ファッション/カルチャー/アート分野のXRコンテンツを募ったグローバルアワード、15ヶ国152作品から選ばれた受賞作品を発表

株式会社ロフトワーク、株式会社Psychic VR Lab(東京都新宿区)、株式会社パルコ(本部:東京都渋谷区)による共同プロジェクト「NEWVIEW(ニュービュー)」は、XRコンテンツアワード「NEWVIEW AWARDS 2021」の受賞作品を発表しました。

2018年に第1弾をスタート。誰もが3次元空間の表現を手にする近未来を見据え、XRの新たな表現と体験の世界を牽引し得る次世代クリエイターを発掘し、次なるステップへと進むきっかけをもたらすべく立ち上げた本アワード。第4弾となる今回はテーマに「ポストリアリティとノーノーマル」を掲げ、2021年8月10日から11月1日までの期間、世界中から作品を公募をしました。

15ヶ国から合計152作品(AR:43作品、VR:97作品、MR/XR:12作品)の応募があり、宇川直宏氏(審査員長)、磯光雄氏、バーチャルヒューマンのimma氏、デイヴィッド・オライリー氏、ゾーイ・ブローチ氏(英国)、ルー・ヤン氏(中国)、バブー・リャオ氏(台湾)、ティナ・ソーアランダー氏(ドイツ)、ヤコブ・クドスク・スティーンセン氏の9名の審査員による最終審査会を経て、グランプリをはじめとする各種受賞作が決定しました。

NEWVIEW AWARDS Webサイト

受賞作品

※受賞作の発表および授賞式は1月29日にライブ配信を行いました。

アーカイブ動画は下記URLより視聴可能です。

リアリティのありかを問う作品がGoldとSilverを受賞

グランプリに相当するGold Prizeは、古代遊牧民の宗教信仰を再解釈した世界を創造したVR作品「Neo Tengri」が受賞。準グランプリに値するSilver Prizeには、建築物のファサードが蓄光化し街頭やソーラーパネルが無用の長物化した2045年の都市体験をデザインしたVR作品「Phosphorescent City」、狭い空間をコンセプトに、VRにおける空間の広さではなく、狭さに新たな体験の可能性を見出したVR作品「隙間 / [gap]」、カメラに映った画像を絵の具のパレットのように取り込んで、空間上に3次元ドローイングできるAR作品「World’s Palette」が受賞しました。「Phosphorescent City」はSUPER DOMMUNE Prizeにも選出され、ダブル受賞となりました。

その他スポンサープライズは以下の作品が受賞しました。

  • PARCO Prize:「VR CYPHER」(VR作品)
  • SUPER DOMMUNE Prize:「Phosphorescent City」(VR作品)
  • Media Ambition Tokyo  Prize:「Grandpa’s new old times: reminiscent of the past with haptics and VR」(VR作品)
  • Nreal Prize:「See there / ここに見る」(AR作品)
  • GIZMODO Prize:「My Painting World」(VR作品)

受賞したクリエイターの発展支援活動を通して、引き続き次世代のXRクリエイターの発掘・育成、3次元空間での新たなクリエイティブ表現と体験のデザイン開拓を目指します。

NEWVIEW AWARDS 2021 受賞作品

GOLD Prize 1作品 賞金20,000USD

作品名:「Neo Tengri」
作者:Ardak Mukanova(Artist, Graphic and Motion Designer|Kazakhstan/USA)

古代の遊牧民の宗教「テングリズム」を題材に、現実とはあらゆるものが異なる未知世界を体験する作品。

URL:https://gallery.styly.cc/scene/4d040aba-8411-437c-9c2f-fb3da3bd601e

審査員コメント(一部抜粋)

「カザフスタン出身のArdak Mukanova氏は、モンゴルにおける民俗シャーマニズムに基づく古代遊牧民の宗教、テングリをテーマにVR空間を演出した。氏は、トランスメディア空間のクリエイティヴを得意とするアーティストとして、このテーマとので出会いは必然であったかのように、ヴァーチャル空間においてのミステリアスな世界秩序の構築に成功している。そこに描かれた古代の神々は逸脱し果てたクリーチャーとして、今世紀的ファンタジーを描いている。また、一神教であるテングリの物語は、ヘッドマウントディスプレイでのVR体験によって極めて深い没入感を生み出し、崇高なイニシエーションのような儀式空間を彷彿とさせる。」宇川直宏(現在美術家/DOMMUNE)

