寄生から行動変容を促すデザインを探究する実験プログラム
SPCS Season5 "Killing Me Softly"
Finished イベント終了
- Date
-
2024-05-12 (Sun) -
2024-07-06 (Sat)
- Time
- 各回の時間はプログラム詳細を参照
- Place
- FabCafe Kyoto / オンライン
- Capacity
- 20名
- fee
- 30,000円(学生割引/SPCS割引:15000円) 全5回通し価格/学生と過去のSPCSワークショップに参加した方は抽選でそれぞれ3名半額割引適用
Finished
About
菌に寄生されてコントロールされる、いわゆるゾンビアリ。この現象にインスピレーションを得て、人間と自然の関係を反転させるロボットを作ったバイオアーティストのアナ・ローラ・カンテラさんをゲストに迎え、彼女の思考をトレースして、自分だけの寄生装置を作るワークショップを京都・バルセロナの2拠点を繋いで開催します。プロトタイピングにはソニーのIoTツールMESHがバックアップ。異なる自然観を持つメンバーと自然と人間の関係を反転させる思考実験をするという稀有な機会。ぜひご参加ください。
「寄生」をキーワードに、行動変容を促すデザインを探究する
産業発展に伴って人間が制御してきた(と思っていた)自然。今、これまでの人間活動で生態系のバランスが崩れ、人間にとっても直接的な脅威をもたらしています。喫緊の行動変容が求められていますが、従来の生活様式を保ったまま行動変容するのは難しいもの。そこで今回、人間が人間以外の生物に寄生されることで、強制的かつ無意識的な行動変容を促す装置をプロトタイピングします。従来の人間と自然の関係をダイナミックに反転させることで、新しい体験やUXのヒントを探してみましょう。
本ワークショップのもうひとつのねらいは、環境情報を捉える視点を養うことです。生物多様性の重要性やネイチャーポジティブが叫ばれる中、その多様な環境/生態情報をどのようにセンシング・分析し、活動に繋げていくかという点は、これから我々が身につけていくべき大事な視点ではないでしょうか。今回のワークで多様な領域のメンバーと共に探究したいと思います。
バイオアーティストAna Laura Canteraの思考をトレースする
ゲスト講師は、アルゼンチンを拠点に活躍するバイオアーティスト、Ana Laura Canteraさん。彼女は「Invisible cartographies」という、ロボット(人間)の動きが別の生物(作品ではキノコ)によってコントロールされるという、ゾンビアリ(※)にインスピレーションを得た作品を作っています。ワークでは、「Invisible cartographies」の背景にある彼女の思考を一緒にたどり、この作品をベースにして、自分自身が別の生物にコントロールされる装置をプロトタイプします。
※ ゾンビアリ:タイワンアリタケ(Ophiocordyceps unilateralis)という菌によって寄生されたアリのことを、身体を操作されて木に登り胞子を撒き散らすことから、俗称でゾンビアリと呼ぶことがある。
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ソニー「MESH™」の協力でプロトタイピング
今回のワークショップでは、参加者のアイデアをプロトタイプするため、各参加者にソニーのIoT実装ツール「MESH™(メッシュ)」のブロックを1セット貸与します(参加者が自分で用意したツールを用いてプロトタイプすることも可能です)。
MESH™
入力や出力の機能をもつIoTツールで、センサーなどのブロックと身近なものを組み合わせ、プログラミングによって仕組みを作成できます。無線でつながるセンサーなどの「MESHブロック」、視覚的にプログラミングできる「MESHアプリ」、そしてMESHアプリ上で使えるソフトウェアの機能やロジックの「ソフトウェアブロック」の3つのパートから構成されています。普段からプログラミングをあまりしていない人でも使いやすいツールとして、義務教育教材としても活用されています。
ハリガネムシの研究から寄生をめぐるダイナミックなエコシステムを捉える
Day1では、京都大学生態学研究センター准教授の佐藤拓哉さんのインプットトークがあります。佐藤さんは、寄生生物のハリガネムシと宿主となる昆虫との関係と、川全体のエコシステムの関連を研究しています。佐藤さんが手がけられた「寄生者(ハリガネムシ類)が駆動する渓畔生態系のエネルギー流(Nematomorph parasites drive energy flow through a riparian ecosystem)」という論文は、「これまで見過ごされていた寄生虫が、森林と河川という異質な生態系をつなぐ大きなエネルギー流を駆動していることを明らかにした世界でも初めての研究(京都大学「寄生者(ハリガネムシ類)が駆動する渓畔生態系のエネルギー流の解明」参照)」とのこと。
