UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka 2018
ロフトワークの木下と小島がレビュアーとして参加
9/15,16の2日間、大阪梅田のハービスホールにて開催された大阪初の国際アートフェア「UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka 2018」の審査会にロフトワークからMTRL KYOTOの木下とプロデューサーの小島の2名がレビュアーとして参加しました。アーティスト「ハモニズム」としても活動する小島がレポートします。
参照:審査員・レビュアー一覧
「UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka」とは
大阪からアジアへ。アジアから大阪へ。次世代クリエイターが集う新感覚のアートフェア。
アート・デザイン・イラスト・写真・ファッション・パフォーマンスなど、アジア10カ国から選ばれた200組超が出展。また、様々な業界から選ばれた約150人の審査員・レビュアーの審査により、グランプリや審査員賞が決定します。
日本人作家とアジア圏海外作家の多様な表現の数々
数あるアートフェアの中で、このイベントの素晴らしいところは日本人作家と外国人作家の作品に対するアプローチの違いを楽しめることだと思います。特にコンセプチュアルな作品は、国毎の文化や宗教の違いが強く現れていたように思います。
全ての作家に当てはまる訳ではありませんが、このイベントに出展している海外勢のコンセプトは自分自身の内面へのアプローチが多く、日本勢は自分を取り巻く環境や社会に対してのメッセージや問いかけ。といったものが多く感じました。また、日本人作家はデザイン寄りで技術的なクオリティ重視の作品が多く、アジア圏の海外作家は比較的現代アート寄りなものが多く、どこか荒さもあるプリミティブな作品が多い印象でした。
小島和人ハモニズム賞
イラスト/写真/造形など数多くの作家の中から、小島和人ハモニズム賞には「コムロヨウスケ」さんを選ばせていただきました。選んだポイントは「調和」です。コムロさんの今回の作品のコンセプトは禅の書画で悟りや宇宙を表す「円相」をモチーフに、現在人の「揺らぎ」や「不確実性」を表現されています。
技術手法的にもレーザーカッターなどデジタルファブリケーションを使いながらも、アナログな仕上げをしていて、インテリアとしても住宅や店舗などの空間にも馴染みやすいと思いました。
僕が思うに、刺激的で特別なアートは、たまに見る分には脳を活性化してくれると言った効果があるけれど、それを毎日見るには刺激が強すぎる。あるいは作品に対して特別性を感じられなくなる。
そういう意味でコムロさんの今回の作品は日常になじみつつ、程よく刺激を与えてくれると感じました。コンセプトも技法もディスプレイとしてもそれぞれ「バランス」が素晴らしく、調和をテーマに生きているハモニズムとしては選ばずにはいられませんでした。
木下浩佑賞
一方、MTRL KYOTOの木下が「マテリアル」視点で個人グランプリとして選んだのは香港のngchoyiu,seewhyさんでした。
今回の展示作品は、“si1naai5」” 。
ローカルで伝統的な暮らしをする人々にジェンダーの新しい潮流のコンセプトを導入する…というテーマに対して、日常的な物品をマテリアルとして再解釈し新たな文脈を与えるというアプローチが素晴らしく、また、「装備品」を身につけた姿がとても格好良かったです。
グランプリ受賞者、木村華子さんとMTRL KYOTO
今回グランプリに選ばれたフォトグラファーの木村華子さんは、今MTRL KYOTOで連載している素材のインタビューシリーズ「Dive into Material」で撮影を担当いただいているフォトグラファーの方なのです。毎回素材の魅力を美しく表現いただいています。ぜひこちらもご覧ください。
グランプリに選ばれた作品も、以前から私たちも構想をお聞きしていて、UVプリンターでの加工方法などいろいろ話していたものでした。ご本人からも「MTRLでのコミュニケーションやアイデアが作品にも反映されてます」と言っていただいてます。(なんと嬉しいことでしょう!)
木村さんの写真は、今後もMTRLのWebサイトでご覧いただけると思いますので、ぜひお楽しみに。
200組のアーティストと100名の審査員/レビュアー
UNKNOWN ASIAは、審査員/レビュアー総勢100名によるビジネスマッチングも大きな特色。さまざまな業界から多様な方々が審査員やレビュアーに選ばれているところも素敵な取り組みです。
200組を超えるアーティストの作品を見て回るのは結構骨の折れる作業で(どの作品もとても興味深く、ずっと見てて飽きないのですが)、全部回るのに5時間もかかりました(!)。
僕自身が美術作家でありながら、他の作家の方々の作品を審査することはとても貴重な体験でした。今回アートに対して客観的に見ることができたことで、新しい気づきも多く、これからの自分の企画や表現にも活かすことができそうです。
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