ロフトワークより新年のご挨拶
ロフトワークより新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。本年もロフトワークをよろしくお願いします。
マネジメントメンバーより、それぞれ2017年のご挨拶と抱負をお届けします。
諏訪光洋より
ロフトワークが生まれた2000年、つまり17年前。
当時ライコス社(懐かしい名前だ)の主任科学者だったマイケル・ウィットブロック博士はキーボードとケーブルの消滅を予想した。ケーブルは随分減った(Apple…減らしすぎだよ……音楽を聴くのが不便だよ)。でも、この原稿はキーボードで書いている。
A:エンジニアリング、テクノロジー、そしてサイエンス。この3つの言葉を“A”とする。
エンジニアリングは人の熟し。成熟もすれば過信も起こる。過信をすれば事故が起こる。
テクノロジーは人が積み上げて来た知見。社会がテクノロジーに偏重するとカウンターアクションとしての自然主義が力を持ち、人々に背を向かれてしまう。
サイエンスは、自然を解くための法則であり言葉だ。科学者はより遠くの自然に探検しに出かけている。既に多くの科学者の背中は、僕らの日常から遠くリアリティの弱いものになってしまった。
でもこの“A”は、ずっと我々にとって大切な“前に進む力”であったしこれからもそうあり続ける。そこに異論がある人は、よほどの宗教家やヒッピーくらいだろう。(そう君はヒッピーだ!いい意味でね)
B:デザイン、クリエイティブ、そしてアート。この3つの言葉を“B”としよう。
“B”は“A”と対比されるものだ。創造性の近くにあるこの3つの言葉は、“A”と同じく古来僕らと共にある。産業革命以来この160年、花形で価値や利益を生み出す力として重視されて来た“A”。一方でこの10年、“B”が急激に社会の中で前に進むイノベーションのために重要な力になって来ている。そしてやはり似た問題をもつ。
デザインを過信すれば人の傲慢さを生み結びつけるべきコミュニケーションやテクノロジーを忘れてしまう。成果は生まれない。
クリエイティブに偏重すると具体的なアクションは生まれづらくなる。新しく見えるアイデアの多くは、すでに歩んだ道だ。テクノロジーと違い「積み上がってきていない」クリエイティブの難しさもある。
アーティストは課題をみつける嗅覚をもつ。でも彼らが提示する解決策もまたアーティスティックであり、例えばその解決策は時間軸をもたないこともある。彼らの背中もまた、科学者のように僕らの日々から遠くなってしまっている。
エンジニア、より広いテクノロジスト、そしてサイエンティスト。デザイナー、より広いクリエイター、そしてアーティスト。
気がつけば、僕たちはプロジェクトにおいて多様な人々と集まっている。多様な能力で課題に向き合う必要が出て来ている。最近ではダンサーやミュージシャンとリサーチを行い、あるいはメンバーはアフリカで日本のプロジェクトに対峙することもあった。
アーティストのアイデアをエンジニアが形にした茨城県北芸術祭やYouFab Global Creative Awardの作品。渋谷の拠点にはバイオラボが生まれ、大学の研究室との同居も始まる。
“シンギュラリティ”がいつ起こるのか、という話がある。でも本当はシンギュラリティはいつも小さく起こっている。毎年「今年はキてるね」って思うけど、これはこれからも繰り返されるだろう。
2016年も色々仕込んだけど、ちょっと潜伏しすぎた。今年2017年はもうちょっと表で頑張ろう。新しい人や知識と会おう、と思う。
今年もよろしくお願いします。
代表取締役社長 諏訪光洋
林千晶より
メタモルフォーゼ、いざ変身
「最近のロフトワークの変態ぶりは凄いね」。
2016年末に開催されたロフトワークの株主総会。活動実績を報告したところ、株主のひとりである北野宏明さんがそう言った。「変態ですか!?」と慌てる私たちに、「変態といってもいくつかの意味があるけれど、僕が言いたいのはメタモルフォーゼ。変身や進化のほうね」と笑いながら付け足した。
なるほど、ロフトワークは「変態」するタイミングなのか。確かに、やっとビジネスが何かがわかってきた感覚はある。次フェーズに入った実感らしきものも。でも、だとしたら私たちは一体、何から何へ変わろうとしているのだろう。
2000年に起業して、丸16年。今までの活動を振り返ると、その中心はいつも「クリエイターのネットワーク」にあった。クリエイターポータルの「loftwork.com」しかり、デジタルものづくりカフェ「FabCafe」しかり。世界をフィールドに、クリエイティブな仲間と繋がり、共に創造性を広げる実験を重ねてきた。
そして今、FabCafeは才能溢れるクリエイティブリーダーたちが経営する、世界でも稀有なものづくりネットワークに成長した。地域の資産を再発見して活性化する取り組みも、石垣島や越後妻有でのプロジェクトなどをきっかけに、経済産業省と連携しながら50社以上の支援が実現している。
こうして見ると、目指すものがネットワークをつくることから、そこに生まれる価値やインパクトに移っている。私たちの「変態」は、サナギとしてのクリエイター・ネットワークから、価値創造のプロフェッショナルへと脱皮することなのかもしれない。16年もかかる変身なんて、時間がかかり過ぎのような気もする。でも一気に蝶になる幼虫もいれば、ゆっくりと変貌を遂げるものもいるだろう。そんな多様な生き方があるのが、この世界の寛容性であり、豊かさでもあるはずだ。
今まで以上に、見える世界が広がってきた。新しい羽を広げて飛び立つ日も近い、そんな予感でワクワクしている。
代表取締役 林千晶
矢橋友宏より
2016年・仕事納めのFabCafeにて、年の瀬の割には暖かい日差しを受けながら、いま約1年前の年始挨拶を読み返しています。
「始まったパラダイム転換に向き合う」。
実際のところは、BREXITや米大統領選挙など、正月には予想もしなかった様々なグローバル規模の転換の萌芽が見えた一方で、日本では2020東京五輪に向けてか各地で新たなコミュニティがうまれ、新たな街づくりやサービス開発がスタート。
大企業も、オープンで自由な対話がうまれやすい「場」をつくり始めた。
メーカー、金融機関、大学、自治体、省庁……
あらゆる組織が、動き出した転換にどう向き合うか?を具体的に模索し始めた2016年。
ロフトワークも、それらの活動に寄り添い続けた1年だった。
「人生100年時代」という言葉が世で交わされている足元で、
ロフトワークには突然降りかかった大病から見事に復帰したメンバーがいた。
大学の同級生の死にも直面した。
改めて、広い視野、高い視座、長いスパンで、世の動きを捉えつつも、
いま出来ること、やるべきことを見定めて、
貴重な時間を使いたいと思う。
プロジェクトをご一緒するみなさん。
今年のロフトワークは、言われたことはやりません。
すべきこと、変えるべきこと、進むべきことを、
自分ごととして捉え取り組みます。
ロフトワークに出会えてよかった、
ロフトワークとやれてよかった、
という言葉がどこからか聞こえてくるようなプロジェクトを生み出し続けられるよう、メンバーと精進します。
今年もよろしくお願いします。
取締役 兼 CMO 矢橋友宏
番外編・書き初め大会
ロフトワークでは、年初めの全体ミーティングで書き初めを行います。
渋谷、京都で、今日入社したメンバーも含めて新年の抱負を思う存分したためました!
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