佐藤さんのトークを聞いた上でプログラムに取り組むことで、「寄生する/される」だけの関係に止まらない、大きなエコシステムの視点を持ちながら思考を広げることができるのではないかと思います。
Program
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Day1|レクチャー (オンライン)
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Day2|シェア&ディスカッション (オンライン)
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Day3|テクニカルセッション (京都/バルセロナ現地開催)
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Day4|プロトタイプアイデアシェア/テクニカルアドバイス(オンライン)
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Day5|プレゼンテーション(京都/バルセロナ現地開催)
5/12(Sun). 20:00-22:00 @Online (13:00-15:00 @Barcelona)
プログラム
- イントロダクション
- プレゼンテーション1|Ana Laura Cantera(バイオアーティスト)
- 活動紹介、“Invisibles cartographies”の作品の背景・意図など
- プレゼンテーション2|佐藤拓哉(生態学者)
- 寄生をめぐる生態系システム
- プレゼンテーション2|萩原丈博(MESH開発者)
- MESHの紹介(機能、事例など)
- プロトタイピングにあたっての基本的な考え方
宿題
- 自分のゾンビアリ装置のアイデアを考える
- 寄生する生物(トリガーになる非人間の生物や環境変化)
- 寄生されるもの(コントロールされるもの、人工物、人間の行動)
- トリガーとなる環境変化(センシングするもの、インプット)
- 促したい物理的なコントロール(アウトプット)
- 何をセンシングできると実現できそうか
- このアイデアの理由・背景
5/26(Sun)20:00-22:00 @Online (13:00-15:00 @Barcelona)
プログラム
- アイデアプレゼン&フィードバック
宿題
- アイデアのブラッシュアップ
- プロトタイプの設計図
6/8(Sat) 17:00-19:00 @FabCafe Kyoto (10:00-12:00 @Barcelona)
プログラム
- MESHの説明
- 練習
- 各自のアイデアをプログラムしてみる
- シェア&フィードバック
- 交流会
宿題
- 設計図のブラッシュアップ
- アイデアのプロトタイピング
6/22(Sat) 19:00-21:00 @Online (12:00-14:00 @FabCafe Barcelona)
プログラム
- プロトタイプのシェア
宿題
- 最終作品の制作
7/6(Sat) 19:00-21:00(17:00開場)@FabCafe Kyoto. (12:00-14:00 @FabCafe Barcelona)
※ FabCafe KyotoおよびFabCafeBarcelonaは開始の2時間前に会場を解放します。プレゼンテーションのため、作品の準備が必要な方は早めに来てご準備いただけます。
プログラム
- 最終作品のプレゼンテーション
- 交流会
概要
- 開催日(全5回)
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- Day1:5/12(Sun) @オンライン
- Day2|5/26(Sun)@オンライン
- Day3|6/8(Sat) @FabCafe Kyoto / FabCafe Barcelona
- Day4|6/22(Sat) @オンライン
- Day5|7/6(Sat) @FabCafe Kyoto / FabCafe Barcelona
- 定員
-
20名
- 国内参加10名(組)、スペイン参加10名(組)
- チーム参加も可能(1組3名まで)
- 参加費
-
30,000円
※ 全5回通し価格/学生(5名)と過去のSPCSワークショップに参加した方(3名)は先着で半額割引 - 会場
-
- Day1,2,4:オンライン
