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結合合宿【Earth Combinatoria Project】

Finished イベント終了

異種間結合テクノロジー「接木」のメディア的可能性を探る

結合合宿とは、幹を断ち、枝を接ぎ、二つの異なる植物が一つの生命体へと向かう切断と調停のダイナミズムに触発される真夏の二日間です。私たち動物の常識が通用しない、植物の超生命体的ふるまいを垣間見つつ、紀元前から二千年以上も利用されてきた植物の異種間結合術である “接木”を専門家とともに体感します。メタファーとしての接木の観念的強化を試みる、農芸と美学のワークショップです。

Date
2023-08-11 (Fri) -
2023-08-12 (Sat)
Time
13:00 – 18:00 二日間の合宿形式
Place
FabCafe Tokyo MAP
Capacity
20
fee
¥4,500 [学割] ¥3,500

Finished

異種間結合テクノロジー「接木」のメディア的可能性を探る

結合合宿とは、幹を断ち、枝を接ぎ、二つの異なる植物が一つの生命体へと向かう切断と調停のダイナミズムに触発される真夏の二日間です。私たち動物の常識が通用しない、植物の超生命体的ふるまいを垣間見つつ、紀元前から二千年以上も利用されてきた植物の異種間結合術である “接木”を専門家とともに体感します。メタファーとしての接木の観念的強化を試みる、農芸と美学のワークショップです。

About

「接木」からはじまる、農芸と美学のワークショップ

植物科学、そして園芸技術の進歩は、食糧やエネルギー、環境のみならず経済や思想、表現まで、人間社会に大きな影響を与えてきました。その中でも特に「接木」は紀元前から二千年以上も利用されており、りんごやレモンのような果物がいつでも食卓に並ぶという今日のあたりまえを支える上で欠かせない農芸技術です。加えて、接木とはいわば植物の異種間結合術ともいえるテクノロジーであり、どこか畏敬の念すら感じさせる、不思議な魅力を備えています。また、接木研究は近年著しく発展し、Science誌の掲載されたある論文[1]は、これまでの接木の常識を塗り替えました。その発展たるやほぼあらゆる植物種を組み合わせて一つの生命体として成立させられるのではないか、という可能性すら垣間見せます。

今回は「結合合宿」と題して、「接木」のメディアとしての可能性をより強度の高い観念へと高めることを目指す実践的なワークショップを開催します。プログラムは、専門家によるレクチャーと、オリジナル接木レシピ(植物結合アイデア)の考案、接木のハンズオン、そして接木体験を着想元とするエッセイ執筆からなります。接木の知識や経験は必要ありません。今日的課題を取り扱い、同時代のメディアを活用し表現する方であれば、どなたでも歓迎です。

[1] Michitaka Notaguchi et al. ,Cell-cell adhesion in plant grafting is facilitated by β-1,4-glucanases.Science369,698-702(2020).DOI:10.1126/science.abc3710

「Earth Combinatoria Project」について

私たちが主催する「Earth Combinatoria Project」は、あらゆる植物種の順列組み合わせを実現し成立させるという”接木”の可能性を、農芸科学技術のみならず、メタファーやアート、表現手段としても拡張する活動です。Earth Combinatoriaという題は ”Ars Combinatoria”(結合術) をもじったものであり、記号の順列組み合わせによりあらゆる知へと到達を試みる結合術のように、植物の無数の組み合わせを通じて可能世界としての「地球」を接木を通じて探求する、というコンセプトを表現したものです。

私たちは、接木の表現媒体としての可能性、つまり接木のメディアとしての可能性を探求すべく、リサーチや制作を実施してきました。特にリサーチでは最前線の接木研究に接しながら、その成果を作品に還元する試みを続けています。

今回の「結合合宿」の狙いは、接木の実践とその多様な側面(農芸技術として、先端科学として、メタファー・表現手段として)を一種の「結合術(=異なるアイディアをつなげるワザ)」として用いてその多義性を発見することです。さらに、合宿のプロセスを冊子化して言語化・公表していきます。かくして、メディアとしての「接木」の文脈が踏み固められ、その上にさらに豊穣な美学が育まれていくことを期待します。

こんな方におすすめ

  1. 超生命体としての植物に感化されたいヒト
  2. 接木の実践を通じた学際的な対話から着想を得たいアーティスト・編集者
  3. “美しさ”について実践的、主体的に考える経験を求めるよき生活者

レクチャラー

野田口 理孝

京都大学大学院, 理学研究科教授

野田口 理孝

1980 年生まれ。2009 年京都大学大学院修了。理学博士。同年から12 年までカリフォルニア大学デービス校で研究員(日本学術振興会海外特別研究員)。12 年からは,名古屋大学大学院理学研究科特任助教(JST さきがけ研究員),生命農学研究科助教(文科省卓越研究員),生物機能開発利用研究センター准教授を経て,23 年から京都大学大学院理学研究科教授。専門分野は植物の全身性情報伝達,接ぎ木のメカニズム。これまでに,日本学士院学術奨励賞,ナイスステップな研究者(NISTEP 選定),日本植物生理学会奨励賞などを受賞。

