Loftwork Webmaster Camp「2015年のWebトレンド」開催レポート
Webマスターのための新しいシリーズイベント「Webmaster Camp」の第1回が2015年2月26日に開催。通常のビジネスセミナーよりカジュアルな雰囲気の中、業界や組織の枠を超えて参加者たちが交流。年度末の時期にふさわしく、2015年のWebトレンドを展望し、ヒントを提供し合い、学びを共有する貴重な場となりました。
Vol.2「Webマスターの哲学」開催決定
2015.06.26@TRUNK BY SHOTO GALLERY
キーワードは「インサイト」。 タッチポイントにおける顧客の感情の変化を考える!
オープニングで本イベントの企画者であるロフトワークの渡部は、「Webマスターは基本的にひとり。当社のWebマスターの仕事ぶりを一番近くで見ていて、本当に大変なポジションだと感じている。そこで、この企画を思いついた」と説明。目指したのは、キャンプファイヤーのようにリラックスした雰囲気の中で、悩みや課題を気軽にシェアできる空間です。そこから何が生まれるのかは、今後のシリーズ展開に要注目です。
続くキーノートスピーチには、ロフトワークの諏訪光洋が登壇。諏訪は、2015年のWebを占うキーワードに「インサイト」を挙げ、先進的なWeb施策に取り組む架空の旅館を例に、こう説明します。
「Webマスターは、どこから来るか、何時に来るかなど、顧客について知り得る状況にある。大渋滞に疲れ果ててムッとして訪れる人がいても、そこまでコントロールできないと考えるのは間違い。さまざまな情報をもとに、すべてのタッチポイントにおける顧客の感情の変化を考えてみることができる。これが『インサイト』です。」
さらに、「インサイトを考えると、どんな改善が必要なのかが見えてくる。そこから、効果的な施策やアイデアを考え、実行に移すことで、結果として価値ある体験を生み出すことができる」と諏訪。ロフトワークでも、顧客のインサイトと向き合うケースは増えており、インサイトから次々と新しい価値が生まれようとしています。
クリエイティブ、エクスペリエンス、アーキテクチャからWebを考える
ここからは、Webを考える上で関係の深い「クリエイティブ」「エクスペリエンス」「アーキテクチャ」の3つの視点で、トークセッションを展開しました。
Talk #1 Web×クリエイティブ
トリプルセブン・インタラクティブ 福田 敏也氏
FabCafeの共同創業者でもあるトリプルセブン・インタラクティブの福田敏也氏は、クリエイティブな視点でWeb戦略や設計に関わる立場から、自身が問題意識を持つポイントを解説していきました。
「なんとなく面白い」時代の終焉
目的のある面白さを前提とした施策と投資が重要になる。
立ち返るべき場所は「コア価値」との向き合い
クリエイティブ施策を考えるとき、「コア価値」がサイトそのものにも現れる必要がある。
「コア価値」は何によってより効果的に伝わるのか
「コア価値」をさまざまなレイヤーに分解、展開していくプランニングが重要である。
スマホは「対応」する時代ではない
時代はスマホCENTER。スマホを通じて企業がどう見えるかが主文脈であるべき。
見据えるべきはポスト「スマホ」
この4、5年と同じ変化がこの先に起こり得る可能性を認識すべき。
これからさらに来る「激変」に対応しやすい体質へ
どんな変化が訪れても動きやすい体質に改善しておく。
次の時代の「良きクリエイター」とは?
メディアやデバイス変化を捉えて、最適なクリエイティブのあり方を考える必要がある。
クリエイターの心を揺さぶるクリエイティブ!