- Day3,5:FabCafe Kyoto(京都府京都市下京区本塩竈町554)、FabCafe Barcelona(C/ Victoria, 1, 08003 Barcelona)
- 主催
-
SPCS(FabCafe Kyoto / 株式会社ロフトワーク)
こんな方におすすめ
- 日本や東洋の文化・産業を、循環型社会や生物多様性などいま求められる価値観としてあらためてビジネスに落とし込みたいプランナーやデザイナー
- 自然や環境と人間の関わり方をクリエイティブな方法で探ることに興味のある方
- 植物や虫、微生物など、多様な生物との関わりを思索や表現につなげたい研究者やアーティスト
- 都市計画やランドスケープデザインにおいて植物との関わり方を模索している方、バイオフィリアデザインに関心のあるデザイナーや建築家、デベロッパー
- サーキュラーデザインに取り組んでいる企業の企画およびR&D担当の方
- 生物学やバイオロジカルデザインに興味があるが、探求の仕方や一時情報の収集方法を学びたい方
参加条件
- プログラミングや電子工作を自主的に学ぶ姿勢のある方
- 初心者向けの事前課題を出しますので、Day3のテクニカルセッションまでに各自MESHアプリを事前にダウンロードした上で実施ください
- MESHの推奨動作環境を満たしている機器をご自身でご用意できる方
- iOS / iPadOSまたはAndroidのスマートフォンまたはタブレット(タブレットを推奨)
ご注意
- 今回のワークはプログラミング/エンジニアリングの要素があります。必ずしもハイレベルな技術は必要としませんが、プログラミングや電子工作を自主的に学ぶ姿勢のある方のご参加をお願いします。なお、今回は、チームでの応募も受け付けます。工学分野が苦手な方は、実装を得意とするメンバーとのチーム参加もご検討ください。
- 本イベントは抽選を行います。結果は4/26(金)までにお知らせのうえ、落選となった方は参加費を返金いたします。
- 本プログラムは英語をメインに、適宜日本語の自動翻訳ツールや逐次通訳を入れながら進行します。完璧な翻訳は難しい点をご承知ください。苦手な方も積極的に英語コミュニケーションに取り組んでいただけると幸いです。
- 参加者の皆さんの写真やプログラムの内容は後日loftwork.com/FabCafe Kyotoのウェブサイトに掲載する場合があります
- プログラムは、予告なく変更される場合があります。
- 京都/バルセロナの参加者の人数比は変わる可能性があり、集客状況によっては1会場のみでの開催になる可能性があります。
- コミュニケーションツールはDiscordでおこないます(事前準備は不要です)
主催
Organizers
協力
ゲスト
UNITREF University, バイオエレクトロニック・アーティスト、研究者、教授
Ana Laura Cantera
バイオエレクトロニック・アーティスト、研究者、教授。国立トレスデフェブレロ大学(UNTREF)でエレクトロニック・アートの修士号を取得。ラスアルテス大学(UNA)でビジュアル・アートの学士号と、アート教育の学位を取得する。彼女の作品は、自然、地域、人間以外の生物との対等な関わり合いをコンセプトにしている。設立した菌糸体についての研究ラボ、Mycocreaでは、デザインを成長させ、新しいバイオマテリアルの研究を行っている。最近では、MITのGlobal Community Bio Fellowsにてフェローシップを授与し、コンコルディア大学でのELAP Emerging Leaders in the Americas Programを修了。Itaú Artes Visualesではロボティック・アート部門で最優秀賞を受賞した。
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バイオエレクトロニック・アーティスト、研究者、教授。国立トレスデフェブレロ大学(UNTREF)でエレクトロニック・アートの修士号を取得。ラスアルテス大学(UNA)でビジュアル・アートの学士号と、アート教育の学位を取得する。彼女の作品は、自然、地域、人間以外の生物との対等な関わり合いをコンセプトにしている。設立した菌糸体についての研究ラボ、Mycocreaでは、デザインを成長させ、新しいバイオマテリアルの研究を行っている。最近では、MITのGlobal Community Bio Fellowsにてフェローシップを授与し、コンコルディア大学でのELAP Emerging Leaders in the Americas Programを修了。Itaú Artes Visualesではロボティック・アート部門で最優秀賞を受賞した。京都大学, 生態学研究センター 准教授