詳細を見る 1980 年生まれ。2009 年京都大学大学院修了。理学博士。同年から12 年までカリフォルニア大学デービス校で研究員(日本学術振興会海外特別研究員)。12 年からは,名古屋大学大学院理学研究科特任助教(JST さきがけ研究員),生命農学研究科助教(文科省卓越研究員),生物機能開発利用研究センター准教授を経て,23 年から京都大学大学院理学研究科教授。専門分野は植物の全身性情報伝達,接ぎ木のメカニズム。これまでに,日本学士院学術奨励賞,ナイスステップな研究者(NISTEP 選定),日本植物生理学会奨励賞などを受賞。

滝戸 ドリタ

アーティスト/デザイナー/ディレクター/

滝戸 ドリタ

ファインアートとデザイン、ゲームや映像など多方面での経験から、異なる機能や感覚を組み合わせることによって、いままでの感覚がずれるような新たな体験を作り上げる。また作品の発想は突飛であっても、テクノロジーと洗練されたデザインを並走させながら、多くの人が入っていける思考の入口を作る。

主な受賞に、虫の足音を音と振動で体感させる「Bug’s Beat」にて「PRIX ARS ELECTRONICA & STARTS Prize 2017」DIGITAL MUSICS & SOUND ART部門 Honorary Mentions(2017年)受賞、形を持たない流動系の楽器「スライムシンセサイザー」では「第18回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門新人賞(2014年)受賞。2016年度、2019年度メディア芸術クリエイター育成支援事業2度に渡り採択 。2019年 生物学とソフトロボティクスを学ぶ「SOFT ROBOTICS Collective 生命と機械の学校」を主宰。2022年CULTURE GATE to JAPAN「+A+」のプロジェクトによる江戸前鰻の幼生レプトセファルスのロボットと人が泳ぐ「冬の虹蜺 The Sigh of Eels」を東京国際クルーズターミナル3階大型LEDビジョンにて上映。現在、東京大学大学院にて表現と研究の間を模索している。

https://dorita.jp/category/cv/

詳細を見る ファインアートとデザイン、ゲームや映像など多方面での経験から、異なる機能や感覚を組み合わせることによって、いままでの感覚がずれるような新たな体験を作り上げる。また作品の発想は突飛であっても、テクノロジーと洗練されたデザインを並走させながら、多くの人が入っていける思考の入口を作る。

主な受賞に、虫の足音を音と振動で体感させる「Bug’s Beat」にて「PRIX ARS ELECTRONICA & STARTS Prize 2017」DIGITAL MUSICS & SOUND ART部門 Honorary Mentions(2017年)受賞、形を持たない流動系の楽器「スライムシンセサイザー」では「第18回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門新人賞(2014年)受賞。2016年度、2019年度メディア芸術クリエイター育成支援事業2度に渡り採択 。2019年 生物学とソフトロボティクスを学ぶ「SOFT ROBOTICS Collective 生命と機械の学校」を主宰。2022年CULTURE GATE to JAPAN「+A+」のプロジェクトによる江戸前鰻の幼生レプトセファルスのロボットと人が泳ぐ「冬の虹蜺 The Sigh of Eels」を東京国際クルーズターミナル3階大型LEDビジョンにて上映。現在、東京大学大学院にて表現と研究の間を模索している。

https://dorita.jp/category/cv/

合宿の流れ

①接木のレクチャー&ディスカッション

タバコを中間材にして接ぐことで、これまでは実現が難しかった異科接木が可能になりました。単なる農学的目的を超えて、どんな植物と植物を接ぐと面白いかを探っていきましょう。レクチャーでは、京都大学野田口理孝教授から、植物と園芸のいろは、接木研究の最前線を学びます。またメディア・アーティストの滝戸ドリタさんから、植物を題材としたメディア・アートについて話題提供いただきます。その後、フラットな対話を通じて、各人がオリジナルの接木のレシピを検討します。

②苗木の調達遠足

議論したアイデアを接木するために、専門家と園芸用品店に行ってみましょう。さまざまな植生、形態の植物の中から、お気に入りの台木と苗木を調達します。植物を組み合わせて”結合”することによって何を表現できるでしょう?例えば見た目の美しさを追求するもよいでしょうし、何かテーマを設けてそれを体現するもよいでしょう。レクチャラーからの接木のミレニアム問題にチャレンジしてみませんか?接木の表現としての可能性を広げるのは、みなさんの発想次第です。

③接木のハンズオン

ハンズオンで接木を実際にやってみましょう。道具はカッターと固定用テープだけ。生き生きとした接木をするためのコツと工夫をレクチャーします。鉢・プランターもこの時につくります。もちろん、接木はすぐに結果のわかるものではありませんので、持ち帰っていただいたあとの、育て方やメンテナンスの仕方もレクチャーします。

