ロフトワーク京都の小島です。
6/6〜6/8に毎年恒例のロフトワーク合宿が大分県の別府にて開催されました。

「ロフトワーク別府をつくる」と仮定して……

どんなロフトワーク別府にしたいかを考えるテーマオーナーを募集し、チームごとで別府でのフィールドワークを経て最後のプレゼン大会に挑むというもの。

今回は渋谷プロデューサーの野村くんとともにテーマ設定した
「ムダなことから未来を考える」チームの取り組みについて紹介します。

面白いことやろう

「合宿で、なんか一緒に面白いことやりましょうよ」
渋谷出張の際、僕と同じく同じプロデューサーであり、表現者でもある野村氏からの僕への声掛けでチームが作られていきました。

ここ最近、ロフトワークに「表現者」の入社が多く、そういったプロデューサーやディレクターとしての顔以外にクリエイターとしていきているメンバーを集めて、ロフトワーク別府で未来のクリエイティブを考える研究チームが作れたら面白そう。

うっすらそんな思いから
「よしやろう!」と、このチームが始まりました。

成功をめざさずやってみる

メンバーを募集するにあたり、このチームの指標となるものを話し合いました。そこでは以下のようなことを決めました。

  • 結果として「アート」的なものになるけれど、「アート」という言葉は極力使わない。
  • ロジカルでは無い、個人の想いや衝動から生まれるクリエイティブを見直す。
  • 別府に行く前に決め込まず、やりながら考えるプロセスにする。
  • 最終的になんらかの作品を発表する

最終日はプレゼンテーションがあるけれど、そこに向けたものではなく、トライ&エラー、あるいはトライ&トライを繰り返しながら未来の価値を見出して行く。そのような指標を設定しました。

作る側の琴線を再認識

僕たちは普段、クリエイターの方々の力を借りて、最大限彼らが力を発揮できるようにプロジェクトを設計し、マネジメントをする形でお仕事をしています。

その中にはクリエイターが力を最大限発揮するための「琴線」があります。いくら制作報酬が高くても、作るもののテーマやコンセプトがクリエイターの琴線にふれなければ、良いクリエイティブは生まれません。

彼らが普段何を大切にしていて、どのようなことでやりがいを感じるのか? これは自身でものづくりに取り組んだ経験がある人にこそ、深く理解できる領域が多分に含まれていると思います。

今回は、かつて作品を作っていた、今も作っている、そういったメンバーが自然と集まり、改めて「作る側」の人間の感覚を強く出しながら一つの作品を作り上げました。

ヴェップで鯖食い赤い靴を履く何も知らないワレワレハ

今回合宿で作成したwebサイト。Split Viewでご覧ください。

左側:https://preview.studio.design/live/65qm8ggOVR/1-1
右側:https://preview.studio.design/live/65qm8ggOVR/1-1-1

作品紹介

宇宙人の夫婦が別府に降り立つ
地球のことはわからない、人間のことはわからない、大分のことはわからない、別府のことはわからない。

彼らが感じる別府の姿とは。
信号機とは何。商店街とは何。風呂とは何。

「何も知らない」

何も知らないからこそ見える「街の真の姿」

かなりエモーショナルな表現に振り切ったので、理解できないかもしれません。
が、やりながらメンバーで話していた内容で、ロフトワークで普段リサーチをいくつもしているけれど、「何も知らない前提」で向き合っていたとしても無意識のうちに「知っている事」として様々な「大事な事」を排除しているのかもしれない。
そんな話し合いもありました。

今回は、ある種「役者」として宇宙人になりきる事で結果として「何も知らない」状態を作れたと感じます。

プロセス

  1. 作りながら考える
  2. 1から10まで伝えなくとも、皆が自然にやることを探し実行する
  3. たまに考えることを放棄して、動いてみる
  4. 理由なく「良いかもしれない」と思ったことはやってみる
  5. 最後はプロとしてのスキルを用いて力づくで形にする

厳密なプロジェクト設計は行わず、とにかく実行してみて考える。
という手法で進めていったのですが、参加したメンバーの中では終わってみれば全てに理由があるような腹落ち感がありました。

色々考えてから動きたくなるけれど、結局のところはやってみないと何もわからない。

やってみて得られた事

  1. 「クリエイター」の琴線の認識
  2. やりながら考えるプロジェクトのドライブ感覚
  3. 今現在、意味が無いことに取り組む事から産まれる「予測できない価値」

まとめ

今回、仕事では無いからこそ「失敗」が許される合宿を通して、普段のプロジェクトではできない様々なチャレンジをすることができました。

仕事では無いからこそ、メンバーそれぞれが一人の人間として大事にしていることを指標に、提案は否定せずとにかくやってみました。

結果として全員が何一つ不満なく、納得できる作品が仕上がったのは、そもそも今回作ろうとした作品に「前例が無い」からだと思います。

まだ誰もやったことがないムダな取り組み。
ロジカルに物事を考えることもとても大事です。
ですが、理由もなく実行したくなることは決して思いつきではなく、その人が生きてきた経験に基づくもの。

その中には理屈だけでは推し量れない「新しい価値」が眠っていると我々は感じました。

メンバー

・プロジェクトリーダー / 野村 善文
・演出 / 小島和人ハモニズム
・モデル / 齋藤 稔莉・小島和人ハモニズム、小山 さくら
・WEBディレクション / 重松 佑
・デザイン / 重松 佑、村岡 麻子
・映像制作 黒沼 雄太・小山 さくら
・スチール撮影 / 重松 佑、野村 善文

小島 和人(ハモ)

Author小島 和人(ハモ)(プロデューサー / FabCafe Osaka 準備室 )

アート作品を作らないアーティスト「ハモニズム(作家名)」。通称「ハモさん」 建築施工管理、デザイナー、プランナー、アーティストという経歴をたどり、多様なものから着想を得て繋げることで先入観を取り除き、変化するためのプロジェクト設計を得意とする。 デザイン経営、サーキュラーデザイン、新規事業支援など幅広くプロデュースを手掛けるが、共通して「なにか新しいことをしたい」時に駆り出されるプロデューサー。口癖は「人の欲望と向き合う」。都市で暮らす事にこだわり、夏場は大阪市内の河川で40cmを超える黒鯛を数十匹釣り上げる。

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