絶滅危惧空間を次代のインフラへ変異させる公募
「RED SPACE MUTATIONS #01」をAWRDで開始
株式会社ロフトワーク(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:諏訪光洋)は、建築コレクティブ「RED SPACE」と共同で企画・主催を行っている「RED SPACE MUTATIONS #01」を2026年5月11日(月)より開始します。本公募は、絶滅の危機に瀕する空間に新たな価値を与える変異計画を募集するもので、同社が運営する公募・共創プラットフォーム「AWRD(アワード)」を通じて公開します。
「RED SPACE」は、竹中遼成と平栗圭がロフトワーク外で始めた自主プロジェクトです。両名はロフトワーク社員でもあり、ロフトワークはその取り組みを社内自主活動として支援しています。電話ボックス、ガソリンスタンド、地方鉄道、ショッピングモール、寺社仏閣、商店街など、20世紀に大量に生まれ、社会の変化とともに役割を失いつつある空間を「絶滅危惧空間」と捉え、収集・評価・分析してきました。
今回開始する「RED SPACE MUTATIONS #01」では、こうした絶滅危惧空間を、単に保存する対象ではなく、次の時代に適応しうる空間資源として捉え直し、未来の社会資源として再発明するためのアイデアを募集します。募集するのは、建築デザインに限りません。ビジネスモデル、テクノロジー、制度設計、都市計画、アート、リサーチなど、空間の形だけでなく、仕組みや使われ方までを含め提案の形式は自由です。絶滅に瀕する空間を、次の時代にふさわしい“新しいインフラ”へとポジティブに変異させるアイデアを求めます。
本公募は、一過性のアワードではなく、社会実装へ向けた最初のフェーズとして位置づけています。応募者は、公募終了後に立ち上がるコミュニティ「RED SPACE COLLECTIVE」へ招待される予定です。提案者、事業者、自治体、研究者、有識者、地域住民などが継続的に議論し、実証実験やプロトタイプ制作、共同研究へとつなげることを目指します。
失われつつある空間を、次代の社会資源として捉え直す
20世紀以降、日本の急速な近代化を実現するため、日本各地には駅や郵便局、ガソリンスタンドや、電話ボックスなど、同一規格によって大量生産されたインフラとして整備された空間が数多く生まれました。それらは、かつて生活や移動、消費、地域の交流を支える身近な社会基盤でしたが、技術革新、人口減少、産業構造の変化、制度の更新、ライフスタイルの変容により、こうした空間の多くは役割を失い、縮小・撤去・空洞化が進んでいます。
RED SPACEは、これらを単なる「時代遅れの空間」や「負の遺産」として扱うのではなく、過去の社会が残した大規模な空間資源として捉えます。すでに全国に分布している空間インフラに、次の時代に適応する“変異”を与えることができれば、新たに建築をつくるよりも大きな社会的インパクトを生み出せる可能性があります。
例えば、電話ボックスは一つひとつは数平方メートルの小さな空間です。しかし、それらが全国に分布する空間化したシステムとして捉えられたとき、通信、情報、避難、ケア、まちの対話、地域サービスなど、まったく異なる機能を担う新しいインフラへと更新できるかもしれません。
今回の公募では、特定の建物をリノベーションするアイデアではなく、空間の仕様、制度、運営、所有、収益、体験、テクノロジーまでを含めて再設計する提案を募集します。
対象例の減少率


AIやデジタルツールを使い、自分のアイデアをかたちにする応募を歓迎
「RED SPACE MUTATIONS #01」は、建築や都市計画を専門とする人だけを対象にした公募ではありません。
問いの対象となる空間は、誰もが日常の中で見てきた場所です。そのため、本公募では、建築設計の専門スキルだけでなく、生活者としての観察、事業アイデア、地域での経験、制度への違和感、テクノロジー活用の発想、偏愛や妄想も重要な出発点になると考えています。
応募にあたっては、生成AI、画像生成AI、3Dツール、リサーチツール、プロトタイピングツールなどを活用しながら、自分のアイデアを視覚化・構造化して提案することも歓迎します。専門的な図面や建築パースに限らず、事業構想、サービスモデル、制度提案、体験設計、リサーチ、アートプロジェクトなど、多様な形式での応募が可能です。
応募に向けたヒントを届けるオンライン説明会を開催
「RED SPACE MUTATIONS #01」の公募開始にあわせて、2026年6月1日(月)にオンライン説明会を開催します。
本説明会では、RED SPACEが目指すビジョンや、絶滅危惧空間に“変異”を促す視点を、具体的な事例とともに紹介します。電話ボックス、ガソリンスタンド、地方鉄道、商店街などの空間を題材に、空間の形だけでなく、使われ方、運営、制度、事業モデル、テクノロジーとの接続まで含めて再設計する考え方を共有します。応募を検討している方に向けて、募集テーマの捉え方や提案づくりのヒントをお届けします。
- 日時
- 2026年6月1日(月)19:00~20:00
- 会場
- オンライン(Zoom)
- 申し込みページ
- Peatixよりお申し込みください。
受賞で終わらせず、社会実装へ向けたコミュニティへ
本公募の目的は、優れたアイデアを表彰することだけではありません。RED SPACEが目指すのは、絶滅危惧空間をめぐる問題意識を共有する人々が集まり、継続的に議論し、実験し、社会実装を進めていくためのプラットフォームをつくることです。
応募者は、公募終了後に立ち上がる「RED SPACE COLLECTIVE」へ招待される予定です。RED SPACE COLLECTIVEでは、応募者、審査員、有識者、自治体、事業者、空間の所有者、地域住民などが接続し、提案の具体化に向けた議論やプロトタイピング、実証実験の可能性を探っていきます。
また、上位作品については、実装に向けた次段階の支援プログラムへの接続も検討しています。具体的には、RED SPACE展示会での作品展示、提案の具体化に向けたエスキースワークショップ、絶滅危惧空間を持つ事業者・自治体への提案機会、審査員や有識者との少人数レビューなどを予定しています。
企画者のメッセージ

