SPCS Talks vol. 9
先住民の農業とレジリエンス
ゲスト:マイケル・コトゥトワ・ジョンソン
Finished イベント終了
- Date
-
2024-07-10 (Wed)
10:00-11:00
- Place
- Zoomミーティング
- fee
- 無料
Finished
About
何千年もの間、ホピ族は現在のアリゾナ州の乾燥した気候の中で乾地農業を発展させてきました。マイケル・コトゥトゥワ・ジョンソンは、253代目の農業従事者としてその遺産を受け継ぎ、先住民の知識と慣習の復活、そして文化的慣習としての土地耕作の再評価を提唱しています。世界的に環境や地域に根ざした産業のあり方が見直されている中で、ジョンソン氏の活動は我々に様々な視点を見せてくれるでしょう。
※ 本イベントは英語で開催されます
アメリカ先住民の農業文化にレジリエンスを学ぶ
多くの地域で、夏と干ばつは同義語になりつつあります。干ばつは作物の不作を招き、その土地で生活する人々にとって苦難を与えます。しかし過去3000年もの間、ホピ族は年間降水量が平均20~25cmしかないアメリカ南西部で暮らし、農業を営んできました。彼らの伝統的な乾地耕作の技術は、一見不毛としか思えないような土地で、何世代にもわたって自給自足することを可能にしてきたのです。
マイケル・コトゥトゥワ・ジョンソンさんは、はホピ族の一員であり、先住民のレジリエンス(回復力)に関する研究者であり実践者です。彼はアリゾナ州北部のホピ族居留地で、伝統的な技術を使って先祖代々の土地を耕し、灌漑なしでトウモロコシ、豆、カボチャを栽培しています。アリゾナ大学自然資源環境学部において先住民の回復力に関する専門補佐として活動するジョンソンさんは、先住民の知識を現代の農法に統合することを提唱しています。
9回目のSPCSトークでは、単なる技術ではなく、数千年前から続くコミュニティと精神生活の礎石としてのホピ族の乾燥地農法に関するジョンソン氏の取り組みに焦点を当てます。彼は、修復的であり、土地だけでなくそこに依存する人々をも癒す農業を目指しています。気候は日本と大きく異なるものの、伝統的な農業が文化として存在していることや、そうした伝統的な農法が気候危機の解決策になりうること、さらに、気候危機によって農業文化が脅かされているという点では、ホピ族と日本に共通点も見いだせそうです。
世界的に地域に根ざした産業のあり方が見直されている中、ともすると、機能としての経済循環とそのインパクトだけで活動を推しはかってしまうこともあるのではないでしょうか。ジョンソンさんの活動は、産業における土地とのつながりや文化、アイデンティティの必然性を我々に投げかけます。
土地に根付いた技術や文化を現代に繋げるための態度とは
ホピの農業の中心は「土地」です。肥料や灌漑で土地を作物に順応させるのではなく、植え方や時期を変えることで土地に順応していきます。また、耕作という行為は、環境と自分の故郷である場所に貢献する一方で、必要以上のものは取らないという価値観に根ざしています。ジョンソンさんは、こうした場所に基づく価値観というものが、現代農業にとって技術やテクノロジーと同様に重要な要素だと考えています。
近年、不耕起農法など土壌の健全性を維持する技術を用いた再生農業やその他の運動が盛んになっています。世界各国では、農業従事者や研究者が、急速に不安定化する気候に適応しながら、農家と環境の両方にとってより持続可能な農業を実現する方法を模索しています。
一方で、さまざまな経済活動において、変化する環境に順応していくためには、手法だけでなく態度の転換も必要です。たとえば、再生農業では、しばしば先住民族の伝統的な農業を参考にし、古い知識を現代の問題に生かそうとしています。古くからその土地に受け継がれてきた技術、そしてそれを支える信念を現代の研究手法と結びつけることで、私たちは新たなつながりや機会を見出し、世界中の地域社会で価値を創造することができるのではないでしょうか。
こんな方におすすめ
- 異なる文化圏の再生農業やグローバルな農法に関心を持つ方
- 再生農業、土地に根ざした循環型経済の実践に関わろうとしている方
- 社会・環境課題へのインパクト創出を目指す投資家や金融機関の方
- 食料主権、先住民の権利、文化に基づくコミュニティの組織化に関心のある農業従事者や研究者の方
参考記事
ジョンソン博士と彼の活動については、以下の資料を参照ください。
- 『Inhabitants』(アメリカ先住民の5部族が伝統的な土地管理方法を取り戻す様子を描いた長編ドキュメンタリー)
- A Hopi farmer is using ancient practices to grow crops in Arizona — with no irrigation(NPR系列KJZZ)
- 「Growing Indigenous resilience」(アリゾナ大学による特集動画)
Program
- 10:00-10:10
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イントロダクション、ゲスト紹介
- マイケル・コトゥトワ・ジョンソン(アリゾナ大学自然資源環境学部 専門補佐)
- ジーナ・グースビー(モデレーター)
- 10:10-10:30
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プレゼンテーション「先住民族の農業とレジリエンス」
- マイケル・コトゥトワ・ジョンソン
- 10:30-10:55
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質疑応答
※ 視聴者はライブストリーミング中、またはイベント登録フォームから質問することができます- マイケル・コトゥトワ・ジョンソン
- ジーナ・グースビー
- 10:55-11:00
- クロージング
Information
- 開催日
- 2024年7月10日(水)10:00-11:00 JST
- 参加費
- 無料
- 会場
- Zoom(登録者にURLをお知らせします)
- 主催
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SPCS(株式会社ロフトワーク)
- ご注意
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- 本プログラムは英語で開催します
- 参加者の皆さんの写真やプログラムの内容は後日loftwork.com/FabCafe Kyotoのウェブサイトに掲載する場合があります
- プログラムは、予告なく変更される場合があります。
SPCS|自然のアンコントローラビリティをを探究するコミュニティ
SPCS(スピーシーズ)は、プロトタイピングしながら、生態系のメカニズムを探究し、自然をコントロールしないデザインや、人間以外の種との創造的な共創関係を探究するコミュニティです。
自然科学、デザイン、アート、エンジニアリング、文化などが複合的に混ざり合った活動を領域横断で取り組むことで、技術や知識を開き、価値観や手法をアップデートすべく、活動しています。
SPCSが目指していることは、「自然をコントロールしないデザイン」の探究によって、人と自然の創造的な共創関係を創造することです。
>> 活動コンセプト/過去の活動
Guest
アリゾナ大学, 自然資源環境学部 専門補佐
マイケル・コトゥトワ・ジョンソン
Moderator
株式会社ロフトワーク, FabCafe Global / BioClub
ジーナ・グーズビー
アメリカ合衆国出身。ペンシルバニア州のスワスモア大学で日本言語学部とコンピューター工学部を卒業。在学時は同志社大学に留学し、在日コリアンについて研究。コロナ禍の2年間、LGBTQ+や少数民族を軸とした書籍を扱うサブスクリプションビジネスを起業。ゆえんのメンバーとして資源・知識循環の改善を支援し、地域の魅力を世界に見せることに奮闘している。プログラミングを通じて夢をWebページなどで再現することが好き。