキスタイル関連メーカーの方
  • 生物学の分野で新しい解釈や使用例を探しているバイオテクノロジスト
  • カリキュラムに導入する新しい分野横断的な素材を探しているファッション/クラフト/科学の教育者の方
  • 環境問題や生態系に関心のある繊維科学研究者の方

関連展示(3/28-)

「見えないものを可視化する」
Julia Moser バクテリア繊維染色エキシビジョン

日時:2023年3月28日(火)~2023年4月8日(土) 
入場:無料
会場:FabCafe Kyoto

SPCS|自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ

マイクロバイオーム、放射線、ウィルス、バクテリア。コントロールできない自然の力は、厄介者やエラーと扱われることも多く、多くの排除や操作がおこなわれてきました。しかし、人間が操作できない生物のパワーをいかにポジティブに捉え直し、遊び、クリエイティブに生かす器をデザインできるかが、これからの活動のポイントとなってくるでしょう。

SPCS(スピーシーズ)は、プロトタイピングしながら自然のアンコントローラビリティを探究する活動体です。自身の好奇心や課題感と自然のメカニズムをリンク・身体化させ、価値観や手法をアップデートさせるべく、領域横断の実験を行っています。

活動全体のコンセプト/過去の活動は  こちら>>

Information

日時
2023年3月31日(金)19:00-20:00
参加費
無料
会場
オンライン
言語
英語
※ 字幕機能を利用される方で、ライブ配信中生成されない場合は、配信終了後のアーカイブ配信でお試しください。
主催
FabCafe Kyoto / Loftwork Kyoto
注意事項
・参加者の皆さんの写真やプログラムの内容は後日loftwork.com/FabCafe Kyotoのウェブサイトに掲載する場合があります
・本プログラムは、予告なく変更する場合があります。

Speakers

ジュリア・モーザー

テキスタイル&ファッションデザイナー/Growing Patterns Living Pigments創設者

ジュリア・モーザー

ジュリア・モーザーは、ファッションやテキスタイルのデザイン手法や生産プロセスを、より持続可能で健康的な未来に向けて再考することを自分の使命だと考えている。化学物質や有害な成分を使わずに色を作り出す方法を自然が知っているという事実を受け、「Growing Patterns Living Pigments」を設立。テキスタイルを染めるため、顔料生成バクテリアとの共創を始め、デザインプロセスにも彼らを巻き込んでいる。マテリアルイノベーションとバイオデザインに焦点を当て、新しいテクノロジーを使うことでデザインやデザインプロセスの考え方を変える方法を模索している。先住民族であるコギ族の「テクノロジーを使って仕事をするのは当然だが、そうするならば、自然に逆らわず、自然と共に働くテクノロジーを使いなさい」という言葉を常に心に留めている。リンツ芸術デザイン大学でテキスタイル・アート・デザインとファッション・テクノロジーの2つの修士号を取得。現在はCrafting Futures Labで大学アシスタントとして勤務しながら博士号を取得、学生を指導している。デザイン実践のためのコアバリューを見つけ、素材との接続方法をデザインすることで、芸術と科学、伝統と新しい技術の間に橋をかけ、自然とのつながりを取り戻し、次の世代のための未来を創造している。

詳細を見る ジュリア・モーザーは、ファッションやテキスタイルのデザイン手法や生産プロセスを、より持続可能で健康的な未来に向けて再考することを自分の使命だと考えている。化学物質や有害な成分を使わずに色を作り出す方法を自然が知っているという事実を受け、「Growing Patterns Living Pigments」を設立。テキスタイルを染めるため、顔料生成バクテリアとの共創を始め、デザインプロセスにも彼らを巻き込んでいる。マテリアルイノベーションとバイオデザインに焦点を当て、新しいテクノロジーを使うことでデザインやデザインプロセスの考え方を変える方法を模索している。先住民族であるコギ族の「テクノロジーを使って仕事をするのは当然だが、そうするならば、自然に逆らわず、自然と共に働くテクノロジーを使いなさい」という言葉を常に心に留めている。リンツ芸術デザイン大学でテキスタイル・アート・デザインとファッション・テクノロジーの2つの修士号を取得。現在はCrafting Futures Labで大学アシスタントとして勤務しながら博士号を取得、学生を指導している。デザイン実践のためのコアバリューを見つけ、素材との接続方法をデザインすることで、芸術と科学、伝統と新しい技術の間に橋をかけ、自然とのつながりを取り戻し、次の世代のための未来を創造している。
サラ・ホー

loftwork, マーケティング/ SPCS

サラ・ホー

2016年シンガポール国立大学を卒業 (Communications and New Media 学士)し、シンガポールのエドテックのメーカースペースTinkertanker Pte Ltdにて、STEAMプログラムやキットを開発。2020年、東京の文化ファッション大学院大学に入学、ゼロウェイストパターンを研究した。教育と人をつなげることに熱意を持ち、2022年12月ロフトワーク京都入社。そのほか、ゼロウェイストシステムや、ものづくり、文化交流のための新しい媒体に興味を持つ。

詳細を見る 2016年シンガポール国立大学を卒業 (Communications and New Media 学士)し、シンガポールのエドテックのメーカースペースTinkertanker Pte Ltdにて、STEAMプログラムやキットを開発。2020年、東京の文化ファッション大学院大学に入学、ゼロウェイストパターンを研究した。教育と人をつなげることに熱意を持ち、2022年12月ロフトワーク京都入社。そのほか、ゼロウェイストシステムや、ものづくり、文化交流のための新しい媒体に興味を持つ。
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