違いと変化を歓迎する土壌から、未来を共創する。
掛川市制20周年式典に岩沢エリが登壇
掛川市が市制施行20周年を迎えた2025年11月、地域の未来をともに考える記念式典が、掛川市文化会館シオーネにて開催されました。
第3次総合計画策定にあたり、ロフトワークが掛川市とともに市民と行政をつなぐ共創プロセスを伴走している縁から、Culture Executiveの岩沢エリが基調講演に登壇しました。「違いと変化を歓迎する土壌が、個の想像をこえて未来を共創する」をテーマに、地方都市・掛川の新たな可能性を語りました。
変化を歓迎するまちに。岩沢エリが語った「共創の土壌」
講演の冒頭で、岩沢は「人口減少社会における当たり前はすでに変わりつつあります」と語りかけました。これまで人口増加を前提に構築されてきた社会の仕組みを見直しながら、地域それぞれの違いや変化を力に変えていく重要性を強調しました。
岩沢:これからのまちづくりは、行政や企業だけでなく、市民一人ひとりも当事者として関わること。それぞれの視点や小さな挑戦が重なり合うことで、想像をこえる未来が生まれます。
講演では、群馬県前橋市の官民連携によるまちづくりや、富士吉田市・世田谷区など全国の事例を紹介し、地域の個性を起点に新しい関係をつくる取り組みを紹介しました。岩沢は「地域ごとの土壌に合わせて小さな変化を積み重ねることこそが、共創の原点です」と語り、掛川市がこれから歩む方向性への期待をにじませました。
岩沢:掛川にはすでに共創の芽があります。まちのために何かしたいという人が、こんなにも多くいる。その想いをつなぎ合わせることができれば、掛川は全国でも類を見ない<変化を楽しむまち>になるはずです。
「農」「医」「福祉」から見える、地域共創のかたち
講演に続き、「わくわくする掛川市の未来を共創する」をテーマにクロストークが行われました。登壇者は、たこ満会長の平松季哲さん、やさいバス食堂代表の加藤百合子さん、掛川東病院院長の宮地紘樹さん、そして久保田崇市長。モデレーターを務めた岩沢が、「農業・医療・福祉・働き方・暮らし」という横断するテーマの中で、領域を超えた対話をリードしました。
加藤さんは「農業は暮らしから離れすぎてしまった」と語り、農と生活を再び結び直す地域内循環の仕組みを構想しました。宮地さんは「健康は、専門職だけでなく地域とともにつくるもの」と語り、ディスコイベントや健康な体づくりを支援する「みんなの美尻フェスタ」など、健康を楽しむ実践を紹介しました。平松さんは「農業は小売業。自分でつくり、直接届ける喜びがある」と語り、顔の見える関係を大切にする新しい農業のあり方を提案しました。
それぞれの発言を受け、岩沢は「助け合い」「多面的・多層的なつながり」「小さな挑戦」という三つのキーワードで議論をまとめました。
ロフトワークが伴走する、掛川の未来を描くプロセス
ロフトワークは現在、「第3次掛川市総合計画」の策定支援を行っています。このプロジェクトでは、掛川の風景や文化、暮らしの空気感といった、まちのらしさを大切にしながら、市民が自分ごととして受け取れるビジョンづくりを進めています。また、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)やデジタル活用を横断的な視点として据え、市民・企業・行政が共に考え、行動するための開かれたプロセスを設計しています。
20周年を迎えた掛川市が、これからの10年に向けて一層力をいれていくのが「共創」です。ロフトワークも、共創パートナーの一社として、引き続き掛川のまちの未来をともに描いていきたいと思います。
掛川市制20周年記念事業の概要
基調講演登壇者:岩沢エリ(株式会社ロフトワーク Culture Executive)
パネルディスカッション登壇者:平松季哲氏(株式会社たこ満 会長)/加藤百合子氏(やさいバス食堂株式会社 代表取締役)/宮地紘樹氏(掛川東病院 院長)/久保田 崇 市長
主催:掛川市
会場:掛川市文化会館シオーネ(静岡県掛川市)
開催日:2025年11月8日(土)




