もっと街にパーソナルな解答を。ー道玄坂花壇からはじまる、小さな公共HACKー 実践記録(前編)
渋谷発!ボトムアップ型の都市づくり Shibuya Hack Project
「100年に一度」と言われる大規模開発が進行中の渋谷。行政やデベロッパーはビル建設や公共空間開発など、ハードの更新を主体的に進める一方、まちの人々が主体的にまちづくりに関わる機会が少ないことへ課題意識を抱いていました。
そこで、東急電鉄とロフトワークはShibuya Hack Projectを立上げ、「まちを自分ごとに」をテーマに、渋谷を拠点とする人々が草の根的に都市づくりに関わっていくためのプラットフォームの構築を開始。2015年より、リサーチやまちの人々との関係構築。パイロットプロジェクトの実施を経て、いよいよ今年から、道玄坂花壇を舞台にまちの人々と一緒に、ありたい日常つくりに挑戦する実験が本格的に始まります。
その活動の一コマを、ライターの藤末さんにレポートいただきました。
ちょっと先の未来に実現したい日常を現実に。「渋谷極小特区計画」
こんにちは、藤末萌です。2016年からShibuya Hack Projectメンバーへのインタビューやトークイベントに参加して、プロジェクトの動向を追い続けています。都市のなかの小さな公共空間に「関わりしろ」を見出し、個人の手の届く範囲から都市をより豊かにしていこう、という姿勢にとても共感を覚えます。絶えず思考しアクションを起こす彼らが、今年もまた動き始めました。
2015年から始まったこのプロジェクト、今年は「渋谷極小特区計画」と題して、XSスケールからの都市づくりに挑戦しています。8月23日には渋谷道玄坂に60箇所ほど点在する「花壇」をテーマにHACKを仕掛け、”ちょっと先の未来に実現したい日常の姿をみつける”ためのワークショップが開催されました。
Step1:まずは、地元の声を聞いてみよう
道玄坂の花壇・・誰もが絶対に目にしたことがあるはずですが、きちんと思い出せる人は少ないかも。という事で、普段から花壇のメンテナンスをおこなっている道玄坂青年会の会長・長谷川賀寿夫さんと副会長・大西陽介さんよりその現状について伺いました。
渋谷道玄坂に花壇が設置されたのは25年前のこと。
低木を中心とした花壇はベンチの役割も担い、人通りの絶えない道玄坂の憩いの場所になることを目指して作られました。道玄坂の歩道・車道はどちらも区道で、花壇も渋谷区の所有物ですが、日常的な清掃や花の植え替えなどは地元商店会、振興組合のメンバーによって支えられています。
花が抜かれてしまったり、ベンチに座った人がゴミを置いたままだったり、酔っぱらいが草木を踏みつけてしまったり。道玄坂の雑踏のなか、地元メンバーの維持清掃活動と花壇の痛み・汚れはいたちごっこなのが現状です。
さらに、2020年後以降、車道を狭く・歩道を広くする道路整備計画の話もあるそうで、花壇(兼ベンチ)もなくなってしまうのか・・選択肢は幾つかあれど、なかなか未来のビジョンが見えない地元の悩みを参加者とともに共有しました。
Step2:「ボトムアップから都市を考える」とは何かをインプット
今回のワークショップにはスペシャルゲストとしてランドスケープデザイン研究をしている慶応大学SFC教授の石川初先生、建築家ユニットでもありタクティカルアーバニズムの実践者でもあるmi-ri meterさんの二組も参加しています。まずは「ボトムアップから都市を考える」ためのきっかけになるインプットを行ないました。
レクチャースタイルはここまで。さっそく現場に繰り出し、フィールドワークを行ないましょう。
今日の目標は実地調査で課題を見つけ、それを解決するアイディアを出しあい、プレゼンテーションシートにまとめて発表すること。MTRLにある素材を使って、模型やプロトタイプも作れます。
Step3:いざ、街へ!渋谷道玄坂の花壇をフィールドワークしてみる
リュックを背負った人が腰掛けると、花が潰れてしまうそう。それを防ぐ柵もまたぐにゃりと・・。花壇のベンチに腰掛けながら解決策を探ります。
4〜5人一組のチームに分かれてラフなアイディアを出し合います。何度かそれを繰り返し、自分のアイディアと他の人のアイディアを比べたり合体させたり、良い所を抽出したり。
アイディアのブレインストーミング、議論を重ねたあとは、それぞれ興味のあるテーマにわかれてプレゼンテーションの準備を進めました。
後編 ── アイデアをプロトタイプしてプレゼンテーション!