竹中 遼成|株式会社ロフトワーク LAYOUT ディレクター/RED SPACE 共同発起人
私は建築をバックグラウンドにしていますが、建築物を建てることだけが、空間を考える方法ではないと感じてきました。電話ボックスやガソリンスタンド、地方鉄道のような空間は、建築業界ではあまり語られてこなかったかもしれません。しかし、私たちの暮らしは、むしろそうした身近な空間によって支えられてきました。
RED SPACEは、消えゆく空間を保存するだけでなく、次の時代に適応する“変異”を与えるための実験です。建築だけで解決できないなら、法律家、エンジニア、行政、事業者、アーティスト、地域の人々と一緒につくればいい。今回の公募では、建築の外側からの視点や、生活者としての違和感、偏愛、妄想から生まれる提案にも出会いたいです。

平栗 圭|株式会社ロフトワーク LAYOUT ディレクター/RED SPACE 共同発起人
私は20世紀の終わりに生まれた世代として、空間の近代化が終わった社会を生きてきました。20世紀は規格化された公共建築や都市計画によって、多くの課題を解決してきました。しかし、潤沢な空間資源があるにも関わらず、社会をみると人口減少や社会不安、貧困問題など、課題は山積しています。21世紀を生きる私たちは、これまでの建築の規格や都市計画のルールを再解釈・再編集することで、建築・都市の視点から改めて社会と向き合うことができるかもしれません。
このアワードで、素晴らしいアイデアが1つでも生まれれば、それは同じ課題を抱えた全国各地へと波及し、社会のあり方を変える可能性を秘めています。私たちもこれまで提案者の1人としてRED SPACEに取り組んできました。ぜひみなさんと一緒に、新しい社会の実現を目指していきたいです。
「CREATIVE HACK AWARD 2025」で特別賞・ファイナリストクラブ賞を受賞
RED SPACEは、WIRED日本版が主催する「CREATIVE HACK AWARD 2025」において、特別賞およびファイナリストクラブ賞を受賞しました。
CREATIVE HACK AWARDは、既存の前提や仕組みを問い直し、社会に新たな視点を提示する表現やプロジェクトを発掘するアワードです。RED SPACEは、消えゆく都市空間を「種」として捉え、収集・評価し、次の社会に向けて変異させる視点が評価されました。
今回の「RED SPACE MUTATIONS #01」は、その受賞を経て、より多くの人々とともに絶滅危惧空間の変異を構想し、社会実装へつなげるための新たな展開です。
募集概要
- 名称
- RED SPACE MUTATIONS #01
- 募集テーマ
- 絶滅の危機に瀕する空間に、変異をうながせ。
- 募集期間
- 2026年5月11日(月)〜7月26日(日)
- 対象
- 建築・都市計画・事業開発・テクノロジー・法律・行政・アート・リサーチ・地域活動など、領域を問わず応募可能
- 応募資格
- 年齢・国籍・専門分野・所属は問いません。個人またはグループで応募可能
- 審査基準
- 審査では、以下の4つの観点を重視します。絶滅危惧空間が変異し続ける時代の実現に貢献する提案・研究・論考・取り組みを、多様な視点から審査します。
・視点の新しさ
・未来洞察の視点
・社会実装の実現性
・波及可能性 - 審査員
- 馬場 正尊(オープン・エー代表取締役/建築家 /東北芸術工科大学教授)
松島 倫明(『WIRED』日本版 編集長/コンデナスト・ジャパン)
林 千晶(株式会社Q0 代表取締役社長)
石川 由佳子(アーバニスト、エクスペリエンス・デザイナー/一般社団法人 for Cities共同代表理事 ほか)
松井 創(株式会社ロフトワーク、Chief LAYOUT Officer)
RED SPACE MUTATIONS #01
AWRDを通じて、問いを社会にひらく
本公募は、ロフトワークが運営する公募・共創プラットフォーム「AWRD」で実施します。
AWRDは、企業・自治体・クリエイター・研究者・生活者など、多様なプレイヤーが共通のテーマに参加するためのプラットフォームです。一般的なコンペティションのように応募者を競わせ、完成度の高い作品を選ぶだけでなく、テーマへの理解や共感を広げ、研究・事業・共創の新しい基盤をつくることを重視しています。
ロフトワークはこれまで、AWRDを通じて多様なテーマの公募やアワードを実施してきました。集まった提案を単なる作品群として扱うのではなく、社会課題や未来の兆しを読み解くための集合知として捉え、企業や自治体、クリエイターとの次の共創につなげてきました。
RED SPACE MUTATIONSもまた、AWRDを活用することで、建築・都市領域の内側に閉じない多様な参加を促し、絶滅危惧空間をめぐる問いを社会にひらいていきます。




