台北の老舗百貨店「新光三越」が取り組む
O2O(オンラインからオフライン)Webサイト
Outline
老舗百貨店、オンライン発のイメージ一新
新光三越(台北信義新天地)は2015年から、傘下のA11館(信義地区)の全面改装を実施。それと同時にオンラインでのコミュニケーションを検討。より広い顧客層獲得のために、店舗やブランド情報以外にも、アート、デザイン、ライフスタイルに関する情報を発信する必要性がありました。
ロフトワーク台湾は、O2O(オンラインからオフライン)のユーザーフローを生み出すことを目標にWebサイトの新規構築から運用までを長期的にサポート。コンセプト開発、ロゴ制作、コンテンツ制作でブランドイメージを醸成しています。ロフトワーク東京メンバーと協働しワークショップを実施。クライアントのメンバーとともにビジュアル方針とWebサイト名のアイディエーションを行い、A11館で素敵な時間を過ごしてほしい、という思いを込めて「ALLDAY(ALL MOMENTS IN ALLDAY) 」に決定しています。
プロジェクト概要
- 支援内容
・新規メディアサイトのコンセプト開発、サイト名、ドメイン提案
・ロゴデザイン、Webサイトデザイン、CMS開発
・コンテンツ(記事)制作、サイト運用
・クライアントの編集チームで記事制作ができる仕組みづくり - アプローチ
・ターゲット層を絞ったコンテンツ計画、サイトデザイン、運用方針策定
・コンセプト策定からロゴデザイン、ウェブデザインまで一貫したブランドイメージを作り上げる
・公開後1年間の撮影、記事制作、運用をサポート - 関連サービス
・メディアサイト構築
・CMS構築
Outputs
Webサイト
Process
(1)メインバナー
最新記事を表示。
(2)時計ウィジェット
AllDAYがもつ世界観を、時計のウィジェットで表現。台湾、東京、ニューヨークの時間を表示。
(3)ピックアップ記事
A Day(イベントと連携した記事)、An Hour(各種ブランドのバックサイドストーリー)、 A Moment(A11館の活動テーマと連携した世界中のブロガー記事)
A Day
(4)A11館内では常に展覧会や様々なアクティビティが行われています。展覧会のキュレーターやアーティストへのインタビューを通して、ユーザーの期待度を増幅させるコンテンツを紹介しています。
An Hour
(5)サイドカラムに商品情報を配置
(6)ブランドとA11館の関係性を強化するために、バックサイドストーリーを伝えるコンテンツを用意。プロモーションとしての紹介ではなく、ユーザーがブランドとの距離を近く感じるような写真を使用しブランドの歴史や秘話といった視点でブランドを伝えています。
A Moment
世界各国のブロガーからの記事。旅行、グルメ、写真、映画まで異なる話題をすべてフォロー。毎回、A11館の活動に合わせたテーマを設定。
Interview
A11館の改装を機会に、お客様とのオンラインコミュニケーションも一新
AllDAY立ち上げの背景にはどのような考えがあったのですか?
Elway(新光三越):「昔は百貨店にとってWebサイトは一方向的に情報を公開する場と捉えていましたが、時代の変化とともに、新しいコミュニケーションツールとして考えるようになってきました。
そして、A11館の全面改装にあたり、オンライン上のポジショニングも再考する必要があると考えていたときにロフトワークと出会いました。私たちはときにこのブランドはこの客層にうけるだろう、と思い込んでしまうことがあります。
今回のALLDAYが違うのは、私たちが今まであまり取り組んでこなかったブログや、インタビュー記事などを通じて、常にユーザー視点で客層にアプローチしていくということです。長い目で見れば、私たちが伝えたいことを伝えられるのだと思います。」
今回のプロジェクトで、新光三越が超えなければいけなかった「壁」はありましたか?
Dora(新光三越):「私たちは今までの多くのプロジェクトにおいて、私たちの欲しいものがお客様が欲しいものであるといった考えに陥りやすかった。今回のように、社外の意見も重視し、マーケットと私たちの感覚は本当に合っているのか理解する努力が必要だと思っています。また、幅広いお客様をもつ私たちにとってはターゲット層を絞ることがとても難しく感じましたが、最終的には今後注力したい若年層に絞ったWebサイトにできたことに満足しています。将来的には、もっとAllDAYの認知度をアップさせたいですね。」
店舗改装と同時進行の制作でしたが、公開後の反応はいかがでしたか?また、今後の展望について教えてください。
Dora:「A11館の改装はWebサイト制作より先に開始し、改装計画にサイトの企画も影響を受けたことが、進行の上で難しいところでした。ただ改装完了と同時に正式にサイトを公開する必要があったので、ロフトワークと頻繁にコミュニケーションを取りながら進めることが重要でした。私たち老舗の百貨店にとっては全く新しい取り組みであり、サイト公開後に様々な反応をもらいましたが、社内、取引先を問わず、全く新しいコミュニケーションの方法を作り上げたと好評です。また、デザインにおいても、直感的に美しい、と感じる仕上がりになったことに満足しています。 」
Elway:「私たちが常にチーム内で意識しているのは、遊び心を忘れない、ということです。発信される情報は、お客様を巻き込んで楽しんでいただけるよう考え抜かれたものであるべきです。これからも、”Call for Action”を考え続け、お客様参加型のコンテンツを制作してA11館に来ていただきたいですね。理想は10万人のお客様に、A11館が”自分のための場所”だと感じてもらうことです。」
Member
藤原 悠子
株式会社ロフトワーク
シニアクリエイティブディレクター
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