飛騨とかカフェとかバイオとか。なぜ関係無さそうなことしてるの?ってよく言われるけど

FabCafeHidaのオープン、そしてJunctionの開催

We don’t meet people by accident. They are meant to cross our path for a reason.
「人は偶然に出会うのではない。何かの理由があって、お互いの人生の道が交差するように運命づけられているのだ」

ヒダクマ設立から1年、飛騨古川にFabCafe Hidaがオープンしました。
(ちなみにわかりづらいですがヒダクマは社名であり事業。FabCafe HidaはそこでオープンしたFabCafeでありサービスです)

オープニングイベント。スピーチをしているのがヒダクマCOOの松本さん。林千晶の隣は飛騨市の都竹新市長。ちなみに古川には日本酒酒蔵が2つもある。白真弓も蓬莱も、どちらもすんごく美味い!

飛騨古川で築150年を超えるお屋敷「熊崎邸」。美しい街並みを残すこの地域で、特に宝と言われる大きなお屋敷を譲り受けてから10ヶ月。これまで歩んできた150年の時間を大切に、傷んでいる柱や梁を療しながら、新しい経験と「木」によるものづくりを経験するための空間がうまれました。建築家の中山さん、古市さんとつくりあげたのは江戸、明治、大正、昭和、そして平成の現代それぞれの時代の特色を大切にしたやわらかでのびやかな空間。

ヒダクマ女将の森口あっこ。実物はとっても美人です。

ヒダクマが担うのはこの地域の森と林業の再生。林業へのアプローチはロフトワークにとってもはじめてのチャレンジ。一体何からはじめたらいいんだろう?
考えた結果、森と木材をクリエイター、特に建築家と一緒に考える「コミュニティづくり」からはじめています。成果は少しづつ。古市淑乃さんと岩沢兄弟とつくってきた家具はパナソニック本社R&Dセンターでも採用され、大野さんと飛騨産業とのコラボレーション、佐野さんとは京都MTRLの空間を飛騨の木をふんだんに使い素晴らしい空間をつくりました。FabCafeオープンまで1年ちかく、既に20人以上の建築家が飛騨に訪れさまざまな「木に取り組む」プロジェクトがスタートしています。

現在行われているのが“Smart Craft Studio”。世界を代表するデザインスクールであるParsons School of Designを始め、カナダのトップ校であるトロント大学、台湾交通大学の3校から、デザイン・建築・都市計画・メディアアートなど幅広い分野の教授と学生約30名が参加し、イノベーションを日本の地域と”木”から考える3週間のキャンプをFabCafe Hidaで実施しています。
“Smart Craft”をテーマに掲げ、飛騨の木工技術とIoTを組み合わせて、社会にインパクトをもたらす新しいプロダクトの実作と、新しいサービスの提案プレゼンテーションを行います。最終的には10個以上の成果が生まれ、飛騨地域の木工家具メーカー、職人たちとの協業につなげ、プログラム終了後に製品化またはサービスとして世界に向けてリリースされることを目標にしています。

Smart Cruft Studio。日本古来の技術「組木」にみんな大興奮!

FabCafe Hidaがオープンした日と古川祭のムービー。飛騨古川の美しい街並みとそこに新しくオープンしたFabCafe、そして古川祭の人々の勢いと興奮。

飛騨古川祭の前日にFabCafe Hidaはオープンしました。飛騨古川祭は、国の重要無形民俗文化財に指定されているだけではなく「日本三大裸祭り(なんだそれ?)」のひとつで必見。
起し太鼓。この大太鼓目指し、付け太鼓(この前の写真)が突入し、それを防ぐという…(何を言ってるんだかわからないと思うけど)
Smart Craft Studioの多様なメンバーが西野製材所を訪問

イノベーションという偶然を引き込む装置とネットワーク

東京で開催されたフィンランド発の起業家を中心としたスタートアップのための一大イベント“Slush Asia”。そのSlush Asiaのスピンオフイベントとして、“Junction Asia”という実際に「つくる」ハッカソンイベントが開催された。スタートアップの「結果発表」であるSlushと「プラクティス」であるJunctionの両輪。3週間ほど前に開催されたこのJunctionの実行と運営をFabCafeが幅広くサポートしました。

場所は天王洲寺田倉庫。日本ではめずらしいスケルトンの大空間に200人近いプログラマーや学生、そして共感した企業の人々が集まる。めったにないスケールとグローバルなイベントにFabCafeのグローバルメンバーが台湾、バンコク、そして今年オープンを予定しているメキシコのメンバーが応援にきてくれました。

オーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによって定義された「イノベーション」。日本では物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」を創造する行為と定義されています。 イノベーションを人為的にどう生み出すか、はデザイン思考含めこの10年でさまざまな手法が提唱されてきました。 ここ20年のインターネット、AIやディープラーニング、そして訪れつつあるバイオテクノロジーのように急激に進化するテクノロジー。それらの「新結合」はイノベーションをつくりやすい領域だけど、イノベーションはその性格上「こうすればかならず生まれる」というものではありません。 優れて新しいテクノロジーがあってもその組み合わせは無限にあり、うっかりすると「IoT冷蔵庫(?)」のような凡庸な「新結合」をつくってしまう。

欠かせないのはそこに「誰が参加をするか」。

アイデアは誰でも、どんな組織でもつくることができる。そのアイデアが閉じられた空間とメンバーからナイーブな思い込みとともにつくられてしまう時、アイデアの多くは社会に放たれた後、耐えられずに静かに消えていく運命が待っている。

多くの人を巻き込む大きなエコシステムをつくるオープン性、すぐれたクリエイターや有識者のアイデアと知見、対象となるユーザーとの対話やデザインリサーチ、組織政治から離れ活発な意見をぶつけ合える場所や合宿。

コミュニケーションにおける革命をおこしたインターネット。ロフトワークはloftwork.comというクリエイターコミュニティを2000年につくるところからスタートをし、そしてFabCafeOpenCUヒダクマBioClubLAYOUTと多様なコミュニティをつくっている。

イノベーションを約束することはできないけれど、イノベーションという偶然を引き込む装置とネットワークと熱を提供できる。

We don’t meet people by accident. They are meant to cross our path for a reason.
「人は偶然に出会うのではない。何かの理由があって、お互いの人生の道が交差するように運命づけられているのだ。」

デジタルは引き続き進化する。我々の頭脳を部分的に凌駕するAIが生まれ、高度な金融バランスをつくり、より効率的な農業や物流を実現する。ロボットや自動運転は僕らの空間に入ってくる。囲碁や将棋という複雑なゲームにおいて人はコンピューターに敵わなくなった。

アートは課題をあらわにし、デザインとテクノロジーが解決を指し示す。サイエンスは未来を予言する。

どんなところにもイノベーションをつくることができる。それを手掛けたい才能がたくさんいる。これからもロフトワークは才能と才能が出会い、集まり、そして火花を散らす装置と場でありたいと思う。

Next Contents

循環型社会を目指すプレイヤーをつなぎ、後押しするコンソーシアム、
「crQlr(サーキュラー)」がWebサイトをリニューアル