EVENT ミートアップ

「喫茶シランケド ディレクション編」:
ディレクターたちの、組織を超えた語らいと学びの3夜

「喫茶シランケド ディレクション編」は、主に関西の制作系企業で活躍する、ディレクションを担当されている方々をゲストにお招きし、「ディレクション」をテーマに語り合う平日夜のトークイベント。

ロフトワークに加えて、毎回異なる2社との共催での開催。共催企業のオフィスを会場としてお借りし、ゲストも参加者も一緒に、自分の思う「ディレクションとは何か」という問いに対し、関西人がよく使う魔法の言葉「知らんけど」を武器にして、ざっくばらんに語り合いました。

今回は、これまで開催した全3回の様子をダイジェストでレポートします!

企画・編集:三輪彩紀子・山﨑萌果(ロフトワーク クリエイティブディレクター)

なぜ、ディレクションについて語り合う場をつくったのか

皆さんは、「ディレクター」とは、どのような仕事をする役割だと思い浮かべますか?
一言で言えば、プロジェクトの設計・推進を行い、チームをまとめながら制作物を完成させる役割。しかし、同じディレクターでも、得意分野やアプローチは人それぞれで、会社が異なれば役割や立ち位置も微妙に変わってきます。

今回のイベントを企画したのは、ディレクター歴2年目の三輪と山﨑です。私たちはロフトワークのクリエイティブディレクターとして働く中で、この職種が担う業務範囲の広さや必要とされるスキルセットの多さに圧倒されてきました。また、社内の多彩な先輩方が示す多様なディレクター像を前に、『自分自身のスキルパスは、自分自身で模索していかなければならない』という意識を強く持つようになりました。

他社のディレクターが、日々の業務においてどういった判断や工夫をしているのかを知ることは、自分たちのディレクション観を見つめ直す手がかりになるはず。また、関西エリアでディレクター同士が交流する場を設けることで、業界全体で横のつながりを作りながら、ディレクションについて共に学び合えるのではないか。そんな思いから、「喫茶シランケド ディレクション編」を企画することになりました。

写真:イベント時に掲示しているイベントポスター。喫茶シランケドというタイトルと、日時、場所、ゲストが書かれている。
Photo by spicato

多種多様なディレクター像が紐解かれる、ゲストトーク

これまでに全3回実施した本イベントシリーズでは、制作会社に勤めるディレクターやエンジニア、フリーランスのディレクターなど、多様な立場でディレクションに関わる方々を各回3名ずつゲストとしてお招きしました。

参加者層も多岐にわたり、デザインを学ぶ学生さん、現在は異なる職種ながらディレクター職に興味を持つ方、発注側としてデザイナーやディレクターと関わる企業の方など、20代から40代までの方々が各回30名程度参加してくれました。

写真:「喫茶シランケド」の趣旨説明スライド。関西人の「知らんけど」をキーワードに、立場を超えてディレクションを語り合う場を紹介。

各回の冒頭では、参加者同士の自己紹介タイムを設けました。近くに座った方々と軽く言葉を交わすことで、この場にどんな人がいるのかを知ることができ、一人で参加された方も少し緊張が解けて、リラックスしてイベントに参加してもらうことができました。

「今日はどういうつもりでこのイベントに来られましたか?」というシランケドでは恒例の質問に、数名の方にお答えいただいた後、ゲストトークに移ります。

写真:イベント会場で参加者たちが自由に会話を楽しむ様子。リラックスした雰囲気の中でネットワーキングが行われている。

ゲストトークの前半では、3名のゲストに自己紹介プレゼンを行っていただきました。​各ゲストが自身の経歴、関わっているプロジェクト事例、そして各企業で求められるディレクターの役割などを紹介する時間。​三者三様な自己紹介タイムでは、「そんな業務まで担当するんですね!」「こんな案件も手がけているんですね!」といった発見が、参加者だけでなく、ゲスト同士の間にも生まれていきました。

