SPCS|Season2「野生と手入れ」
with 植彌加藤造園 太田陽介、鷲田悟志
Finished イベント終了
- Date
-
2022-12-17 (Sat)
9:00-12:002023-01-14 (Sat)
9:00-12:002023-01-28 (Sat)
9:00-12:00
- Capacity
- 20名
- fee
- 10,000円(全3回通し価格)
Finished
About
「庭の手入れ」に、これから目指すべき指針を探す
全面的な生態系の保護を目指している言説の数々はあまりにもノスタルジックであり、自然の創出力について無知であるように思われる。しかし庭師は仲介者なのだから、思いがけない出会いの結び目に身を置きながら、生物の動きのひらめきや、ためらいについて助言することができる。(「動いている庭」ジル・クレマン)
今回、これからの持続可能な仕組み構築のために、「庭の手入れ」から問いや仮説を生み出すプログラムを実施します。フィールドは、東本願寺の庭園である渉成園。講師は、植彌加藤造園の庭師、太田陽介さんと鷲田悟志さん。東本願寺が伝える「多様性」や「全ての人を救う」という哲学を受けて、渉成園で「多様性とは何か」について向き合い続けています。
人間が感じる美しさとは何か?それはどのように更新されるものなのでしょうか?庭園という人工的な場において、人間と自然の持続可能な関係はどう構築されるのでしょう?
彼らの活動は自然をコントロールする造園ではなく、自然と協働する造園です。つまり、人の手や薬で自然を短期的に操作するのではなく、人のリソースを抑えて、自然の創り出す営みをデザインする取り組みです。今回のワークでは、春に向けて冬に行う大切な仕事である手入れ、「庭掃き」を体験します。落ち葉や草の存在を、エコシステムのアングルから、また、美しさという観点から観察し、どのように落ち葉を掃き、草を抜くのか、太田さんや鷲田さんと実践します。
座学やワークでさまざまな庭の手入れを体験しながら、さらに、得た気づきを言語化するために、渉成園の中に新たに作品(あるいは仕掛け)を置くとしたら、どんなものを作りたいか考えてみます。最終回では、アート・メディエーターとして、さまざまな社会課題と美術表現を繋げている、はがみちこさんに講評いただきます。庭園での3回のワークを通して、私たちの「美意識の更新」に挑戦してみましょう。
「庭掃き」は人間以外の生きものとの関係構築に直接的に働きかける活動
1849年に創業し、南禅寺や智積院などの京都の数々の名勝庭園を手がけてきた植彌加藤造園。長年培ってきた伝統技術による庭園管理や作庭はもちろん、庭園研究では庭師のみなさんが数々の論文も執筆。庭園を、自然と人間の交差点としての実験的なフィールドとして、伝統を守るだけでなく、未来に向けた多様性のあり方を提案し続けています。
365年前に建てられた渉成園も、利用用途も自然環境も違う現代においては、あり方が変わるはずです。人間にとっても、他の生きものにとっても無理なく共存できる環境をどのようにデザインすべきか。そのために、私たちの価値観はどのように更新されるべきなのか、生態学的視点/文化的視点の両面から研究・実験しています。
本プログラムでは、「庭掃き(=庭の手入れ)」に挑戦します。これは、人間が思う「美しい状態」と「自然にとって無理のない環境」のバランスをとる直接的な活動。マルチスピーシーズな視点で、どのような選択をするのか、実践を通して考えましょう。講師を勤める植彌加藤造園の太田さんの元々の専門分野はバイオテクノロジー、鷲田さんの専門分野は美術です。ふたりの視点と日々の実験からの学びは、これからのエコシステムをデザインしようとするすべての人にとってヒントとなるはずです。
関連記事
庭師はアート&サイエンスの実践者
美意識と秩序を更新する「手入れ」とは
渉成園の実験的な庭園管理について、植彌加藤造園の庭師、太田陽介さんに日々の試行錯誤を聞きました。生態系への介入と人間の美意識の更新の双方に働きかける取り組みは、人間と自然の新しい関係構築を考える全ての人にとってヒントとなるはずです。
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「ムダが生物多様性を支えている」ー生態学者、近藤倫生さんによるゲストレクチャー
ワークショップ初回のゲスト講師として、生態学者で「自然のバランス」が保たれる仕組みについて研究している、東北大学の近藤倫生教授にお越しいただきます。近藤さんは、2020年に「ムダの進化が生物多様性を支える」という研究内容のリリースを出されています。生態系におけるムダとは何か。私たちはどのように「ムダ」を捉えているのか、そしてどのように更新していけるのか、庭を切り口に考えます。
こんな方におすすめ
