三井化学株式会社 PROJECT

ビジネスモデルの転換へ、社内外の共創を促進する新拠点
三井化学「Creation Palette YAE®」立ち上げプロジェクト

Outline

空間を起点として起こる「化学反応」が、新事業に向けた共創を促進する

総合化学メーカーとして、100年以上に渡り産業の発展や豊かな暮らしを支えてきた三井化学株式会社。同社は2024年10月、外部パートナーとの共創によるソリューション提案力を強化するため、社内外の様々なバックグラウンドを持つ人々が接点を作り、交流することで新しいアイデアを共に創り出す場、「Creation Palette YAE®」を開設しました。

三井化学は、長期経営計画「VISION 2030」の中で、従来の「素材」を提供するビジネスから、社会課題を起点とし、外部パートナーとの連携で実現されるソリューション提供型への「ビジネスモデル転換」を掲げています。この実現に向けて、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを促進する「触媒」をコンセプトに、三井化学をワンストップで紹介・体験できる設備やプログラムが備わっているのが本施設です。

さまざまな展示・体験コンテンツと、そこから生まれる対話を起点に、三井化学の製品・技術の変遷や特徴をステークホルダーと共有し、その場で互いの「やってみたい」を深掘りながら、新たな活動創出に向けた「化学反応」を起こします。

Project Scope

専門的ユニットの横断で「共創」を総合プロデュース

ロフトワークは本施設の総合プロデュースとして、構想段階から伴走しています。ロフトワークで素材・技術開発に携わるプロジェクトデザインチーム「MTRL」と、新しい「場づくり」を実現する空間プロデュースチーム「LAYOUT」の両ユニットが伴走パートナーとなり、共創空間の開設に向けた業務を全面的に支援。コンセプト立案から空間設計、内装や展示什器の制作、展示システム設計、ロゴ・PR動画作成、さらにアテンド戦略やCRMの構想などをトータルでプロデュースし、複合的に「共創」の実現をサポートしました。

Output

<空間設計ディレクション>
豊かな発想をシームレスに促す空間体験のデザイン

本施設には、それぞれ独自のコンセプトを持った5つのゾーンから成る展示エリアに加え、応接エリア、多目的エリア、コワークエリアが設けられています。

空間デザインにあたっては、三井化学の多岐にわたる技術と素材、様々なステークホルダー、バリエーション豊かなコミュニケーションなど、共創の起点となる多種多様な要素(fragments)が集まる空間の中で、多様性を受け入れ統合する(integrate)、“一本の帯”を中心にデザイン。

共創のフィールドをめぐる“一本の帯”は、コンセプトや役割の異なる各エリアをゆるやかに結び、多様な共創の場面を生み出すと同時に、施設全体の動線を示す役割を担い、部分的にはカウンターや什器、収納としての機能を有しています。

シームレスに連なる空間は、多岐にわたる技術と素材を結び、多様なステークホルダーがつながる様相を表すとともに、訪れる人の自由で柔軟な発想を促します。空間を巡る過程で、化学メーカーらしいクリーンかつニュートラルなマテリアルが展示を引き立て、天井や家具がアクセントとなるようなカラーを活かすことで、賑わいを表現したり、共創空間としての様々な表情を意識した設計を行いました。

<コミュニケーションデザイン>
組織内外の共創を促進するコミュニケーションデザイン

三井化学の多様なステークホルダーが訪れる本施設。この空間から実際に共創の活動を生み出していくためには、外部パートナーに合わせた適切な関係構築に加え、組織横断の連携を強化するなど、同社のアセットをフル活用することが必要になります。そこで運営計画において、本施設を「共創に向けた関係性の深化の場」と捉え、社内外の一連のコミュニケーションデザインを支援しました。

「共創」の実現に特化したCRMシステム

専門的な技術を活用した製品を持つ三井化学の魅力をステークホルダーに伝え、関係構築を促すため、専用のCRMシステム構築を支援。「共創プロジェクト創出の仕組みづくり」を得意とするロフトワークのマーケティングナレッジを活かし、共創の実現をサポートする仕組みをデザインしました。 

