Webディレクターのためのハッカソン Direc-a-thon vol.2
2014年2月27日、Webディレクターを対象にしたシリーズイベント“Direc-a-thon(ディレカソン)”の2回目が開催されました。実在するサイトを題材にワイヤーフレームの作成に取り組んだVol.1に続き、Vol.2ではデザインコンセプトの設計をテーマにワークを実施。参加者たちは、日常を離れたところでのディレクション業務を楽しみながら、さまざまな気付きや学びを得ていたようです。
「スーパー黒子」な「3Dの企画会社」をどうデザインする?
はじめにロフトワークの田中裕也は、「キーワードはOpenness。ディレクターという仕事は会社によって少しずつ違う。みなさんの知識をオープンに集合させることで、新しい発見や考え方が生み出されることを期待したい」と語り、本日のタイムラインを説明。前回と同様、実在する企業のサイトリニューアルを題材に、今回はデザインコンセプトの設計に取り組みます。そこで、まずは対象サイトの企業を理解するため、お題を提供いただいた、株式会社ケイズデザインラボ代表取締役社長の原雄司氏から事業内容やビジョンが紹介されました。
創業当初から「アナログとデジタルの融合で世界を変える」をコンセプトにしてきた同社は、3Dデジタルツールの機材販売とコンサルティングの2本柱で事業を展開しています。「これからは3Dの企画会社になろうと舵を切ったところ」と語る原氏は、自社を“スーパー黒子”と表現。駆け足で紹介された豊富な実績は、ものづくりからエンターテイメントまで多岐にわたります。
さらに2020年の3Dの世界市場予測を示しながら、「3Dプリンターそのものやソフトウェアを作る市場より、それに付帯するサービスのほうが市場ははるかに大きい」と指摘。「いま必要なのは、ものづくりをもっと普及させること。そのために当社では3D道場を実現しようとしている。3Dのスキルやリテラシーを上げてもらうことに主眼として、あいつはすごいぞ!と言わせるような人材を育てたい」と熱く語りました。
デザイナーにどう伝えるか?クリエイティブ提案のプロセスを見つめ直す
ロフトワークのシニアディレクター濱田真一は、「ロフトワークでクリエイティブの提案を行う際は、クライアントの要件を受けて、コンセプト→アイデア→施策→トーン&マナーや構造の順でブレイクダウンしていく」と説明。実際の作業例を挙げながら、ワークの流れを参加者と共有しました。
ワークの流れと作業例
1.コンセプト
コンセプトは非常に大事。クリエイティブの目的は何か、どうすれば課題を解決できるか、ヒアリング結果を咀嚼しながら考え、それを言語化・イメージ化する。
2.アイデア
キーワードを挙げてみる、箇条書きで分解してみる、サンプルを見ながら意見交換する、キーワードマップを作成するなど、Webで実現するとしたらどうあるべきなのかをブレイクダウンして考える。
3.施策
画像を大きくする、シェアされることに特化する、メガドロップダウンメニューを入れるなど、具体的に何をするかを考える。
4.トンマナ
参考サイトを拾って分析する、イメージボードを作ってデザイナーと完成イメージを共有する、表現方法が決定している場合は参考資料を作る、など。
5.構造
ワイヤーフレームを作成する、箇条書きで具体的な指示を入れる、サイトマップで全体構造を伝える、など。
「自分だったらこう考える、こんなやり方はどう?など、自由に取り組むのが本日のディレカソンのスタイル。ぜひ自分なりの伝え方を考えてみてほしい」と濱田。最終的に伝える相手にはデザイナーを想定。会場には、株式会社ニードの飯島オサム氏がデザイナーとして招かれました。
理由のないデザインはない!サイトの全体設計に影響するコンセプトづくり
続いて、株式会社トリプルセブン・インタラクティブの福田敏也氏が、コンセプトメイキングの考え方についてアドバイス。「理由のないデザインはありえない」と言い切る福田氏は、「デザイナーが手を動かす前に、どんなサイトになったらいいのかを議論すること。さらに、なぜそのデザインがいいのかがしっかりと腑に落ちていること。これがサイトの機能を含めた全体設計に大きく影響してくる」と強調します。
誰しも直感的に「いい!」と思うことはあるものですが、直感を放置してしまうと、最終的にやりたかったこと、やるべきことに着地しない可能性があるからです。大事なのは、何を目指すかが明快になること。明快であればあるほど、進むべきベクトルはハッキリしてきます。
「コンセプトとは、それが見つかるまではデザインするな!と、デザイナーにプレッシャーをかける言葉でもある。何も難しい言葉やかっこいい言葉で語る必要はなくて、目標設定の言葉は直感的に何を実現するべきかがわかりやすいほうがいい。そこが固まると、デザインやトーンの考え方、フォントの選び方、色のルール、機能など、あらゆるものに理由が生まれてきます。」(福田氏)