- 都市計画やランドスケープデザインにおいて植物との関わり方を模索している方、バイオフィリアデザインに関心のあるデザイナーや建築家、デベロッパー
- 植物や虫、微生物など、多様な生物との関わりを思索や表現につなげたい研究者やアーティスト
- 日本や東洋の文化・産業を、循環型社会や生物多様性などいま求められる価値観としてあらためてビジネスに落とし込みたいプランナーやデザイナー
SPCS|自然のアンコントローラビリティを身体化し、新たな共創関係を探究するコミュニティ
SPCS(スピーシーズ)は、プロトタイピングを通して自然との共創関係を探る活動です。人間が操作できない自然の力をいかにポジティブに捉え直し、クリエイティブに生かすシステムをデザインできるか?をお題に、毎シーズンさまざまな領域の講師を迎えてワークを実施。自然を人為的にコントロールするのではなく、創造的なアプローチを探究しています。また、自身の好奇心や課題感と自然のメカニズムをリンク・身体化させるべく、プロトタイピングや、スペキュラティブなアウトプットにチャレンジしています。
活動コンセプト/過去の活動についてはこちら >>
SPCS|スピーシーズ バイオロジカルデザインを探求するコミュニティ
Program
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12月17日(土)|庭園というバイオアート
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2023年1月14日(土)|手入れ
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1月28日(土)|プレゼンテーション
- 渉成園ツアー
- 太田陽介(植彌加藤造園)
- 渉成園で実践している多様性の取り組みを実際に歩きながら紹介いただく
- イントロダクション
- 質疑応答
- 庭園における手入れとは
- 参加者自己紹介
- 日々の生活であえて自然に委ねていることについて
- ゲストレクチャー「生物多様性とムダのデザイン」
- 近藤 倫生(東北大学大学院生命科学研究科 教授)
- 次回に向けて
- 手入れについて
- 太田陽介、鷲田悟志(植彌加藤造園)
- 宿題:「渉成園に置く作品を作るとしたら」のアイデアを考えてみる
- 手入れについて
- 庭の手入れ 1 | 砂利と落ち葉
- 庭の手入れ 2 | 草引き入門
- ワークショップ:作品アイデアのブラッシュアップ
- ワールドカフェ方式で各自のアイデアをシェア、ディスカッション
- 庭の手入れ 3 | 松の葉むしり
- 庭の手入れ 4 | 瀕死の桜の木と除草
- 作品プランの全体共有(90min)
- 講評:はがみちこ(アート・メディエーター)、太田陽介、鷲田悟志
- 交流会
概要
- 開催日(全3回)
-
- Day1:12/17(土)9:00-12:00
- Day2:1/14(土)9:00-12:00
- Day3:1/28(土)9:00-12:00
予備日
Day1,2の雨天時の予備日:1/21(土)9:00-12:00 - 定員
- 20名
- 参加費
- 10,000円(全3回通し価格)
- 会場
-
- 渉成園(京都府京都市下京区東玉水町)
- FabCafe Kyoto 2F(京都府京都市下京区本塩竈町554)
※毎回、ワークは渉成園、レクチャーとディスカッションはFabCafe Kyotoで実施予定。渉成園からFabCafe Kyotoは徒歩5分程度
- 主催
- FabCafe Kyoto / 株式会社ロフトワーク
- 企画協力
- 植彌加藤造園株式会社
- 助成
- 観光庁 既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業
- ご注意
-
- 申込多数の場合、抽選となる可能性がございます。ご了承ください。
- 参加者の皆さんの写真やプログラムの内容は後日loftwork.com/FabCafe Kyotoのウェブサイトに掲載する場合があります
- プログラムは、予告なく変更される場合があります。
- コミュニケーションツールはDiscordでおこないます(事前準備は不要です)
- 当日は底の柔らかい、汚れても良い靴でお越しください(ズックやスニーカーなど)
- 屋外のワークが含まれるため、雨天時の予備日として1月21日(土)を予定しています。
- 参加費は通し価格です。3回すべて参加できない場合も金額は変わりません。ご了承ください。
講師
植彌加藤造園株式会社, 植彌加藤造園株式会社
太田 陽介
嘉永元年(1848)創業、植彌加藤造園の職人。東本願寺・渉成園の担当を務める。渉成園内に息づく生物多様性を守るため、創意工夫を凝らしながら育成管理に励む傍らで、京都の景色に欠かせない東山の林相改善事業の整備や研究にも勤しむ。いきもの全般に愛着を持ち、生物の視点から庭を見ることに重きを置いて渉成園に携わる。自然界にあるものは「とりあえず何でも食べてみる」主義。