④エッセイ執筆:メディアとしての「接木」考察

レクチャーで学んだこと、園芸店に足を運び接木をしてみて感じたこと、頭で考えたことを”接木的に結合して”テキストで表現しましょう。接木のメディア的側面を議論し、シェアすることで、単なる農芸技術の超えた、接木の観念的強化を図ります。(これらのテキストは、後日冊子にまとめてみなさんにお配りいたします。)

タイムテーブル

  • Day.01【接木を知る+手に入れる】

    8月11日

  • Day.02【接ぐ+エッセイ執筆】

    8月12日

13:00 – 13:40
イントロダクション・自己紹介
13:40 – 14:10
レクチャー「園芸と接木」(野田口理孝)
14:10 – 14:40
レクチャー「植物と表現」(滝戸ドリタ)
14:40 – 15:30
接木レシピのディスカッション
15:30 – 17:50
専門家と園芸用品展へ、苗の調達遠足
17:50 – 18:00
クロージング・明日の準備
18:00 – 20:00
懇親会(任意)
13:00 – 13:10
イントロダクション
13:10 – 13:40
接木レシピの整理
13:40 – 14:10
接木のテクニカルレクチャー(野田口理孝)
14:10 – 16:10
接木の実践(ハンズオン)
16:10 – 17:10
シェア・ディスカッション
17:10 – 18:00
エッセイ執筆・クロージング

申し込みにあたって

結合合宿参加チケット(Day.01+02) 

▶︎¥4,500(税抜)/1名
▶️[学割] ¥3,500(税抜)/1名

チケット代は、以下の品目のためにあてられます。
1. 専門家によるレクチャー聴講費
2. 接木のためのツール・マテリアル
3. ワンドリンクチケット×2枚

※申し込みには、原則Day. 01、Day. 02両日への参加が必須です。
※土をいじりますので、汚れてもかまわない服装でお越し下さい。
※苗木・台木の購入は、園芸用品店にて自己負担で購入いただきます。
※年齢制限はありませんが、刃物を用いた細かい作業を伴います。小学校高学年以上(または保護者同伴)を目安としてください。

お申し込みの詳細は、下のボタンから🪴

結合合宿運営委員会【Earth Combinatoria Project】

切江 志龍

Earth Combinatoria Project切江 志龍(植物学者、美術作家)

専門分野は生物測定学(形態測定、理論形態学、植物フェノミクス)。園芸植物の「美しい」とされる性質が、人間との関わりの中でどのように生み出されるかに関心を持っている。また生物にまつわる文化誌や、さまざまな社会における植物の利用にも興味があり、美術作品の制作も手掛ける。博士(農学)。metaPhorest メンバ。バイオ系企業の会社員。

石田 翔太

Earth Combinatoria Project石田 翔太(画家)

滋賀県出身。京都市立芸術大学美術研究科絵画専攻修了。日本画の芸術資源を国際的な論点へ位置付けるために、国内外の学術研究者との学際を推し進める。近年は、日本画を人新世の議論と関係させて脱有史化し、文化や素材における非人為的観点の基盤創出に取り組む。いわゆる「伝統」を前向きな概念にすることが目標。昔と比べトマトが美味しくなったのは接木の進歩だと知り、感謝している。

丸田 大貴

Earth Combinatoria Project丸田 大貴(経営コンサルタント)

「枠に当てはめない柔軟性・自由な思考力」の素養を理解するため、マネジメント担当としてアートプロジェクトへ参画。発想を飛ばすことで、蓄積した思考×知識×技術が作品に昇華するプロセスを観察中(このプロセスをうまく言語化することが直近の目標)。長崎大学薬創薬科学科修了。本業で企業の新規事業創出を推進。副業で地域の活性化プロジェクトを支援。趣味で小さな社会人劇団の座長を担当。

細谷 祥央

Earth Combinatoria Project細谷 祥央(サイエンス・パブリシスト / クリエイティブディレクター)

北海道大学理学院自然史科学専攻 修士課程修了。専門分野は食肉目の分子系統地理学。自然科学の学術研究をそこなったり、おとしめたりすることなく、学術的概念や研究成果、複雑なデータや難解なメッセージをこねこねして、人間的な興味やストーリーを見出し、だれもが活力みなぎる明日のヘッドラインを考えて生きている。怪獣が好き。映画館のない街で、特撮怪獣映画祭のディレクターをしている。

土田 直矢

株式会社ロフトワーク土田 直矢(テクニカルグループ テクニカルディレクター)

大学卒業後、組み込みソフトウェアエンジニアとして次世代車載システムのスマートフォン連携機能、車載ソフトウェアプラットフォームの製品開発に従事。ロフトワークでは、技術的知見を用いたサービス・プロダクトの開発支援プロジェクトを担当し、様々なプロトタイプを制作。プロジェクトマネジメントだけではなく、自分で手を動かしながらアイデアを形にしていくことを大切にしている。社外活動としてCalm Technologyの思想を土台としたプロダクト開発チームを運営。「まずは試してみる」をモットーに日々ものづくりの楽しさを探求している。

Profile

「結合合宿」実施体制

主催・企画責任

共催・運営責任

ACCESS

FabCafe Tokyo

学割あり。夏の研究に!

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