「新しい風景や奇妙な種族を想像させ、上下左右の見え方や動き方を変えるなど、VRというフォーマットでうまく遊んだ唯一の作品だったのがよかったです。また、ビジュアル・アイデンティティが強く、個性的な形を意識している作品でした。」磯 光雄(アニメーター・演出・脚本家)

「美しく歪んだ異質な世界。そしてそれにふさわしいサウンドトラックが魅力。」デイヴィッド・オライリー(マルチディシプリン・アーティスト)

「世界の作り方、演出、インタラクティブ、コンセプト、すべてにおいて体験レベルとして精度が高く感じました。その体験に居続けたいと思えるような気持ちになりました。」imma(バーチャルヒューマン)

SILVER Prize 3作品 賞金5,000USD

作品名:Phosphorescent City
作者:KAZUKI MOTANI(Speculative Urban Designer|Japan)

建築物のファサードが蓄光化し、街頭やソーラーパネルが無用の長物化した2045年の都市体験をデザインした作品。

URL:https://gallery.styly.cc/scene/ce306d08-a97c-4a0f-a90e-d3bc605792a4

審査員コメント(一部抜粋)

「まず、来るべき近未来においての、エネルギー革命の物語設定が大変秀逸である。建築ファサード用蓄光塗料が太陽光を吸収し、夜間光源として機能するという発想が素晴らしい。所謂ブレードランナー的ディストピアではなく、整然とした郊外の風景を照らし出す、ビビッドな蓄光光源や、空中を舞う20世紀的デザインの街灯。そのような色鮮やかなデッドテック・フューチャーの投影が、過去のどんなSFにも描かれていなかったPOPアヴァンギャルドな近未来像を成立させている。退廃的な未来ではない、にも関わらず、ソーラーパネルが無用の長物となった2045年。作者はそのことを赤瀬川原平の”トマソン”という考現学用語を使って説明している。なんて粋なVRなんだろう!!! 」宇川直宏(現在美術家/DOMMUNE)

「現実の世界に変化をもたらすような仮想の場所は、デザインにおいて強力なステートメントとなります。バーチャルな世界が私たちをどんどん包み込んでいくことは明らかですが、この「都市」には、私たちの現実世界に美と地球への敬意を提供する可能性を感じます。映画のようなサウンド、光の変化、現実世界との境界を行き来することで、親近感のある魔法が生まれ、変化の感情的な感覚を与えてくれました。VRの役割は、私たちの都市を変え、「役に立たない」ものを捨て、それを生き生きとした色彩に置き換え、同様に私たちを現実の新しい芸術に連れて行くことができるのでしょうか。The Phosphorescent Cityは、私が選んで住みたいと思う場所です。」
ゾーイ・ブローチ(Royal College of Art Fashionプログラム責任者)

作品名:隙間 / [gap]
作者:しょーろんぽー。(デザイナー/アーティスト |Japan)

狭い空間がコンセプト。一般的なVRにおける空間の広さではなく、狭さに新たな体験の可能性を見出した作品

URL:https://gallery.styly.cc/scene/a639119c-265e-45bd-8997-00e21a830a5e

審査員コメント(一部抜粋)

「個人的には最もVRで体験したい方向性の作品だった。今回の応募作品としては簡素な方ではあるが、このフォーマットをもとにして複雑な構造やギミック、ストーリー性など盛り込んでいければ、特異な体験や感覚を生み出し得る題材だと考え選出した。」磯 光雄(アニメーター・演出・脚本家)

「人の感動ポイントをうむためには、すでにリアル世界でみたことがあるものがバーチャルで拡張されていくことです。それによって心が動きやすく感じましたし、それを感じる作品でした。」imma(バーチャルヒューマン)

作品名:World’s Palette
作者:Shinya Hasebe (プロダクトデザイナー |Japan)