【Direc-a-thon】デザインコンセプト設計はディレクターの力量が問われる大事なプロセス
福田氏の力強いアドバイスに押される形でハッカソンタイムがスタート。まずはコンセプトシートを使って各自でデザインコンセプトを設計し、他のメンバーとのディスカッションを挟みながらブラッシュアップしていきます。
約3時間の個人ワークを経て、ビールを片手にお疲れ様と乾杯! その後全員でアウトプットの発表を行いました。原氏の説明にあった「黒子」という表現をキーワードにしたアイデアや、「面白い!」から「欲しい!」を実現するために実用性・実績を表現する案。Youtubeやクックパッドのようなユーザー参加型コミュニティを備え、多くの人が3D制作に関わっていることを表現する3Dのカンブリア爆発といったアイデアまで、多様な提案が繰り広げられました。
様々なアイデアによるコンセプトの提案を受け、原氏は「Facebookなどで情報発信していけばよいと考えていたが、サイトでも、今この瞬間に当社が何を考えているのかを出していくべきかもしれませんね。サイトリニューアルを早急にやらなくては!と思いました」と語りました。
また、発表を見守った飯島氏は、デザイナーの視点からディレクション時のヒントを提供。
デザイナーへの伝え方のヒント
- コンセプトを具現化する際にはデザイナーと密にディスカッションする
- 言葉の捉え方は人それぞれ違うので、できるだけ具体的なデザインを使って完成イメージを伝える。
- 事例や参考サイトのキャプチャを見てしまうとイメージに縛られてしまうため、グラフィックやムービーなどで方向性を伝えるほうがよい。
- デザイナーにも得手不得手があるので、事前調査した上で適切なデザイナーをアサインする。
- デザイナーをミーティングに同席させるとスムーズに進行することが多く、より良いものが作れる。
コンセプト設計のあり方を見直すきっかけになった今回のDirec-a-thon。参加者のアンケートからは「サービスに関するゴールやコンセプトは考える機会が多いが、デザインに関してはあまりなかったので、よい機会になった。」や「コンセプトに作り方やデザイナーへの指示書の書き方が参考になった。」といったコメントが寄せられていました。
イベント概要
WebディレクターによるWebディレクターのためのハッカソン”Direc-a-thon(ディレカソン)”。 第2回のテーマは ”デザインコンセプト“です。
デザインコンセプトの設計は、所属する企業やディレクターのスキルによってどのように相違があるのでしょうか。今回はデザイナー向けのいわゆる「デザイン指示書」を作成していただきます。
株式会社トリプルセブン・インタラクティブ 福田敏也氏がアドバイザーとして参加。デザインコンセプトの作り方についてアドバイスいただきます。ワークの後は、アウトプットを披露しあいディスカッションする時間もあり、自身のスキルやナレッジを共有できるチャンスですので、ぜひご参加ください。
こんな方にオススメです!
- 「他の会社のWebディレクションが気になる」
- 「たまには実際の案件以外で自由にディレクションの設計をしたい」
- 「自分のWebディレクションスキルを向上させるきっかけが欲しい」
- 「自社以外のWebディレクターと交流したい」
- 「福田敏也さんにアドバイスをもらいたい!」
開催概要
セミナータイトル | Webディレクターのためのハッカソン Direc-a-thon vol.2 – デザインコンセプト – |
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開催日時 | 2014年2月27日(木) 13:30〜(13:00受付開始) |
場所 | loftwork Lab(ロフトワーク 10F) |
対象 | ・経験年数2年以上のWebディレクター、プロデューサー、デザイナー |
参加費 | 3000円(税込) *当日現金にてお支払いください。 *懇親会費を含みます。 |
定員 | 20名 |
ご注意 | ・当日はPCをご持参ください ・参加費は当日現金にてお支払ください。領収書をお渡しいたします ・開催日まで1週間を経過したキャンセルは、参加費の100%をいただきます ・当日のお写真、レポートは後日弊社サイトにて公開させていただきます |
主催 | 株式会社ロフトワーク |
プログラム
- 13:30 – 13:40
- オープニングトーク
- 13:40 – 14:00
- アイスブレイク
- 14:00 – 14:20
- 対象サイト、成果物の説明
- 14:20 – 18:30
- ハッカソン
- 18:30 – 20:30
- 懇親会、成果物の発表