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嘉永元年(1848)創業、植彌加藤造園の職人。東本願寺・渉成園の担当を務める。渉成園内に息づく生物多様性を守るため、創意工夫を凝らしながら育成管理に励む傍らで、京都の景色に欠かせない東山の林相改善事業の整備や研究にも勤しむ。いきもの全般に愛着を持ち、生物の視点から庭を見ることに重きを置いて渉成園に携わる。自然界にあるものは「とりあえず何でも食べてみる」主義。植彌加藤造園株式会社, 植彌加藤造園株式会社
鷲田 悟志
嘉永元年(1848)創業、植彌加藤造園の職人。東本願寺・渉成園の担当を務める。理性を超えた芸術作品としての日本庭園の魅力に惹かれ、庭づくりに携わる職人。学びを深めた現代美術をバックボーンに、日本庭園と芸術・文人文化をより密につなげていくことを目標として日々の手入れに勤しんでいる。渉成園では、「五感を楽しむ庭ガイド」や「煎茶講座」の企画も担当している。
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嘉永元年(1848)創業、植彌加藤造園の職人。東本願寺・渉成園の担当を務める。理性を超えた芸術作品としての日本庭園の魅力に惹かれ、庭づくりに携わる職人。学びを深めた現代美術をバックボーンに、日本庭園と芸術・文人文化をより密につなげていくことを目標として日々の手入れに勤しんでいる。渉成園では、「五感を楽しむ庭ガイド」や「煎茶講座」の企画も担当している。ゲスト講師
東北大学大学院生命科学研究科 教授
近藤 倫生
京都大学大学院理学研究科にて生態学を専攻。理論生態学分野での研究を推進。2018年、環境DNA学会を設立し初代学会長に着任。2019年、全国の産官学民の参加する環境DNAを利用した生物多様性観測網ANEMONEを立ち上げ主催。2022年、ANEMONE観測情報の公開データベースANEMONE DBを発表するとともに、データ活用と観測の発展を目指す産官学のANEMONEコンソーシアムを設立し代表に就任。あらゆる人々の参加する自然の自治管理システムのあり方を探っている。感情や共感の湧き上がる豊かな「パーソナルな世界」と客観性と批判精神で進むパワフルな「科学の世界」をどう結びつけるかが長年の課題。
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京都大学大学院理学研究科にて生態学を専攻。理論生態学分野での研究を推進。2018年、環境DNA学会を設立し初代学会長に着任。2019年、全国の産官学民の参加する環境DNAを利用した生物多様性観測網ANEMONEを立ち上げ主催。2022年、ANEMONE観測情報の公開データベースANEMONE DBを発表するとともに、データ活用と観測の発展を目指す産官学のANEMONEコンソーシアムを設立し代表に就任。あらゆる人々の参加する自然の自治管理システムのあり方を探っている。感情や共感の湧き上がる豊かな「パーソナルな世界」と客観性と批判精神で進むパワフルな「科学の世界」をどう結びつけるかが長年の課題。アート・メディエーター
はが みちこ
1985年岡山県生まれ。2011年京都大学大学院修士課程修了(人間・環境学)。『美術手帖』第16回芸術評論募集にて「『二人の耕平』における愛」が佳作入選。主な企画・コーディネーションとして「THE BOX OF MEMORY-Yukio Fujimoto」(kumagusuku、2015)、「國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト」(2017〜)、菅かおる個展「光と海」(長性院、Gallery PARC、2019)など。京都市立芸術大学芸術資源研究センター非常勤研究員。浄土複合ライティング・スクール講師。
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1985年岡山県生まれ。2011年京都大学大学院修士課程修了(人間・環境学)。『美術手帖』第16回芸術評論募集にて「『二人の耕平』における愛」が佳作入選。主な企画・コーディネーションとして「THE BOX OF MEMORY-Yukio Fujimoto」(kumagusuku、2015)、「國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト」(2017〜)、菅かおる個展「光と海」(長性院、Gallery PARC、2019)など。京都市立芸術大学芸術資源研究センター非常勤研究員。浄土複合ライティング・スクール講師。全3回のワークショップの通しチケットです/Day3の交流会が含まれます