大阪城東部地区のまちづくりをロフトワークが先導

2025年6月25日(水)、UR都市機構が2025年秋に大阪・森之宮に開設する新たな地域拠点「ほとりで」のプレオープニングイベントが開催されました。本イベントに、ロフトワークのプロデューサーである小島和人(ハモ)がトークセッションに登壇しました。現在、ロフトワークは、UR都市機構による「森之宮旧社屋ビル活用プロジェクト」において、イベント企画運営の全体設計・実施を担うパートナーとして深く関与しています。本イベントは、森之宮エリアの未来のまちづくりに向けた第一歩として、多様なプレイヤーが集い、対話と実践を通じて地域の可能性を探る貴重な機会となりました。

今回のイベントでは、「暮らしのイノベーションとは?」をテーマにしたクロストークセッションが開催されました。小島はパネリストとして、武田重昭氏(大阪公立大学 農学研究科 緑地環境科学専攻 准教授)、太田潤氏(株式会社URリンケージ西日本支社長)、西田司氏(株式会社オンデザインパートナーズ代表)、川野大氏(独立行政法人UR都市機構西日本支社都市再生業務部長)といった、各社の代表者や森之宮に関わる重要なステークホルダーと並んで登壇しました。これまでのまちづくりや共創型イベントの経験を踏まえ、生活者と共に創る都市空間のデザインや、“問いを立てる場”としての拠点づくりへの想いを語りました。

トークセッション ハイライト  

1、空間とは完成ではなく問いを育む場である

小島は「空間は、人々が問いかけ、対話を通じて関係性を紡ぐ場所」として提示。生活者がまちに主体的に関わる仕掛けの重要性を説きました。

2、ロジックモデルと“多様な暮らし手”の視点

プロジェクトに基づいたロジックモデルでは、現在住む人、将来住む人、次世代まで含めた多層的視点を持つ必要性が議論されました。

3、都市と自然のクロスを顕在化する“AQUA GROVE 構想”

地理的特性である「水と緑の隠れた可能性」を再発見し、都市構造に組み込むという構想の一端が語られました。

ロフトワークが先導する「共創」と「環境視点」のまちづくり

小島は、「単一の事業だけでは人々の暮らしを大きく変えることは難しい」という認識のもと、多くのステークホルダーが関わるまちづくりに重点を置いて活動を進めています。今回の「森之宮旧社屋ビル活用プロジェクト」においても、イベントやアクティビティを通じて森之宮ならではの要素を探求し、まちづくりのコンセプトデザインから深く関与しています。

トークセッションでは、「空間は、人々が問いかけ、対話を通じて関係性を紡ぐ場所」という思想が語られ、生活者がまちに主体的に関わる仕組みの重要性が強調されました。特に、小島が提唱する、森之宮エリアが目指す「都市と自然の共生モデル(AQUA GROVE構想)」の社会実装に向けたプレ活動として、ロフトワークは今年度中に複数回のアクティビティを通じて、ステークホルダーや生活者を巻き込み、地域に根ざした共創の土台形成を目指しています。小島は、「AQUA GROVE構想」について、森之宮エリアの特性である「水と緑の隠れた可能性」を再発見し、それを都市構造に組み込むという構想の一端を語りました。

「暮らしのイノベーション」を考える上では、現在住む人々だけでなく、将来移り住む人々、さらには次の世代まで含めた多層的な視点を持つ必要性が議論されました。小島は、イノベーションには「変えてほしい人」「変えたい人」「変えてほしくない人」など多様な状況が存在することを指摘し、経済的合理性だけでなく「豊かさ」に目を向け、テクノロジーを介して活動を評価する可能性についても言及しました。このアプローチは、大阪城東部地区の大地や水域といった環境的特徴を再評価し、サーキュラーエコノミーにも通じるグローバルかつ中長期的な視点からまちづくりを支援するロフトワークの姿勢を明確に示しています。

ロフトワーク プロデューサー小島和人

今後の展望

2025年秋には大阪公立大学森之宮キャンパスの開設にともない、拠点「ほとりで」は本格オープンを迎えます。ロフトワークは引き続き、大学・行政・企業・住民が交差し、生活者発信の体験を通じて地域の可能性を育む拠点としての実現に向け、イベントや対話の場づくりを推進していきます。

これからの「ほとりで」が目指す地域のイノベーションのあり方について、トークセッションの中で小島は、次のように語りました。

住民にとってのイノベーションとは、10年後に振り返って『言われてみれば、あのときから変わったかもしれない』と感じるような、穏やかな変化でいい

その変化を、外部の視点から可視化し、記録していくことの重要性を、ロフトワークの役割として示唆しています。

次回の活動として、7月18日には「文化とサイエンス」の視点から森之宮エリアを深掘りするトークプログラムも予定しており、森之宮の未知なる可能性を探求し続けます。

イベント概要

日時:2025年6月25日(水)15:00–17:15(終了後、懇親会)
場所:ほとりで(UR森之宮ビル1F:大阪市城東区森之宮一丁目6-85)
主催:UR都市機構 西日本支社 都市再生業務部
参加者:森之宮エリアのまちづくり関係者、大学関係者、自治体、パートナー企業など

登壇者

小島 和人(ハモ)

小島 和人(ハモ)(プロデューサー / FabCafe Osaka 事業責任者)

大阪府守口市生まれ。建築、デザイン、プランニング、アートと多分野で活動を重ね、多様な視点と未来を見立てる力を培う。アーティスト名「ハモニズム」の理念は、社会状況や人々の価値観が調和した未来を仮説し、チームで実験・実行を通じて形にすることにある。大阪では、まちづくりやエリアマネジメントに注力し、地域の文化・歴史・環境を活かした持続可能な都市モデルを提案。行政・企業によるトップダウンの構想と生活者・クリエイターによるボトムアップの活動を接続している。2025年4月オープン予定のFabCafe Osakaを拠点に、大阪・天満や南森町エリアで「アンフォルム」をコンセプトに、「都市とローカルの融合」を模索し、新たな都市の未来像を描く。

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