このようなコミュニケーションデザインの要素が織り込まれることで、「共創に向けた関係性の深化の場」としてより効果的に機能する空間となります。

<展示映像制作・管理システム構築>
多様なコンテンツを一括で管理する展示システム

幅3mを超えるLEDビジョンから手持ちタブレットまで、様々な大きさの媒体には、三井化学の歴史・展望や技術をはじめ、具体的な製品やその性質などをわかりやすく紹介する、様々な映像コンテンツが表示されています。これらのデジタルコンテンツは、製品などの情報が一元化されたデータベースを基盤に、自由な表示の変更・調整が可能になっています。

この展示システムの一括管理を支えているのが、マルチデバイス・マルチチャネルに対応可能なヘッドレスCMSです。ヘッドレスCMSは、従来のCMSと比べてより良いUIで素早くコンテンツが表示されるほか、トラブル発生時の原因追及がしやすいという特徴があります。今回は、施設を運営するうえでの更新のしやすさを考慮し、ヘッドレスCMSを導入した展示システムを導入しました。

<展示什器作成>
可変性とユーザー体験を重視した展示什器

三井化学の技術や製品、ビジョンを共有しながら、新たなパートナーのより深い製品への理解や未来への対話を促すために、来訪者のニーズに合わせて構成できる可変性の高い展示什器をデザインしました。

「SEEDS SPEC」「RECENT CHALLENGE」ゾーンで活用する什器。什器同士を組み合わせながら、配置を自由に変更することで、目的に応じて柔軟な展示形式、アテンドを組むことを可能としています。

BIOGRAPHY」「RECENT CHALLENGE」で活用するメッシュ什器。カスタマイズ性の高いステンレスメッシュを主な構成要素として採用し、運営のなかで生じる新たな展示物の掲載や内容更新にも対応しやすいデザインとなっています。

<コミュニケーションツール制作>
「共創の姿勢」を伝える各種クリエイティブツール

本施設で共創に取り組む三井化学の姿勢を表現し、より幅広いステークホルダーの期待感を醸成するために、各種クリエイティブツールを制作しました。化学を起点に、多様な人と製品や技術の出会いからイノベーションを生み出す様子をイメージしたロゴをはじめ、社内外の周知拡大に向けたプロモーションムービー・パンフレットの制作も支援しています。

ロゴ

(ロゴデザイン:MIDORIS合同会社)

プロジェクト概要

クライアント:三井化学株式会社
プロジェクト期間:2022年11月〜2024年9月

体制

<株式会社ロフトワーク>

  • プロジェクトマネジメント:土田 直矢、宮本 明里
  • 空間ディレクション:伊阪 若奈、荒川 夏輝、小林 奈都子
  • コンテンツディレクション:安元 佳奈子、棚橋 京平、野島 稔喜、片平 圭、三浦 永、吉田 真貴、川口 和真、柳原 一也
  • プロデュース:小原 和也、金 徳済、松井 創

<制作パートナー>

  • 空間設計・監理:axonometric株式会社
  • 空間構造解析:株式会社ヴィック
  • サイン/ ロゴ、什器デザイン: MIDORIS合同会社
  • コンテンツ制作(映像):株式会社スタジオエル
  • コンテンツ制作(展示):UOデザイン事務所
  • システム開発:株式会社はこにわ

活動写真撮影:株式会社パブリシティ・アドベンチャーズ
内装・展示什器撮影:yasu kojima

Member

土田 直矢

株式会社ロフトワーク
テクニカルグループ テクニカルディレクター

Profile

宮本 明里

株式会社ロフトワーク
Layout シニアディレクター

Profile

伊阪 若奈

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

荒川 夏輝

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

小林 奈都子

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

安元 佳奈子

株式会社ロフトワーク
シニアディレクター

Profile

棚橋 京平

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

野島 稔喜

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

片平 圭

株式会社ロフトワーク
MTRL クリエイティブディレクター

Profile

三浦 永

株式会社ロフトワーク
MTRL クリエイティブディレクター

Profile

吉田 真貴

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

川口 和真

株式会社ロフトワーク
MTRL クリエイティブディレクター

Profile

柳原 一也

株式会社ロフトワーク
MTRL クリエイティブディレクター

Profile

小原 和也(弁慶)

株式会社ロフトワーク
MTRL事業責任者

Profile

金 徳済

株式会社ロフトワーク
MTRL プロデューサー

Profile

松井 創

株式会社ロフトワーク
Layout CLO(Chief Layout Officer)

Profile

古市 淑乃

空間設計

Profile

Keywords

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“うめきた再開発”の一手。グラングリーン大阪「JAM BASE」
地域と共に歩むためのブランド策定・コミュニティ醸成