多様化する時代を迎えればなおさら「振り向かせる力」としてのクリエイティブの意味は大きくなる。ユニークな伝わりを企業ごとに考えることが重要になる。
Talk #2 Web×エクスペリエンス
ロフトワーク アキ カワナ
デザインコンサルティングファーム「frog design」からロフトワークに仲間入りしたカワナアキは、「悪いUXデザインはビジネスにも悪影響を及ぼす」と指摘。frogでの事例を交えながら、UXを考える際の7つのポイントを事例を交えて次のように整理しました。
- 1.UXは一貫していなければならない
- 2.悪いUXは他を有利にする
- 3.良いUXはビジネスインパクトを与える
- 4.カスタマージャーニーを考える
- 5.Webはタッチポイントの一つ
- 6.エコシステムを考える
- 7.インターフェイスがブランドである
Talk #3 Web×アーキテクチャ
ロフトワーク クリエイティブディレクター 入谷 聡
最後に、Webデザインや設計のトレンドに斬り込んだロフトワーク烏丸の入谷聡は、「フラットデザイン、パララックス、多段グリッドなどの効果は、クリエイターが“ふつう”に引き出しとして持つようになった。もはやリニューアルで実現するレベルではない。これらをうまく使いつつ、コンテンツで勝負するしかない」と強調。この点を踏まえた上で、「WireframeSketcher」「inVision」など、情報構造の整理に役立つツールを紹介し、そのメリットと要点を次のように総括しました。
- 描いて可視化する習慣を身につける
- 描く作業を最大限効率化する
- 絵を動かしながら議論する
- ユーザー視点で作業する
参加者全員とディスカッションをつなぐ初の試みも
セッションの合間には、全員参加型のピッチトークが行われました。アメリカ発祥のワークショップ手法「Fish bowl」を使って、「今年、やってみたいWeb施策」をテーマにディスカッションをスタート。檀上に上がった3人がそれぞれに自分の考えを述べ、話が終わったら、話に反応した人や質問をした人にバトンを渡して席を立つ。これを繰り返すことで、会場にいる参加者全員とディスカッションをつないでいくやり方です。
最初は戸惑いながらバトンを渡し渡されていた参加者も、さまざまな課題を抱えるWeb施策がテーマとあって徐々にヒートアップ。ある参加者の質問を皮きりに、話題はWeb施策における動画の活用に集中。入れ替わり立ち替わりさまざまな意見が飛び出し、30分では足りないほどでした。
劇的なインバウンド増加を生み出したWebサイト設計とは
唯一の事例セッションでは、オムロンフィールドエンジニアリングの越智大三氏とロフトワークの実本慶子が、Webリニューアルの成果を紹介。PVは2倍以上、問い合わせ件数は月平均0.1件から24件へ、売上高は約100倍という劇的なインバウンド増を実現できた理由は、Webサイトの設計にあります。そのポイントを3つに絞って解説しました。
1.シナリオの設計
企業側がユーザーに期待する動きを設定。サイトの目的やゴールに直結する「ベースシナリオ」と、それ以外のサブ的な導線として、クロスセル・アップセルを考慮した「派生シナリオ」を作成。
2.設計段階でのチューニング
入谷のセッションでも紹介された「WireframeSketcher」「inVision」を使ってWebサイトのプロトタイプを作成。実際に見て、触って、その場でフィードバックをもらいながら進めることで、スムーズな決定、早めの軌道修正ができた。
3.デザインの社内コンセンサス
さまざまなテイストのサイトデザインを10個用意し、各テイストに対して5つの質問に○×形式で答えるアンケートを実施。結果を点数化し、点数の高いものがイメージに近いとして、デザインテイストを決定。少々乱暴なやり方に見えるが、Webへの関心が薄い方にも納得してもらいやすい。
Webマスターが会社の未来を変える?!
花王の本間 充氏、良品計画の奥谷孝司氏、日立システムズの鹿島泰介氏によるパネルディスカッションは、事前に用意された2015年のキーワード「オムニチャネル」「マーケティングオートメーション」「UX」「所有から利用へ」「ベストチーム」を中心に展開。
前半は、技術の進歩が著しく、ひと昔前とはまったく異なる事情がある中で、Webの機能やマーケティングの役割がさらに重要性を増しているという認識で一致。後半は、鹿島氏の「これからのWebは動画ファーストになる」との発言をきっかけに、動画コンテンツの可能性が議論され、さらに、Webマスターが会社の未来を変え得る存在だという話にまで発展しました。
モデレーターの最後の質問、「2015年、Webマスターはどうしたらいい?」への3人の答えをご紹介します。
鹿島氏「Webマスターは会社の中で特異なことをやれる貴重な存在。Webだけを見ていてはダメ。提案力や商品力の強化、品質の向上にまで関われるはず。」
奥谷氏「広報的視点からいかに広告するかにチャレンジしてほしい。」
本間氏「今年やりたいことを考えるには、5年10年後にWebを使って会社や組織がどうなっていたいかを考えること。中期ビジョンの作成を今年の仕事にしてほしい。」
