なぜ今、フリーペーパー?
Web系企業の広報が紙メディアをがんばる理由
「なんで、今、フリーペーパーなんですか?」に答えます。
こんにちは。PR / コミュニケーションディレクターの中田です。
4月、ロフトワーク発のタブロイド判フリーペーパー『季刊LOFTWORK』が無事創刊されました。手にとった方々からは好意的なコメントもいただいていまして、本当に嬉しい限りです。
ただ、それと一緒によく届くのが、「でも、なんで、今、フリーペーパーなんですか?」という声。
特にロフトワークは、Webを通じた情報発信に積極的な企業です。それだけに「なぜ、紙?」と思われる方も多いようです。今日はそのあたりの舞台裏と、つくり方について広報PRの立場からちょっとまとめてみました!
「年1回の会社案内をもっとタイムリーに出したい」がキッカケ
ロフトワークとお付き合いの長い方は、年1回発行される“恒例の”会社案内をご存知のはず。
2010年頃から私たちは、前年の活動やその年に考えていることを、雑誌のような読み物形式でまとめ、発行してきました。入社以来、私も毎年編集に携わってきたのですが、ときには120ページの大作になることも!
今回のフリーペーパーは、この年1回の会社案内をさらに細かく分割して、よりフレッシュな内容で年4回発行しよう!というアイデアから生まれました。
紙メディアに期待していること3つ
1. テーマの深堀りを期待!
Webメディアはコンテンツ単位で広く拡散されていき、効果測定もしやすく、広報PRとしては取組み甲斐もあります。ただし、記事単位でバラバラに広まって行くので、メディア全体のメッセージを伝えるには不向き。
一方、紙メディアの場合は、情報の強弱をつけ、テーマを深く掘り下げられます。『季刊LOFTWORK』では、ロフトワークの持つloftwork.com、OpenCU、FabCafeといった様々なサービスを横断して、毎号1つの特集テーマを丁寧に届けることにこだわっています。
「色々やっていて何の会社だかわからない」と言われがちな私たち。フリーペーパー上で、キーワード単位で発信していくことで、自分達の姿を届けようとしています。
2. 手元に届くギフト役を期待!
また、紙メディアは、ひとつずつ、物理的に手元に届けられるのも良いところ。
『季刊LOFTWORK』は印刷部数の約3分の2を、贈り物のつもりでクライアントやパートナーに直送しています。もちろん、届いたところで開いて読んでもらえるかは別なのですが……開ける瞬間まで考えてデザインし、マーケティング部門のCRMチームと連動して発送しています。
「自分に向けて届けられたもの」と感じてもらえるようにお届けすること。それが、季刊紙編集部のミッションでもあります!
3. 偶然の出会いに期待!
そして何より、紙メディアはリアルな世界での「偶然の出会い」も生んでくれます。
「たまたまお茶をしに立ち寄ったFabCafeで見つけた」「ワークショップに参加した会場に置いてあった」「セミナー帰りの同僚がもらってきて目にとまった」…などなど。
デジタルものづくりカフェだったり、学びのネットワークだったり、私たちは、Webで繋がることとリアルで出会うことの両方が重なったときに生まれるパワーを信じています。だからこそ、WebコンテンツがSNSの海をビューンと飛んで偶然の出会いを生むように、リアルな場でもやわらかく種を運んでくれる、そんな役割をフリーペーパーに期待しています。
「退屈なPR誌」をつくらないために、心に決めたこと3つ
以上が、「広報PR担当者」として考えていること。一方で、「自社メディア編集者」としての私は、「PRを目的とした企業メディアはうっかりすると果てしなく退屈なものになる」ということを忘れないように肝に銘じています。
もちろん、その域を出られるか出られないかは、これからの頑張り次第なのですが、心に決めているルールは次の3つ。
1. 編集部のメンバー構成比を「社内<社外」にする
元気があって、ワクワク感を共有できて、しかも忌憚ない意見を出してくれるクリエイターと編集部をつくる!
フリーペーパーの創刊を決めたときから、これは絶対条件でした。
そこで、私がまず最初にしたのは、大好きなコピーライティングチーム・Rockakuの森田さん&丸山さんへの「一緒に編集部つくりませんか?」というお声掛け。そして「一緒にワクワクしながら仲間になってくれそうなデザイナーを紹介してください!」と畳み掛けるようにお願いして、IDEASKETCHの山口さん&阿久津さんに出会いました。そんなご縁で、私たちは、社内外比=1:4の5人編集部です。
創刊前の企画から毎号の内容・デザイン的なアイデアまで、この編集部全員でディスカッションしています。外部の視点が入ることで、「ここ、ロフトワークっぽい」「それは遠慮せずに出すべき!」など社内だけではたどり着けないような気付きもたくさん。
さながらバンドのようなチームワークを見せるようになってきた今日この頃。ありがたい!そして楽しいです!
2. 前号のフォーマットにとらわれない
紙メディアの良いところは、毎号完結しているところ。発行後に修正することはできませんし、面積や情報量には制約がありますが、テンプレートや仕様に縛られることはありません。(特に、創刊したばかりの頃は!)
現在は2号目の企画段階。「表紙の”顔ハメ”をシリーズ化する?どうする?」「特集のページ構成比を変えよう!」「中ページの見開きで思いっきり遊ぼう!」「外にどんどん取材してみよう」などなど、アイデアは拡散するばかり(収束しなくては、ですが)。
3ヶ月に1号という季刊誌のほどよいサイクルを活かして、実験と遊びを続けることで鮮度を保っていきたいです。
3. 作っている本人が一番ワクワクする
もしかしたら、私の役割ってほとんどここなのでは……と思う今日この頃。
とにかく自分がワクワクするように企画すること、チームがワクワクしてくれるように伝える言葉を探すこと。それが紙面にもにじみ出ている、はず!
(右の写真は、まだ編集部もなく、ひとりぽっち担当だった時の私。社内に壁新聞をはって、フリーペーパーの構想と妄想を書き連ねては、スタッフに声をかけて意見をきいてました。「なんか、楽しそうだね」とよく言われていました……。本当は淋しかったのは内緒です)
おまけ:『季刊LOFTWORK』を読むには?
以上、『季刊LOFTWORK』の裏話でした。部数に限りがあるので、配送は、一部のクライアント・パートナーのご担当者のみになってしまっていますが、以下のような場所でも配布中です。見かけた方はぜひゲットしてくださいね! 第2号は2014年7月末に発行予定です。
- FabCafe Tokyo
- loftwork Lab(ロフトワーク10階イベントスペース)
- ロフトワーク主催のセミナー
- 各種協力スペース(Lamp harajuku(東京)、SHIBAURA HOUSE(東京)、京都リサーチパーク町家スタジオ(京都)、field lab(京都)、イズライフ(小豆島))
※2014年現在の情報です
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