カメラに映った画像を絵の具のパレットのように取り込んで、空間上に3次元ドローイングできるAR。

URL:https://gallery.styly.cc/scene/d06abe63-a45e-42ea-bbca-09055c9d02e5

審査員コメント(一部抜粋)

「この作品はとてもインタラクティブで、いつでも実世界とARの世界を切り替えることができます。とても成熟した作品であり、アプリストアに載せれば多くの人が積極的に参加してくれると思います。このツールを使用して、いくつかも興味深い表現を制作すると思います。」ルー・ヤン(アーティスト)

「この作品では、その場所の空間要素を捉えるためにAR技術を採用しています。そして鑑賞者の動きがストロークとなり、現実世界に対応したグラフィックの数々を生み出すことに貢献しています。また、身体、インタラクティビティ、その場性を生かし、AR技術の応用に対する私たちの想像を打ち砕くことで、AR技術に新たな表情を与えています。技術が作品にどう語りかけ、観客にどう参加を求めるか、その両方が効果的に実践されている作品だと感じました。」バブー・リャオ(劇場演出家)

PARCO Prize 1作品

作品名:VR CYPHER
作者:Eguo (オーディオビジュアル・アーティスト |Japan)

ヒップホップから派生した「サイファー」がテーマ。プレイヤーが能動的に参加するオーディオビジュアルアートに昇華。

URL:https://gallery.styly.cc/scene/7f3fca7f-c771-4e1c-870f-3b875af74426

SUPER DOMMUNE Prize 1作品 

作品名:Phosphorescent City
作者:KAZUKI MOTANI(Speculative Urban Designer|Japan)

※Silver Prizeとダブル受賞

Media Ambition Tokyo Prize 1作品 

作品名:Grandpa’s new old times: reminiscent of the past with haptics and VR
作者:Mingcheng Wu, Yipin Huang, Wei-Chen Yen, Chun-Cheng Hsu(Research team on HCI  |Taiwan)

独自の触感コントローラーを自作。高齢者に古き良き時代を取り戻してもらう認知治療としてのVRを制作。

URL:https://gallery.styly.cc/scene/bed125ae-cc1e-4be9-ad7a-79be59a5bb4b

Nreal Prize 1作品 

作品名:See there / ここに見る
作者:kiyotaka watanabe(Interactive Engineer / AR Developer|Japan)

世界とのずれや断絶など、変容していく世界をスマートフォンをモチーフに表現したAR作品

URL:https://gallery.styly.cc/scene/3441a3dc-f097-4e2c-938c-5dc083b4a385

GIZMODO Prize 1作品

作品名:My Painting World
作者:Yuhi Namai(VRで表現方法を模索している人  |Japan)

平面的な絵画の世界に入り込み、画の中と外の両面の世界を体験する作品

URL:https://gallery.styly.cc/scene/7ad2589c-e989-414f-a06f-f15e4435bb55

バーチャル展示会情報

NEWVIEW FEST 2021 NEWVIEW GALLERY

「NEWVIEW AWARDS 2021」のファイナリスト作品のほか、「超体験のデザイン」をコンセプトに実験的活動を続けてきたNEWVIEWのこれまでの歴史と最前線を作品として体験可能なバーチャル上のギャラリー「NEWVIEW GALLERY」を公開しています。
「STYLY」のVRアプリ、Mobileアプリ、WebPlayerより体験していただけます。

URL:https://gallery.styly.cc/scene/87abd4c4-814f-43f7-9204-e39676b8dab0

NEWVIEW AWARDS 2021

詳細はこちらをご確認ください。
https://newview.design/awards/overview

主催:NEWVIEW PROJECT

NEWVIEWについて
3次元空間での新たなクリエイティブ表現と体験のデザインを開拓する実験的プロジェクト/コミュニティーとして2018年1月始動。多様なジャンルのアーティストと実験的作品を仕掛け、新たな表現を社会提示する活動のほか、「NEWVIEW AWARDS」、xRを総合芸術として学ぶアートスクール「NEWVIEW SCHOOL」を展開し、次世代クリエイターの発掘・育成・交流・発信を行っています。

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大阪・なんばの街を拠点に活動するクリエイターを募集。
南海電気鉄道が主催のレジデンスプログラム「Chokett(チョケット)」