全プログラムを終えて、「消費者は多次元の世界に生きている。今までのモデルどおりユーザーが動くとは限らない」と語るロフトワークの矢橋友宏。しかも、正解がない中で重要になるのが、みんなで共創しながら作るプロセスです。
矢橋は、「異なる組織の人が集まって情報を共有したり、ヒントを与えあったり、化学反応を起こしながら何かを創り出す活動や、プロトタイプを早い段階からオープンにする取り組みが注目されています」と説明。「Webmaster Camp」も、悩み苦しむWebマスター同士がつながることで、新しい価値を生み出していくのかもしれません。
Vol.2「Webマスターの哲学」開催決定
2015.06.26@TRUNK BY SHOTO GALLERY
イベント概要
ここに来れば、あなたと同じ課題や目標を持つ仲間が見つかる。
ここに来ると、明日の仕事から役立つ先端事例、アイデア、知識に出会える。
loftwork Webmaster Campは、Webマスターはもちろん、Webに携わるすべての人たちのための、アイデアや学びを共有できるサロン型イベントです。第1回目のテーマは「2015年のWebトレンド」。
Web × 「クリエイティブ」「エクスペリエンス」「アーキテクチャ」を切り口に、777 Interactive 福田 敏也氏、ロフトワーク Aki Kawana、入谷 聡がプレゼンテーション。Webマスターにも必要な「クリエイティブな視座」、顧客とのタッチポイント全体で考えるWebの「体験」、それを実現するための「Webデザイン・設計ポイント」をケーススタディと合わせて考えます。
パネルディスカッションでは花王 本間 充氏、良品計画 奥谷 孝司氏、日立システムズ 鹿島 泰介氏の3名が、Web・マーケティングの注目キーワード、先端事例、日々の仕事で培った知見を紹介いただきます。
会場はTimeOut Cafeで開催。カジュアルな場で、業界や組織の枠を超えてアイデアや学びを共有しに来ませんか?ここで生まれるヒト・コトの化学反応をお楽しみに。気になる方はぜひ、お申し込みください!
Event Contents
|Talk|
Web × 「クリエイティブ」「エクスペリエンス」「アーキテクチャ」3つのテーマでプレゼンテーション
|Discussion |
花王 本間氏、良品計画 奥谷氏、日立システムズ 鹿島氏による対談
|Interaction |
Fishbowlによるインタラクティブセッション
|Case |
東映、オムロン フィールドエンジニアリングのWebリニューアル事例を紹介
|Networking |
スピーカーも交えた懇親会
開催概要
セミナータイトル | loftwork Webmaster Camp -2015 Web Trends – |
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開催日時 | 2015年2月26日(木)14:00 – 19:30(13:30開場・受付開始) |
場所 | Time Out Café & Diner [ 東京都渋谷区東3-16-6 リキッドルーム2F ] 地図 |
対象 | ・Webマスター ・Webサイトの運用、広報などに関わる方 ・2015年のWebトレンドを知りたい方 ・他企業のウェブマスターとナレッジ共有したい方 |
参加費 | |
定員 | 60名 |
主催 | 株式会社ロフトワーク |
ご注意 |
|
プログラム
- 14:00
- Opening
- 14:10
- Web Trends 2015 (ロフトワーク 諏訪 光洋)
・最新のWebトレンド
・ロフトワークの紹介,実績 - 14:40
- Talk #1 Web × クリエイティブ (トリプルセブン・インタラクティブ 福田 敏也氏)
・Webマスターにも必要な課題解決力
・課題解決のためのフレームワーク
・企画力を磨くTips - 15:00
- Coffee Break
- 15:10
- Talk #2 Web × エクスペリエンス (ロフトワーク Aki Kawana)
・エコシステム全体から考えるエクスペリエンスデザイン
・顧客とのタッチポイントを考える
・顧客を理解するためのフレームワーク、ツール、事例 - 15:30
- Talk #3 Web × アーキテクチャ(ロフトワーク 入谷 聡)
・Webデザイン、設計のトレンド
・設計、構築時のポイント - 15:50
- Coffee Break
- 16:05
- Pitch Talk ー Fishbowl
- 16:35
- Case Study #1 コンバージョンを高める設計 (オムロン フィールドエンジニアリング 越智 大三氏/ロフトワーク 実本 慶子)
・インバウンドを劇的に増加させた複数コンテンツの整理と再設計 - 17:05
- Coffee Break
- 17:20
- Panel Discussion (花王 本間 充氏、良品計画 奥谷 孝司氏、日立システムズ 鹿島 泰介氏)
・各社の取り組み
・これからのデジタルマーケティングトレンド - 18:20
- Closing Talk(ロフトワーク 矢橋 友宏)
- 18:30
- After Party
- 19:30
- Close