EVENT Report

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誰かの困難に寄り添うためのプロジェクトの始め方・進め方
〜等身大の課題発見と、ユーザー参加型のデザイン

タイバーシティ&インクルージョン(D&I)は、企業活動においても外すことのできない概念となっています。本イベントでは、その実践のひとつである「インクルーシブデザイン」を事業で実現するために必要な考え方や姿勢について、同領域の専門家・実践者と議論を行いました。

「インクルーシブデザイン」を通して、課題を見つけ、解決するヒントを探る

企業によるD&Iに寄与する取り組みには様々な手段がありますが、「インクルーシブデザイン」は、そのなかでもデザインの力を活かしながら、特定ユーザーの課題解決を目指す、実践的な手段です。

しかし、D&Iの視点から「解決すべき課題」を発見し、適切にプロジェクトをすすめていくことは、ハードルの高い取り組みでもあります。私たちが見落としがちな「課題のタネ」や「解決へのヒント」は、一体どこにあるのでしょうか。

本イベントではゲストとして、自身のお父さんが失読症になってしまったことをきっかけに、「OTON GLASS」を開発した、株式会社オトングラスの島影 圭佑さん、「ユーザー参加型」で進めるインクルーシブデザインを提唱されている京都大学総合博物館准教授 塩瀬 隆之さんのお二人が登壇。インクルーシブデザインに取り組むうえでの実践的な知見や気を付けるべきポイントについてご紹介いただきました。

イベントの見どころ

イベントにおける大きな議題となったのが、「困難を抱えるユーザーと対等な関係で向き合い、彼らと“ともに”プロジェクトを進める姿勢」です。ビジネスの視点からは、つい「企業対ユーザー」の関係にとらわれてしまいますが、インクルーシブデザインでは、この固定概念を大きく変える必要があるといいます。

島影さんは、「OTON GLASS」の開発から発展した取り組みである、弱視者とエンジニアをつなぐデザインリサーチプロジェクト「FabBiotope」について紹介。インクルーシブな取り組みから「自立共生を目指す」というビジョンについても語っていただきました。

塩瀬さんは、インクルーシブデザインを「誰かのために解決策を提案するもの」ではなく「当事者とともに進めるもの」として解釈する、ユーザー参加型のデザインについて解説。ユーザーとの対等関係を築くことから、新たなプロダクト・サービス開発の起点を生み出すアプローチを紹介されています。

そして、クロストークでは、実際に「プロジェクトを始める」「仲間を集める」「ユーザーと向き合う」ために必要なことについてディスカッション。セミナー参加者である企業担当者の皆さんからのリアルな質問も交えながら、熱のあるセッションが展開されました。

参加者からの声

  • 場に集う人たちの多様性のこと、ユーザーとの巻き込み巻き込まれの話、著作権のこと、どれもたいへん気づかされる内容で、とても良い話が聞けました。

  • 多様な人たちと一緒に課題解決をするなかで、各個人の熱量の違いを受容し、受け入れて進めていくという考え方は目から鱗でした。今後の新規事業の進め方として新たな視点が得ることができました。

  • 島影さんがおっしゃっていた、成果物に対する評価だけではなく、そのプロセスやそこから生まれた文化や物語も評価されるべきではないかという考えがとても素敵で、勇気をもらいました。

  • これまでインクルーシブデザインを自己流で進める中で、リードユーザーの選定などについて分からない部分が多かったのですが、今日のご講演にて非常に分かりやすく解説いただき、学びになりました。

イベント開催概要

イベント開催概要

誰かの困難に寄り添うためのプロジェクトの始め方・進め方 〜等身大の課題発見と、ユーザー参加型のデザイン

ダイバーシティやインクルージョンに寄与する新しいプロジェクトは「等身大」の課題意識から始まります。この等身大の課題意識をいかに見つけ、発展させるのか。OTON GLASS 島影 圭佑さん・京都大学准教授 塩瀬 隆之さんとともに、誰かの困難に寄り添うプロジェクトの目指し方を探ります。

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