ロフトワークの全員合宿といえば、様々な地域に滞在して開催するキャンプ型プレゼン大会。これまで新潟や京都、千葉、小豆島、昨年はついに海外・台湾へ。

そして今年は、今春設立した新会社「(株)飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)」の拠点、飛騨古川に全社約90名で訪れ、ヒダクマの事業のひとつ「FabCafe Hida」となる古民家のリノベーションを行ってきました。(建築家の方など関係者を含めると総勢100名!)
手がける物件は、なんと江戸から昭和までの歴史がつまった伝統あるお屋敷。この建物が本来もつ機能や文化を見立てることを念頭におきながら、ものの整理・解体やケレン(錆などを削り落す)・ケンマ(研磨)など、通常なら施工業者にお願いするようなことに挑戦してきました。

飛騨古川の美しい街並みや文化、そして普段はデスクワークが多いロフトワーカーたちの「本気リノベ」の様子を、写真とともにお送りします!

1日目:飛騨へ出発! 街巡りと早速本気ワーク

この春開通したばかりの北陸新幹線でテンションがあがるロフトワークメンバー。

烏丸チームはバスで飛騨古川までひとっ走り、渋谷チームはこの春開通したばかりの北陸新幹線で富山を経由して、バスで現地で合流! 合宿委員の松本が合宿の流れを説明する中、おいしいランチに舌鼓を打ちながら、あっという間に古川に到着しました。

こちらはFabCafeのFabサービス「テープクリエイター」でつくった名前シール。これで90名の荷物も混ざらない!

まずは飛騨市役所で、市役所のみなさんとご挨拶。各チームに分かれて、これから街巡りに出かけます。

飛騨のきれいな淡水に生きるたくさんの鯉たちは、冬の間雪のない場所へ運ばれ、暖かくなるとこの川に戻ってきます。

「どーん!」

古川の人が「一年で一番大事な日」と言う古川祭の見所のひとつ、「起し太鼓」。太鼓の乗った山車に男性たちが乗って街じゅうを巡り、美しい水で醸造された日本酒を飲み、一年安全に過ごせるよう老若男女が一丸となって盛り上がるそうです。

そして日本酒好きが多いロフトワーカー大喜びの、酒蔵見学。蒲酒造さん渡辺酒造さん、ありがとうございました!

「おいしい〜!」

飛騨の匠文化館」は、飛騨の匠の技術が注ぎ込まれ、建物自体が貴重な資料。建物の解説を聞いたり、組み木や継手の技術に実際に触れたり、謎解きのような技術に驚きの連続でした。(文化館の建築構造は釘など金属が一切使われておらず、全て木材でできている!)

「匠」の漢字をベースにした、法被のロゴがかっこいい…。

難易度初級の千鳥格子。ヒントは、回しながら抜く、だそうです。

建築学部出身のメンバーも、継手のトリックに悪戦苦闘。

そんな楽しい美味しい街巡りの最中、突如現れた噂の古民家!ついに今回リノベーションする物件に到着です。

江戸、明治、昭和に渡って増築・改築が繰り返された、歴史あるお屋敷です。
エリアの状態を確認し、早速初日から作業を開始。明日の丸一日の作業に向けて、少しでも進められるよう早々にギアを上げていきます。

最も作業量の多い外壁チーム。想像以上の作業の難易度からよぎる不安。(でもとにかくやるだけやる)
作業の様子は、タイムラプスで記録します! 梁によじ登りカメラを設置するPRの石川。

FabCafe Hidaの建築を担当していただく中山英之研究室のみなさんと、田中建築のみなさん。

ある程度進めたところで、初日の作業は終了。
お待ちかねの料亭旅館・八ツ三館に向かいます!

国の有形文化財にも登録されている八ツ三館。仲居さんたちのおもてなしに癒されます。
大広間で、美味しい郷土料理と日本酒の大宴会!

2日目:目標達成なるか!? 体力とプロマネを試される本気の終日リノベーション

二日酔い?なにそれ美味しいの? 本日も全力でがんばります。(鈴木と柳田)
この壁を取り払い、風の通り・人の導線をより自由にします。壊しているのは、業者の方ではなくディレクターの高井です。

777 interectiveの福田敏也さんも、真剣にドリル。ブロック塀を壊して、開放的なカフェ空間にします。

そしてこちらが今回の合宿の現場監督、FabCafeのFABディレクター・岩岡です。
江戸時代につくられた蔵から、貴重な物品を運搬、整理します。古い百科事典やたくさんの本、史料。こちらのお屋敷がいかに文化的な邸宅だったのかがよくわかります。
こちらは機材が足りないという危機から生まれた工夫。中庭の端材に紙やすりを巻きつけた自前のやすりです。
ランチタイムがつかの間の休息。みんなで廊下に並んで食べているグループも。
マネジメント、シニア、新人、性別年齢なんて関係ない!みんな無心で頑張りました。
その結果……

こんなにすっきり!
整理、解体、ケレン(錆などを削り落す)、ケンマ(研磨)のほぼ大半を終えることができました。

最後にみんなで集合写真!汗と埃にまみれつつも、いい表情!

壊してまるっきり新しくするのではなく、江戸・明治・昭和の3つの時代の良さを活かしながら丁寧に行うこと。何をなくして何を活かして、どう見立てるのかを考えること。
便利なツールや日々新しいプロダクトがうまれる環境で生活するなか、実際にものに触れ道具を使ってからだを動かすことで、代表・林千晶の「リノベーションはこれから現代人の標準スキルになる」という言葉の意味が見えた気がします。

作業のあとは、なんと地元商工会議所のみなさんにご用意いただき、地元の食事処でチームごとの夕食です!

お互いの地元の話から普段の仕事の話、将来取り組みたいこと、社会に働きかけたいこと……初対面の間柄でも、熱く語り合う様子がちらほら。一次会はあっという間に終わり、メンバーは各々地元のみなさんとともに街の飲み屋へと繰り出し……ということでレポートはこの辺で。

ロフトワークと飛騨との関係は、まさにいま始まったばかり。
これからの関わり合いと展開がとっても楽しみです!

ご近所のみなさま、この数日間は大変お騒がせしました。そしてご協力ありがとうございました!
これからも末長く、よろしくお願いします。

そして飛騨市役所のみなさん、素敵な食事会を開催してくださった古川商工会議所のみなさん、あたたかくもてなしてくださった八ツ三館のみなさん、本当にありがとうございました!
引き続き、ロフトワークを、ヒダクマを、よろしくお願いします。

原口 さとみ

Author原口 さとみ(パブリックリレーションズ)

慶應義塾大学SFC卒。学生時代にソーシャルビジネスや開発経済を学びながら、フォトジャーナリズムやチャリティプロジェクトの可能性を模索する。卒業後は英治出版株式会社に入社し、出版プロデューサーとして書籍企画、編集、DTPデザイン、プロモーション等を担当する。その後NPOにて新興国のスタートアップや社会起業家を支援するプログラムのPR等を経て、2015年ロフトワーク入社。

Next Contents

釧路市、現代に息づくアイヌの世界観を体感する短編映画
『urar suye(ウララ スエ)』を公開