佐藤 拓哉
1979年、大阪府生まれ。京都大学生態学研究センター・准教授。博士(学術)。在来サケ科魚類の保全生態学および寄生者が紡ぐ森林-河川生態系の相互作用が主な研究テーマ。2002年、近畿大学農学部水産学科卒業。2007年、三重大学大学院生物資源学研究科博士後期課程修了。以後、奈良女子大学共生科学研究センター、京都大学フィールド科学教育センター日本学術振興会特別研究員(SPD)、京都大学白眉センター特定助教、ブリティッシュコロンビア大学森林学客員教授、神戸大学大学院理学研究科准教授を経て、2021年10月より現職。日本生態学会「宮地賞」をはじめ、「四手井綱英記念賞」、「笹川科学研究奨励賞」、「信州フィールド科学賞」などを受賞している。
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1979年、大阪府生まれ。京都大学生態学研究センター・准教授。博士(学術)。在来サケ科魚類の保全生態学および寄生者が紡ぐ森林-河川生態系の相互作用が主な研究テーマ。2002年、近畿大学農学部水産学科卒業。2007年、三重大学大学院生物資源学研究科博士後期課程修了。以後、奈良女子大学共生科学研究センター、京都大学フィールド科学教育センター日本学術振興会特別研究員(SPD)、京都大学白眉センター特定助教、ブリティッシュコロンビア大学森林学客員教授、神戸大学大学院理学研究科准教授を経て、2021年10月より現職。日本生態学会「宮地賞」をはじめ、「四手井綱英記念賞」、「笹川科学研究奨励賞」、「信州フィールド科学賞」などを受賞している。ソニーマーケティング株式会社, MESH事業室 室長
萩原 丈博
ソニー入社後、ネットワークサービスの企画開発や、機械学習など知的情報処理の研究開発に従事。2011年-2012年スタンフォード大学訪問研究員として、Human Computer Interaction領域で研究。2012年にMESHの原型となるプロジェクトをスタートし、2015年に事業化。 MESHは現在、全国各地の小学校プログラミング教育や、大学などの高等教育、社会人の研修等に活用されている。コンピューターテクノロジーを文房具のように誰でもアクセス可能なものにすることで、人々の創造性を支援していくことを目指している。MESHはグッドデザイン未来づくりデザイン賞、キッズデザイン優秀賞など受賞。
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ソニー入社後、ネットワークサービスの企画開発や、機械学習など知的情報処理の研究開発に従事。2011年-2012年スタンフォード大学訪問研究員として、Human Computer Interaction領域で研究。2012年にMESHの原型となるプロジェクトをスタートし、2015年に事業化。 MESHは現在、全国各地の小学校プログラミング教育や、大学などの高等教育、社会人の研修等に活用されている。コンピューターテクノロジーを文房具のように誰でもアクセス可能なものにすることで、人々の創造性を支援していくことを目指している。MESHはグッドデザイン未来づくりデザイン賞、キッズデザイン優秀賞など受賞。ソニーマーケティング株式会社, MESH事業室 プロダクトプランナー
村田 華蓮
大学ではHapticsがテーマの研究室に所属し、VR/AR空間における触覚、特に柔らかさ提示に関して研究。大学院卒業後、ソニーへ入社。R&Dにて立体音響技術を用いたインタラクション技術の開発や、新規UX提案・開発リードを担当。2024年よりMESHチームへジョインし、現在MESHの次世代を探索中。学生時代のメキシコでの留学経験を経て、IT分野のジェンダーギャップ解消などへも関心を持つ。
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大学ではHapticsがテーマの研究室に所属し、VR/AR空間における触覚、特に柔らかさ提示に関して研究。大学院卒業後、ソニーへ入社。R&Dにて立体音響技術を用いたインタラクション技術の開発や、新規UX提案・開発リードを担当。2024年よりMESHチームへジョインし、現在MESHの次世代を探索中。学生時代のメキシコでの留学経験を経て、IT分野のジェンダーギャップ解消などへも関心を持つ。オーガナイザー
浦野 奈美
株式会社ロフトワーク
マーケティング/ SPCS
土田 直矢
株式会社ロフトワーク
テクニカルグループ テクニカルディレクター
ジーナ・グーズビー
株式会社ロフトワーク
FabCafe Global / BioClub
木下 浩佑
株式会社ロフトワーク
FabCafe Kyoto ブランドマネージャー