写真:登壇者がプロジェクトの進行フローについてと、担当範囲が提案フェーズを含むことを説明している様子。

後半のクロストークでは、ファシリテーターの進行のもと、ゲストそれぞれのお話を深掘りしていきます。​事前に用意したトークテーマに沿って進行しつつ、当日の参加者から寄せられる質問にも応じながら、ゲストそれぞれの考える「ディレクション」の本質に迫っていきました。

写真:トークセッション中にマイクを持ち、にこやかに話す登壇者3名の様子。カジュアルな対話の雰囲気が伝わる一幕。
Photo by spicato

各回の最後には、テーマに対するゲストの回答をフリップに記入してもらい、発表をもってトークタイムを締めくくりました。​ゲストがフリップを記入している間、参加者の皆さんにも同じテーマで自身の考えを投稿してもらい、会場全体で意見をシェアする時間となりました。​

写真:「ディレクションとは?」という問いに対して、フリップに手書きで思いを綴る登壇者の手元。

トークイベント終了後は、待ちに待った交流会タイム! ​お酒や軽食を楽しみながら、ゲストと話したり、参加者同士での交流を深める時間となりました。​この場での出会いが、その後のイベント企画や別の仕事での協働、さらには採用活動へとつながったりと、多くのご縁を生む機会にもなりました。

写真:フードが並ぶビュッフェスタイルの交流タイム。参加者が食事を手に取りながら談笑するリラックスした雰囲気。

ディレクションにスキルセットからキャリア論まで。多様な視点で盛り上がった毎回のトーク

これまでに開催した、全3回の様子をダイジェストでご紹介します。

vol.01 〜仕事帰りに「webディレクション」を語る夜 〜
大阪の扇町にある株式会社TAMさんのオフィスにて開催した第1回目は、webのディレクションを得意とするディレクター3名にご登壇いただきました。クライアントやクリエイターとのコミュニケーションにおいて意識していること、ディレクターとして求められる振る舞いやスキル、Webプロジェクトとその他のプロジェクトの違いなどについて語り合いました。

写真:「これがわたしのディレクション」と題されたクロストークを終え、登壇者3名が真剣にフリップを記入する姿。
フリップを真剣に記入するゲストの3名
スクリーンショット:「自分なりのディレクションとは?」という問いに対する参加者の回答一覧。「点を、線につなぐこと」「届けたい相手に伝わること」「みんなの幸せをつくるサービス」など、さまざまな定義が集められている。
参加者からもそれぞれの意見が集まります

vol.02 〜一歩先のたのしい仕事どうつくる? 〜
大阪の京町堀にある株式会社ZIZOさんのオフィスにて開催した第2回目。それぞれの持ち場で「プロジェクトを作る」活動を行っているディレクター3名が集まりました。
話題に上がったのは、ディレクターとプランナーを兼業し行うプロデュースの面白さ、社内外で自主的に企画を世に提案する際のインスピレーションなど。会社員ディレクターとして働くその先で描く野望についても、話が広がりました。

写真:開催されたセッション風景。クロストーク形式で、登壇者たちが「クリエイティブジャンプ」をテーマに語っている様子。
クロストークの様子  
スクリーンショット:「喫茶シランケド」イベント中に寄せられた質問一覧画面。仕事の選び方、キャリアの選択、AIとクリエイティブ職の未来、プレゼンへの感謝など、多様な視点からのコメントが並ぶ。
参加者からも多くの質問が寄せられます

vol.03 〜自分なりのディレクションスタイルの築き方 〜
大阪の心斎橋にあるトゥモローゲート株式会社さんのオフィスにて開催した第3回目。この回では、ディレクターやエンジニアといった異なる肩書きを持つ3名のゲストをお招きし、それぞれのキャリアの変遷を辿りながら、キャリアチェンジのタイミングで考えていたこと、スキルアップのために意識して取り組んできたこと、ディレクションにおけるこだわり
などについてお話ししました。

写真:開催されたセッション風景。クロストーク形式で、登壇者たちがスキルアップや影響を受けた人について語っている。
ラジオの公開収録のようなレイアウトで実施したvol.03
スクリーンショット:喫茶シランケド」内で集められた、「ディレクションとは?」という問いへの参加者の声を表示した画面。「お客さんを理解すること」「自分とみんなのしたいを叶える希望」「ともにあそぶ・ワクワクすること」「みんなの幸せを作る仕事」などの回答が並ぶ。
参加者にも自分なりのディレクションスタイルを考えてもらいました

イベントシリーズから見えてきた、ディレクションを語り合う場の意義

企画者であり、「ディレクター」という仕事に向き合う私たちの視点から、このイベントシリーズの意義とはどのようなものなのか? 改めて振り返ってみると、以下のポイントが見えてきました。

1.  “正解がひとつではない仕事”をめぐる、それぞれの実感を持ち寄る場

ディレクターという職種は、明確なスキルセットや資格で規定されるものではありません。
そのぶん不安定で、個人の感性や哲学に依る部分が大きい仕事でもあります。
このイベントは、「私のやり方はこう」「あなたのやり方はそれでもいい」という“実感の交換”を通じて、参加者に「正解がなくても、やっていける」という希望をもたらしていたかもしれません。

2. 会社の垣根をこえて、キャリアのヒントを分かち合える場

毎回異なる企業と共に開催してきたこのイベントは、業界内に“ゆるやかな横のつながり”をつくることを目指していました。
ふたを開けてみると、ただ名刺を交換するだけの場ではなく、肩書きや立場を超えて、キャリアのヒントを分かち合える場所になったのではないかと思います。
これから形が変わったとしても、お互いの経験から学び合ったり、そっと背中を押し合えるような関係が続けば嬉しいです。

写真:イベント中に笑顔で進行する企画者のロフトワーク山﨑と三輪の様子。和やかな空気の中で、ディレクションについての話題を展開している。
Photo by spicato

今回のイベントシリーズを通して、多様なディレクターの方々からお話しを聞くことができました。
自分の視点やコミュニケーションの特徴、こだわりや好みのテイストなど全て含めて、自分らしいディレクション方法をプロジェクトの中で表現できることが、この仕事のおもしろさなんだなと感じました。誰かの型に無理に合わせなくても、自分らしさを軸にディレクションに向き合っていいのだと、少し肩の力が抜けた気がします。

ーロフトワーク クリエイティブディレクター 山﨑萌果

今回のイベントで様々な話が繰り広げられる中で特に印象に残ったのは、参加者の質問にあった「あなたのエゴは何?」という問いかけでした。譲れないことがあるからこそ、他者の「エゴ」とぶつかったときに、新しい道筋が生まれるのかも…。
多様なステークホルダーの真ん中でプロジェクトを実行するディレクター。自分の未熟さを自覚しつつも、まずは自分のエゴを信じ、育てていくことから始めようと思います。

ーロフトワーク クリエイティブディレクター 三輪彩紀子

Special Thanks

  • vol.1 〜仕事帰りに「webディレクション」を語る夜 〜
    • 株式会社TAM EC戦略/構築チーム, ディレクター 前川 大地さん
    • 株式会社スピッカート, ディレクター 前川 ひろみさん
    • 株式会社ロフトワーク, クリエイティブディレクター 笹島 啓久
  • vol.2 〜一歩先のたのしい仕事どうつくる? 〜
    • 株式会社ZIZO, ディレクター 塚田 隼人さん
    • 株式会社AID-DCC, ディレクター/プランナー 高田 柊泉さん
    • 株式会社ロフトワーク, クリエイティブディレクター 村田 菜生
  • vol.3  〜自分なりのディレクションスタイルの築き方 〜
    • トゥモローゲート株式会社, 意匠制作部 フロントエンドエンジニア 天野賢太郎さん
    • 文脈編集室, クリエイティブディレクター 佐藤瞳さん
    • 株式会社ロフトワーク, クリエイティブディレクター 村上 航

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